移住番組は見てはいけない~テレビの嘘と移住生活の現実~

移住をテーマにしたテレビ番組が人気です。芸能人が地方に移住したり、地方に移住した一般人を紹介したり。

移住者の中には、番組が地方移住を後押ししてくれたという人もいるかもしれません。

テレビで紹介されていることが嘘だとは言いませんが、番組を参考に地方移住を決めると痛い目にあいます。

テレビではバラ色の移住生活が描かれていますが、現実はそんなに甘くありません。

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テレビの移住者が輝く理由

テレビ番組で紹介される移住者は、移住1年目や2年目の「移住初心者」であることが多いです。移住初心者は、移住先で体験すること全てが新鮮。何でもポジティブに受け入れられる時期です。

移住生活が長くなると、非現実だった移住先での暮らしが現実になり、不満が出てきます。番組で紹介したい移住者は、移住先に飛び込み、前向きな気持ちで移住生活を楽しんでいる人なので、必然的に「移住初心者」が取材対象になることが多いです。

ある地域に移住者が500人いるとして、番組ディレクターはその中から移住生活を楽しんでいて、移住先にも歓迎されている、恵まれた移住者を1人見つけ出して取材すればいいのです。

その人だけをカメラで追いかけて「注目の移住先」として紹介する。テレビからはバラ色の移住生活が流れてきます。

数少ない移住成功者

以前、宮古島で農業をしている移住者がテレビ番組で紹介されていました。移住者が農業で成功するのは、かなりハードルが高いです。紹介されていた人は、数少ない成功者でした。

宮古島には毎年、移住して農業を始めようと多くの人がやってきますが、うまく行くのはごく一部。諦めて本土に帰ったり、島で別の仕事を探したりする人が多いです。移住者には土地を貸してくれないこともあります。宮古島は本土とは気候風土が違うので、本土の農業のノウハウは活かせません。移住者は修業先で理不尽なことにも耐えてノウハウを学ぶ必要があります。成功するためには相当な忍耐が必要。

テレビで紹介されるのはごく一部の成功例。自分も出来ると思って移住すると、痛い目にあいます。

芸能人の移住企画

テレビ番組では芸能人の移住企画もよく放送されていますが、一般人の移住番組以上に参考になりません。

イチから住という番組で、元柔道オリンピック銀メダリストの篠原信一さんが宮古島に移住した様子が放送されていました。

番組上は「移住」したことになっていましたが、篠原さんが宮古島に来ていたのは番組の撮影が入る時だけ。

1週間~2週間に1回宮古島に来て、農業体験をしたり、島のイベントに参加したりしていました。もはや旅行の延長。移住初心者ですらありません。

篠原さんは番組で「宮古島最高」と言っていました。旅行の延長なので「最高」だと思うに決まっています。

移住3年の人が「宮古島最高」と言うのと、2週間に1回しか宮古島に来ない篠原さんが「宮古島最高」と言うのは全く重みが異なります。

テレビ番組では篠原さんの「宮古島最高」の言葉が、宮古島移住者の代表として放送されます。裏事情を何も知らない視聴者がこの言葉を真に受けて移住すると、痛い目にあいます。

お金と仕事

元体操オリンピック金メダリストの森末慎二さんも宮古島移住者。宮古島に別荘を建て、東京と宮古島を行ったり来たりしながら生活しています。

最近は宮古島で天丼店を経営。宮古島では趣味のゴルフを楽しんでいます。

森末さんもテレビ番組で「宮古島最高」と言っていますが、森末さんの移住生活が最高なのはお金に余裕があるからこそ。

お金に余裕がないただの移住者は、東京都宮古島を行き来することも、別荘に暮らすことも、趣味のゴルフ三昧の日々を送ることもできません。

移住生活が長くなると、非現実だった移住先での暮らしが現実になり、お金と仕事の問題がのしかかってきます。

移住をきっかけに新しい仕事を始める場合、それまでのキャリアは無駄になります。ゼロから仕事を覚えることのストレスは大きいです。

移住成功者は、移住前と同じ仕事をしている場合が多いです。看護師や保育士など、有資格者なら話は早いですが、何の資格もないただの移住者はなかなか仕事に恵まれません。

テレビでは描かれないこと

沖縄の離島、宮古島に移住して5年。この間、宮古島に移住してくる人も、宮古島から帰っていく人も、たくさん見かけました。

永住を目指して宮古島に移住してきた人の2人に1人は3年以内に島から帰ります。理由は、仕事がきつい、給料が安い、島の風習に慣れない、など。

移住1年目は全てが新鮮です。憧れの土地に移住したというだけで心が満たされ、毎日幸せに過ごせます。しかし、移住2年目になると、非現実だった移住先での生活が現実になり、移住先の良いところだけでなく、悪いところも見え始めます。

私の場合、仕事がきついのに給料が安いというのが、一番の不満でした。

憧れの宮古島に移住できれば、全てが解決すると思いこんでいました。しかし、移住生活に慣れてくると、移住前には想像しなかったようなことでストレスを抱えるようになりました。

「給料の安さなんて、宮古島にいれば気にならない、島で生活できるだけで大丈夫」と思って移住しましたが、移住から年月がたつにつれ、仕事のきつさと不釣り合いな安月給に不満を抱くようになりました。

宮古島では移住3年が大きな壁だと言われています。3年以内に帰っていく移住者は本当に多いです。3年の壁を越えた人たちも、少なからず不満とストレスを抱えながら一生懸命働き、生活している人が多いです。

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まとめ

一般人や芸能人の移住生活を紹介するテレビ番組が人気ですが、番組の内容を信じて地方に移住すると痛い目にあいます。

番組で紹介されるのは、移住生活の厳しさを体感する前の移住初心者。取材に応じる時点でポジティブな気持ちを持った人たちです。

移住生活の現実は甘くありません。

このブログを読んでくれたあなたが、移住生活に失敗しないために。テレビには描かれない移住生活の現実をつづっていきます。

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