宮古島不動産バブルの真相~アパート建てすぎ問題の末路~

宮古島移住5年のshimagurashiです。

不動産バブル真っただ中の宮古島。島には建設現場が溢れています。

特に目立つのがアパート建築。

あっちもアパートこっちもアパート。

市街地エリアを車で走れば、アパート建設現場がいくつも見つかります。

島の人たちの本音は「こんなに建てて大丈夫?」「住む人いる?」

その不安が現実になる日も遠くはなさそうです。

恐れるべきはアパートの需給バランスが逆転するXデー。

その先に待つ「アパート建てすぎ問題」の末路とは。

宮古島不動産バブル崩壊に直結する、核心的なテーマです。

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宮古島の住宅事情

宮古島では2017年頃から賃貸物件が不足し始めました。

2018年には全ての不動産屋のホームページから賃貸アパートの空き物件が消えました。

2019年にはアパートオーナーによる理不尽な家賃値上げが横行。

2020年に入っても家賃の高騰は止まらず新築アパートは相場の2倍の家賃で貸し出されています。

宮古島の住宅不足を招いたのは、島外からの大量の労働者受け入れ。

自衛隊基地、下地島空港ターミナル、大型リゾートホテル、アパート建設ラッシュのタイミングが重なったことで、島内の建設労働者が極端に不足し、島外から労働者を受け入れるようになりました。

島外からの労働者には宮古島の建設作業員の2倍~3倍の日当が支払われています。

宮古島の建設作業員の日当は8千円~1万円。島外労働者は2万円~3万円。クレーン操縦など特殊な技術を持っている人は日当5万円もらっていたりします。

不動産バブルの宮古島。

宮古島の建設業者は「今稼がずにいつ稼ぐ」という感じで大量の労働者を島外から受け入れています。働き手は寮がないと来てくれません。建設業者は宮古島のアパートの部屋を建設作業員の寮として使うため、大量に契約しています。

賃貸の一軒家に7人で住んでいたり、3DKのアパートに3人で暮らしたり。出稼ぎ組の建設作業員の住環境は決して良くありませんが、期間限定の島外からの労働者は「稼げればいい」という感じなので、住環境の悪さは我慢して、宮古島に働きに来ます。

家賃値上げ

2015年の伊良部大橋開通後、観光地としての全国的な知名度が高まったことで、宮古島には観光客が急増しましたが、それまではのんびりとした離島の小さな島。

アパートの数自体がそれほど多くありませんでした。アパートに住むのは宮古島の若い夫婦や子育て世代、移住者の家族ぐらい。需要は限られていました。

建設ラッシュでアパートの需要が極端に高まったことで、宮古島はアパート不足に陥りました。

ここぞとばかりに稼ごうと頭を働かせたのが、不動産屋とアパートオーナー。

宮古島の家賃はみるみるうちに値上がりしました。

宮古島の本来の家賃相場は1DKで3~4万円台。3DKで5~6万円台。これでも、宮古島の給料水準からすれば、高いと言われていました。

2018年頃には新築アパートの家賃は10万円に跳ね上がりました。

新築アパートの家賃を値上げするのは自由ですが、アパートオーナーは住人がいる部屋の家賃も値上げしてきました。

アパートの空室がないので大家は強気。どうせ引っ越せないだろうと足元を見て、いきなり3万円値上げした悪質なケースもあります。

我が家は2千円値上げされました。数千円の値上げも含めれば、かなりの住人が被害を受けました。

家賃値上げはあっという間に宮古島中に広がりました。

裏で不動産屋が動いているのは間違いありません。

宮古島の大手不動産屋は、家賃値上げをオーナーに働きかけています。複数のアパートのオーナーが「家賃値上げしませんか」と不動産屋に働きかけられたと証言しています。

法律上は家賃を値上げすることに問題はないのかもしれませんが、引っ越し先がない状況につけこんで家賃を値上げするのは感心できません。大手不動産屋が仕掛けているのですからかなり悪質と言えます。

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木造&コンテナアパート

2019年頃からは木造アパートやコンテナハウスのアパートが目立つようになりました。

本来宮古島の建物の99%は鉄筋コンクリート造です。過去に大きな台風を何度も経験している宮古島の人たちには「木造住宅は弱い」というイメージが定着しています。

住宅メーカーは「最近の木造は台風に強い」とアピールしていますが、島の人たちはなかなか信じません。

コンテナハウスは4畳ほどの広さ。ターゲットは建設作業員です。長く住む家としては狭すぎますが、期間限定の建設作業員なら我慢できます。

「コンテナハウスでもいいから従業員の寮を確保したい」というのが宮古島の建設業者の本音。

2019年に乱立した木造アパートとコンテナアパート。驚くことに、鉄筋コンクリートの新築アパートと変わらない家賃で貸し出されています。

宮古島不動産バブル全盛期には木造アパート、コンテナアパートで月10万の物件も普通にありました。

この流れがいつまでも続けば、宮古島の不動産バブルは膨れ上がる一方ですが、バブルは既にピークを超えています。

宮古島に住んでいれば「不動産バブルのピークは越えた」と実感できます。私の実感ではバブルのピークは2019年夏。この先は下がる一方です。

実際、不動産屋のホームページには、空室のまま借り手がみつからない木造アパートやコンテナアパートがたくさんあります。

この先も家賃を下げない限り借り手は見つからないでしょう。

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不動産バブル崩壊へ

宮古島不動産バブルの勝ち組は、2018年~2019年夏にアパートを建てた人。不動産バブルがピークに達したこの時期までに完成したアパートは、驚くほどの高い家賃で貸し出されています。

