沖縄移住5年。子育て中のshimagurashiです。
沖縄の出生率は全国でもダントツ。45年連続で全国1位を記録しています。
沖縄はとにかく子だくさんで、兄弟の数が多いです。
沖縄の出生率はなぜ高いのか?沖縄生活5年で実感した理由をまとめました。
子だくさん夫婦は手抜き上手。冷凍幼児食などを賢く使って家事育児の負担を減らしています。
出生率が異常に高い
1人の女性が生涯に産む子供の数を推定する合計特殊出生率。
2018年の沖縄県の合計特殊出生率は1.89。
全国平均の1.42に比べ異常に高いです。
2位「島根県」1.74、3位「宮崎県」1.72、4位「鹿児島県」1.70、5位「熊本県」1.69と比べても、沖縄の出生率はダントツで高いです。
沖縄の合計特殊出生率は45年連続で全国1位。
全国的には少子化傾向ですが、沖縄では人口が増え続けています。
子だくさんの島
沖縄はとにかく子だくさんの島。
実際に住んでみると、兄弟の数の多さに驚かされます。
沖縄には1人っ子がほとんどいません。
2人兄弟、3人兄弟が多く、4人兄弟、5人兄弟もいます。
離島はさらに子供の数が多く、私の住む宮古島では30代で子供7人を育てる夫婦もいます。
沖縄で子育てをして感じるのは、周りに子供が多いと、自然と2人目、3人目を作ろうという発想になるということ。
子供が生まれる
→保育園に預ける
→兄弟の多さに衝撃を受ける
→子供の同級生はみんな兄・姉がいる
→子供の同級生のお母さんが妊娠中
→子供の同級生に弟・妹が生まれる
→うちも2人目・・・
沖縄で子供を保育園に預けると、1人っ子は圧倒的に少数派。
0歳児、1歳児の中には1人っ子もいますが、4歳児、5歳児になるとほぼ100%弟・妹が同じ保育園に通っています。
子供が多い環境に身を置くことで、2人目を生むことへの抵抗がなくなります。
沖縄で子育てをしていると3人目の壁もそれほど高くありません。
2人目が生まれる
→2人目を保育園に預ける
→2人目の同級生は3人兄弟・4人兄弟
→2人目の同級生のお母さんが妊娠。4人目らしい
→2人目の同級生が4人兄弟になる
→うちも3人目・・・
このループで自然に3人目の子作りを始める夫婦が多いです。
私たち移住者は保育園に子供を預けてから沖縄の出生率の高さ、兄弟の数に驚きましたが、沖縄で生まれ育った人たちは、生まれた時から兄弟が多い状態に慣れています。
今の子育て世代のパパ・ママが子供だった頃は今以上に兄弟が多かったです。
3人兄弟は当たり前。4人兄弟、5人兄弟で育ったパパ・ママもいます。
沖縄では子供が多い環境が出生率の高さにつながるという、好循環が続いています。
子供は宝
沖縄には「子供が宝」という価値観が定着しています。
沖縄の人たちはとにかく子供に優しいです。
スーパーで出会った知らないおばさんが赤ちゃんに微笑みかけてくれたり「かわいいね、何歳?」と声をかけてくれたり。
公園で子供を遊ばせていた時に、知らないお母さんがお菓子を分けてくれたこともあります。
子供のお祝いごとも多いです。
私が住む宮古島では、子供が生まれると家で盛大にお祝いをします。
お祝いには家がパンクするほどたくさんの人たちが来ます。
親戚、母の同僚、母の同級生、父の同僚、父の同級生、祖父母の友人・・・。
多い家だと200人ぐらい来ます。
普通の民家に、200人が入れ替わりやってきてはお祝いを渡し、子供の顔を見て、酒を飲んで帰っていきます。
小学校入学、高校合格時のお祝いも盛大です。
沖縄では、子供を産むと「えらい」とほめられます。
東京など都会の職場だと、子供を産むと「空気読め」と冷たい視線を浴びせかけられ、退職に追い込まれるケースもありますが、沖縄では妊娠したことを職場の人たちが素直に喜んでくれます。
私は宮古島で会社員として働いていますが、仕事の成果でほめられたことはほとんどありません。
沖縄では仕事で成果を出すよりも、子供を産むことの方が正義。
