宮古島に移住して5年。海の美しさは今でも毎回感動します。生活のしやすさは日本一ではないかと思うほどです。宮古島は本当にすばらしい場所です。
しかし、移住者として宮古島で生活し始めると、観光客として旅行していただけでは気がつかなかった宮古島のよくない部分が目についてしまうこともあります。
移住者の私が知ってしまった宮古島の「知りたくなかった真実」について書いていきます。
宮古島の良い面だけを知りたい方は、読まないことをオススメします。
良い面も悪い面も知った上で移住について考えたいという方は読んでみてください。
宮古島はゴミの島
「ゴミの島」というと大げさかもしれませんが、宮古島は「ゴミの島」と言われても仕方ないほど、不法投棄ゴミや海岸への漂流ゴミが多いです。町中でもポイ捨てされたゴミを見かけます。
観光客として宮古島を旅行していた時は「宮古島はゴミひとつないすばらしい島だ」と思いこんでいましたが、大きな勘違いでした。
不法投棄ゴミがあふれる宮古島
特に深刻なのは不法投棄ゴミです。不法投棄をしているのは、業者の場合が多いですが、一般市民が不法投棄している場合もあります。
海につながる雑木林の中や、道路から少し入った雑木の中、陥没して穴があいている場所などに、ゴミがどんどん投げ込まれています。
捨てられているのは、雑誌、ガラス、空き缶、空き瓶、布団、家具、タイヤ、壊れた自転車、動かなくなった車、船など。明らかに業者が捨てていると思われる金属くずやプラスチック類もあります。
沖縄県の平成25年度の調査によると、県内で不法投棄ゴミが一番多いのは宮古島。2600トンの不法投棄ゴミのうち、なんと1600トンが宮古島。この小さな宮古島に、沖縄県全体の6割もの不法投棄があったのです。
警察は取り締まりをしていますし、宮古島市は捨てられた不法投棄ゴミを撤去する事業をしていますが、不法投棄は全くなくなりません。
2015年には、伊良部島に大量のゴミを不法投棄した団体の代表が逮捕されました。
なぜ不法投棄がなくならないのか
原因は様々だと思います。業者に関してはモラルが低いとしか言いようがありません。自分たちでゴミ処理施設に運べばいいのに、それを原野に捨てるのですから、ひどい話です。ただ、そんなモラルの低い業者でも、契約を受注して仕事ができるのが宮古島の現実です。
一般市民に関してもモラルの問題なのですが「昔はここがゴミ捨て場だった」というケースもあります。
一般家庭ゴミは市役所から委託されが業者が収集して島内のゴミ処理施設で焼却していますが、以前は家の近くの「ゴミ捨て場」にあたり前のように投げ捨てていたところもあるようです。こういう話は特に伊良部島でよく聞きます。
行政にもモラルがない
宮古島市役所は不法投棄ゴミを撤去する事業を行っています。
不法投棄の一番の問題は不法投棄をする業者や一般市民なのですが、捨てた人たちを特定して「ゴミを撤去しなさい」ということはできないので、市役所が税金を使って不法投棄ゴミを撤去しています。
県内でもダントツで不法投棄ゴミが増えてしまった宮古島。市役所は2014年に撤去事業を行い「全ての不法投棄ゴミを撤去した」として「ゴミゼロ宣言」を行いましたが、この事業で大きな問題が起きてしまいました。
市役所職員と撤去事業を請け負った業者が口裏を合わせ、「撤去しきれなかったゴミを、全て撤去したかのように見せかけた」のです。
どうやって「みせかけた」かというと、撤去した不法投棄ゴミの重さを計る時に、ゴミの量が少なすぎたので、コンクリートブロックを加えて重さを計ったのです。
そんな子供だましみたいなことできるの?と思うのが普通の感覚ですが、できてしまうのが宮古島。
市役所職員と業者が口裏を合わせていたのですから、かなり悪質です。
問題は宮古島市議会の議員に指摘されたことで明らかになりました。
その後、市民が刑事告発し、市役所職員は「収賄罪(わいろをもらった罪)」の疑いなどで裁判にかけられました。職員は有罪となり解雇となりました。
有罪の理由は「公文書偽造(行政の文書を偽造した)」。「収賄罪」では有罪にはなりませんでしたが、業者と市役所との癒着を指摘する声は島内に根強くあります。
この問題では、市長や担当部長を相手にした住民訴訟も行われていてます。
漂着ゴミで埋め尽くされるビーチ
観光客にはほとんど知られていませんが、宮古島は海岸漂着ゴミがとても多いです。特に冬場、宮古島の東側の海岸の砂浜の多くは、漂着ゴミで埋め尽くされます。
観光客に人気の砂山ビーチ、与那覇前浜ビーチなどは、海流の関係でほとんどゴミが漂着することはありません。いつ見てもとても美しいです。
新城海岸や吉野海岸など、夏場は観光客でいっぱいのビーチも、実は冬は漂着ゴミがとても多いです。
観光客が利用するエリアは海の家のスタッフが清掃しているので冬もきれいです。少しずれると大量の漂着ゴミがあります。
地元の人がよく利用する海岸で特に漂着ゴミが多いのは「保良漁港」「高野漁港」
島の東側にあり、外洋と直接つながっているので、漂流ゴミがダイレクトで海岸に漂着します。
私も初めて見た時は驚きましたが、砂浜を埋め尽くすほど、漂着ゴミが溢れています。空きビン、空き缶、プラスチック類、浮や網などの漁具。中国語や韓国語の表記があるペットボトルも多く、漁船から捨てられたと思われるゴミも多いです。
海岸清掃ボランティアが漂着ゴミを拾う活動をしていますが、30人で3時間作業しても、全てのゴミは取りきれないほど漂着ゴミは多いです。
ボランティアがゴミを全て拾ったとしても、その翌日からゴミは漂着し続け、数ヵ月後には元の状態。
地元の人は「ゴミは漂着するのはあたりまえ」という感覚。海岸清掃ボランティアの参加者はほぼ100%移住者です。
町中にもゴミはある
「美しい南国の楽園・宮古島。ポイ捨てされたゴミは全くありません」と言いたいところですが、町中にもゴミが結構あります。
道路沿いにはタバコの吸い殻、空き缶やペットボトル。ビーチには花火のカス、バーべキューのゴミ。
ビーチのゴミは観光客が捨てたものが多いです。最近では中国人観光客も増えていて、食べ物のパックなどを放置している様子もよく見かけます。
ゴミを捨てているのは観光客だけではありません。宮古島の人たちの中には車や船から平気でゴミを投げ捨てる人がいます。特に年配の男性に多いです。
宮古島には宮古神社という神社があり、島の若者たちの年越しスポットになっています。元日の朝になって周辺が明るくなると、神社の周辺に大量のゴミが落ちているというのが毎年の新年の光景です。
日本全国どこでもゴミを捨てる人はいるし、宮古島が特にひどいとは思いませんが、移住者の立場からすると「こんなに美しい海があるのだからもう少しゴミが減ればいいのに」と思ってしまいます。
まとめ
宮古島の不法投棄ゴミや海岸漂着ゴミ、町中のゴミについてまとめてみました。
移住者の中には、この状況にうんざりしてしまっている人もいます。
移住5年の私の私見ですが、移住成功する人たちは「不法投棄が多いなんて許せない」「ゴミ問題を私が何とかしてやる」と鼻息を荒くするタイプではなく、ゴミの多い状況を受け入れた上で、黙々とゴミを拾うことができる人です。
宮古島の「知りたくなかった真実」に直面した時、どう対処するかが、移住失敗しないための鍵になるかもしれません。