新築鉄筋コンクリート造、3LDK、家賃10万円のアパートの借り手がすぐに見つかる。アパート完成よりかなり早い時期に全入居者が決る。

2019年夏までの宮古島はこんな異常事態でした。

2019年夏以降は相場を大きく上回るアパートの借り手は簡単には見つかっていません。

不動産屋のホームページには「まだ不動産バブルは続いている」と主張するかのように高すぎる家賃の賃貸アパート物件が並んでいますが、実際は家賃相場通りの物件の空きも出始めています。

家賃相場通りの空きアパート物件が全くないわけではありません。すぐに借り手が見つかるので表に出てこないだけです。

宮古島への移住希望者は、不動産屋のホームページを見てあまりの家賃の高さに移住自体を諦めがちですが、不動産バブルがピークを超えた今ならチャンスはあります。

知人のつてを使って空室になる部屋を見つけて不動産屋にかけあったり、毎日不動産屋に通ったり。適正価格でアパートを借りる方法はあります。

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不動産バブルの末路

宮古島の不動産バブルがピークを超えた今でも、宮古島にはアパート建設現場が溢れています。

島民の「こんなに建てて大丈夫」という不安が現実のものになる日は遠くありません。

宮古島では建設ラッシュ自体が落ち着きつつあります。

島外からの建設作業員の日当も、下がり始めています。

今後、建設業者が寮として抑えていたアパートの部屋が徐々に空室になり、貸しに出されます。

宮古島は人口5万5千人の小さな島。小さな島だからこそ、需要の急速な増加に供給が追い付かなくなり、突然不動産バブルが膨れ上がりました。

突然膨れ上がったバブルは、突然崩壊へ向かいます。

そして、一度崩壊へ向かうと、歯止めがかからなくなるリスクがあります。

恐れるべきは、需要と供給が逆転するXデー。

需要は既に横ばいです。供給は増える一方です。

一度、需要と供給の逆転が起これば、その後は坂を転がり落ちるだけです。

宮古島には次々に新しいリゾートホテルが開業しています。

開業するホテルの従業員数を考えればアパート需要も増えそうですが、ここに新たな問題が浮かび上がります。

宮古島のホテル業は深刻な人手不足です。

ホテルの仕事はきついので、地元の人は働きたがりません。

ホテル会社はリゾートバイトを募集したり、ホテルの一室を従業員の寮にしたりしてまで従業員を確保しようとしていますが、かなり難航しています。

従業員を確保できなかったことが理由で開業が遅れているリゾートホテルもあります。

従業員が足りない状態で開業に踏み切り、開業後も従業員を大量に募集し続けているリゾートホテルもあります。

働く場所があっても、働く人がいないのが今の宮古島。

働く人が増え続ければアパートの需要も増え続けますが、家賃が高く、給料が安く、仕事がきつい宮古島に人が増え続けるとは思えません。

アパートの需要と供給の逆転以前に、人手不足が理由で宮古島の不動産バブルが足元から崩れる可能性もあります。

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今は静観

遅から早かれ宮古島不動産バブルは崩壊します。

建設作業員が減り、アパートの空き部屋が出始め、家賃が下がります。

家賃設定が高いままのアパートには誰も住まなくなります。

宮古島バブルに便乗して家賃を値上げしたオーナーはいずれ頭を抱えることになります。その時に家賃を下げたところで、人が戻ってきてくれるかどうか。

1週間もあれば噂が島の隅々まで広がるのが宮古島。

「あそこのオーナーはバブルの時に値上げした」という噂が何よりも恐ろしいです。

宮古島移住を考えている人、宮古島で引っ越そうとしている人は、下手に動かないことです。

損したくなければ、相場を大きく上回る家賃の物件には手を出さないことです。

宮古島の本来の家賃相場は、1DKで3~4万円台、3DKで5~6万円台です。宮古島の給料水準を考えればこれでもかなり高いです。

中古物件・新築一戸建て

宮古島不動産バブルの影響で中古物件の取引価格、新築一戸建ての建築費用もかなり高騰しています。

海沿いのリゾート用地は信じられないほど地価が上がっているところもあります。

海沿いの土地は例外ですが、住宅地の中古物件の取引価格、新築一戸建ての建築費用は今後落ち着いてくるはずです。

中古物件の取引価格はアパート不足の波に飲み込まれる形で高くなりました。新築一戸建ての建築費は建設ラッシュのあおりで高くなりました。

今後、アパート不足は解消し、建設ラッシュは落ち着きます。

宮古島不動産バブルが落ち着くまでは、不動産取引は控えた方が吉です。

アパート建設など宮古島での投資話も、乗るには遅すぎます。

宮古島不動産バブルの勝ち組は2019年夏までに完成したアパート。現在建設中のアパートは、バブルのピークを逃した物件です。

「宮古島不動産バブル」という言葉が独り歩きし、バブルがピークを超えた今も、アパートやコンテナハウス建築の投資話が出回っていますが、安易に手を出すのは危険です。

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まとめ

宮古島不動産バブルは既にピークを超えています。

今後、アパートの空室が増え、バブル価格の家賃の部屋には誰も手を出さなくなります。

バブルがピークを超えた現在も宮古島にはアパートの建築現場が溢れています。

宮古島不動産バブル崩壊のXデーは、アパートの需要と供給が逆転する日。

需給バランスが一度崩れれば、後は坂を転がり落ちるだけ。急速に膨れ上がったバブルは、急速で崩壊するリスクを伴っています。

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