会社で一度もほめられたことのない大先輩の女性に「この人は県外から来て2人も子供を生んで偉い」と言われた時は衝撃を受けました。
職場の子育てへの理解があると、自然と2人目、3人目を考えられるようになります。
子供が保育園で発熱してお迎えに行く時も、殺伐とした雰囲気は全くありません。
「子供が熱出しました」「早く行ってあげて」と即時に帰宅を認めてくれます。
実際に子供が生まれ、沖縄で子育てをしながら働くことで、沖縄の出生率の高さ、子だくさんの理由を実感しました。
子育てに優しい環境にいると、自然と人に頼れるようになります。
1人で頑張らなくてもいいんだ、誰かの手を借りてもいいんだと思える安心感がゆとりある子育てにつながります。
知り合いに子供を預けたり冷凍幼児食を使ったりして適度に手を抜くことで、自然と2人目、3人目を考えるようになります。
古い価値観
沖縄は良くも悪くも古い価値観が支配している島。
助け合って子育てをする、自助、共助の精神が定着しています。
親戚同士が助け合うのは当たり前。親戚でなくても互いに支え合いながら子育てをしています。
子供が小学校に入り、部活動を始めると、同級生の親がついでに送り迎えをしてくれたりします。
学校が終わってから親が帰ってくるまでの間、近所の子供の家で遊ばしてもらったりします。
沖縄は子育てにオジーオバーが参加するのは当たり前。
賃金水準の低い沖縄では、共働きでなければ子育てはできません。
両親ともフルタイムの会社員で働いている人、父が会社員、母がパートで長時間働いている人、父・母ともダブルワークで働いている人。
沖縄には共働きで3人、4人の子供たちを育てている親が普通にいます。
オジーオバーが保育園の送り迎えをしたり、部活をしていない子供を放課後預かったりしてくれます。
親が知らないうちに、オジーオバーが子供に知恵を与えてくれます。
良い知恵だけでなく、悪知恵も身についていきます。
親が子供にチョコレートを食べさせない方針でも、オジーオバーは平気でチョコレートを与えます。
子供にユーチューブを見せないようにしていても、オジーオバーが子供にユーチューブをエンドレスで見せたりします。
沖縄では、子供は親だけのものではありません。沖縄の子はみんなの子。オジーオバーの子供であり、親戚みんなの子供であり、地域の人たちの子供であり、同級生のお父さん・お母さんの子供でもあります。
子供を見守る目がだくさんあるのはすばらしいことですが「自分が子供の全てを把握していたい」というタイプの母親は沖縄では子育てに苦労します。
おきなわには「なんくるないさ~(なんとかなるさ)」精神が根付いています。
子供を産んでもなんとかなるさ~。2人目産んでもなんとかなるさ~。3人目産んでもなんとかなるさ~。
計画的に子供の数をコントロールするような発想は沖縄にはありません。
「子供は2人」などと子供の数をはじめから決めている夫婦はほぼいません。子供の数は自然のなりゆきに任せです。
自然のなりゆきに任せるので、避妊にも消極的。
1人目が生まれた後「しばらく期間をあけよう」と避妊して行為をするようなことはありません(実際に他の家の夜の営みを拝見したわけではないので推測ですが、ほぼ確実です)。
家は長男が継ぐものだという古い発想が残っている家もあります。
宮古島では数十年前まで「男の子を産む嫁は偉い」「女の子しか産まない嫁は恥」という考え方がありました。
さすがに今では男の子を産まない嫁を姑がいびるようなことはありませんが、長男を望む風習は根強く残っていて、男の子が生まれるまで子作りにチャレンジする人もいます。
私の知人には女の子の4人姉妹もいます。「次こそは男の子」と願ったものの、女の子が生まれ続けた典型的なパターンです。
出生率が高いデメリット
出生率が高いことによるメリットもあればデメリットもあります。
沖縄の子供の貧困率は全国ナンバーワンです。
沖縄では20歳前後で1人目を産む母親がとても多いです。
高校を卒業後、すぐにパートナーを見つけ、できちゃった結婚というパターンがとても多い。
避妊に対する意識が低く、望まない妊娠もあります。
10代で子供を産むことが必ずしも悪いことではありません。高校の同級生と卒業後結婚し、夫婦二人三脚で5人子供を産んだ人もいます。
一方で、子供を産んだ直後に離婚したり、未婚の母になったりして、10代でシングルマザーになるパターンも少なくありません。
助け合って子育てをする風習が残っている沖縄では、親戚が子育てをサポートしてくれますが、収入面での不安は否めません。
子供の学力が低いのも大きな課題です。
「全国学力テスト」で、沖縄の中学生の成績は全国最下位クラス。
子供の勉強をサポートする余裕がない、親が子供の学力を重視していない、部活ばかりさせている、子供の教育資金がないなど、理由は様々。
BIGINが名曲「島人の宝」で「教科書に書いてあることだけじゃわからない、大切なものがきっとそこにあるはずさ~」と歌っていますが、教科書に書いてあることも大切です。
沖縄の子供の虫歯率は全国ナンバーワン。子供の肥満率も高いです。
お菓子しか食べない子も許してしまうような、ゆる~い空気感が沖縄にはあります。
移住者の落とし穴
沖縄は出生率がダントツで高く、子だくさんの島。
子だくさんの島はとにかく子育てがしやすいです。
「子供は宝」「島の子はみんなの子」という価値観が定着していて、島の人たちがみんなで子供を守ってくれます。
沖縄のスーパーは子連れで買い物する人がとにかく多いです。
大人数での買い物に対応できるように、スーパーの通路の幅がかなり広いです。お菓子コーナーが驚くほど充実しています。
スーパーで子供が大きな声を出しても、走り回っても、注意する人はいません。
子供がいない移住者、子供が嫌いな移住者の中には、子供に寛容すぎる沖縄の環境を毛嫌いする人もいます。
単身の移住者、夫婦2人の移住者は沖縄では警戒されます。
私たちは夫婦2人で沖縄に移住しました。子供が生まれるまでは地域の人との交流はほとんどありませんでした。
沖縄の人たちは縄張り意識が強く、移住者に積極的に関わろうとはしません。素性のわからない移住者は近寄りにくい存在です。
子供が生まれると、島の人たちは移住者に寛容になります。
家庭が見えることは、安心感につながります。
「島に根を下ろし、この土地で子供を育てようと頑張っているんだな」と理解してくれます。
ただし、移住者の沖縄での子育ては困難を極めます。
沖縄の子育てのしやすさは全国ナンバーワン。これはまぎれもない事実ですが、子育てしやすいのは周りのサポートがあるからこそ。
オジー、オバー、近所の人たち、母の同級生、父の同級生・・・。
沖縄生まれ沖縄育ちの親は、子育てで気兼ねなく頼れる人が周りにたくさんいます。
移住者の子育ては誰も助けてくれません。
子供が生まれる前に、沖縄の人たちと信頼関係を築き、運よく子育てをサポートしてくれる人に出会えれば子育ては楽になりますが、簡単にはいきません。
移住者の子育ては地元出身者の子育ての何倍も大変です。
出生率が高い意外な理由
最後に。実際に沖縄で暮らしてみて感じた出生率が高い意外な理由。それは・・・。
「死をを恐れないこと」
大げさかもしれませんが、沖縄の人たちは、内地の人たちに比べて、死を恐れていません。
輪廻転生の考え方。人間も自然の一部だという価値観が定着しています。
沖縄の人たちは「死」を受け入れるハードルが低いです。
自ら簡単に命を絶つようなことはありませんが「死ぬ時が来たら受け入れる」という考えの人が多いです。
「死を恐れない」のは「命はつながっていく」という思いが強いから。
ひーじーちゃんは、じーちゃんに思いを託して死んでいきます。
じーちゃんはとーちゃんに思いを託して死んでいきます。
とーちゃんが死ぬ時は、子供に思いを託します。
沖縄の人たちは「いつか死ぬ」ことを当然の事実として受け入れています。だからこそ、子孫を残し、子供たちに未来を託すのです。