宮古島移住者のshimagurashiです。
宮古島移住者の中には、宮古島市役所がある市街地エリアに住んでいる人もいれば、伊良部島や池間島、城辺など、田舎のエリアに住んでいる人もいます。
宮古島で移住者が暮らすなら市街地と田舎どっちがいいかをまとめました。
あなた次第
先に結論を言ってしまうと、市街地と田舎どっちがいいかはあなた次第。
「市街地に住めば移住成功」「田舎に住めば失敗」などという単純な構図ではありません。
宮古島でどういう暮らしがしたいのか、移住の目的は何か、職場はどこか、単身移住か家族での移住か、子供の年齢、など、あなたの状況によって結論は変わります。
移住の目的、家族構成別に、市街地で住む場合と田舎で住む場合の違いをまとめます。
宮古島の市街地はどこ
宮古島で市街地とされるのは宮古空港と平良港の間のエリア。
宮古空港から平良港側に向かうと、住宅や企業、ホテル、店舗が集中する市街地エリアが広がっています。
宮古島では小学校の場所で地域を区分します。市街地エリアは学区で言うと平良第一、南、東、北、久松学区。
地元の人たちは市街地エリアを「平良(ひらら)」と表現します。
「平良」は厳密には池間島や狩俣、島尻、大浦、西辺なども含まれますが、地元の人が「平良」というときは住宅や企業、店舗が密集している市街地エリアを指します。
市街地エリアには全人口の約7割が集中しています。
宮古島の田舎はどこ
宮古島の市街地エリア以外は地元では「郡部(ぐんぶ)」と表現されます。郡部=田舎です。
宮古島では2005年に市町村合併がありました。
平良市、城辺町、伊良部町、下地町、上野村の5市町村が合併し「宮古島市」となりました。
平良市以外の城辺、伊良部、下地、上野は宮古島の中でも田舎とされています。旧平良市の中では島の北側の池間島・狩俣・島尻・大浦・西辺は田舎のエリアです。
宮古島では田舎のエリアほど古い住宅が多く、高齢化が進んでいます。
市街地エリアではアパート建設が盛んですが、田舎にはアパートはほぼありません。
生活のしやすさ
市街地エリアの方が田舎よりも生活はしやすいです。
宮古島は人口5万5千人の小さな島ですが、生活に必要なものはすべて市街地エリアにそろっています。
市街地エリアには市役所、銀行、郵便局、スーパー、ドラッグストア、コンビニ、衣料店などが密集しています。
私は宮古島の市街地エリアに5年以上住んでいますが、生活はとても便利です。
東京に住んでいた頃よりも生活は便利です。
欲を出さず、贅沢をせず、地に足をつけて毎日の生活を営むだけなら、東京より宮古島の方が便利です。
移動に車は必須ですが、車があればスーパーもコンビニも5分以内につきます。
都会に比べれば信号が少なく、渋滞はほとんどありません。沖縄本島の市街地エリアは渋滞がひどいですが、宮古島の市街地エリアは車が少なくストレスも少ないです。
市民憩いのパイナガマビーチ、カママ嶺公園も家から車で5分です。
宮古島での生活が始まると、移住生活は「夢」ではなく「現実」になります。
お金に余裕があれば別ですが、現実の暮らしは忙しいです。
必要なものが生活圏内にそろっている市街地エリアの方が、移住生活のハードルは低いです。
田舎には、JAが運営するスーパー「Aコープ」や小さな商店が地域に1つある程度。
最低限の食料品は変えますが、市街地のスーパーに比べれば値段はやや高いです。
宮古島で暮らすなら車は必須。特に田舎エリアに住むなら、車なしでは何もできません。
のんびり暮らすなら
スローライフを求めて宮古島に移住してくる人たちは、田舎エリアに住みたがります。
「せっかく宮古島に移住するのに住宅が密集する市街地エリアに住むのはもったいない」「サトウキビ畑に囲まれてのんびりと暮らしたい」という考えです。
田舎の方が土地に余裕があり、自然が多いです。
宮古島の田舎エリアにはポツンと一軒家があるような場所は少なく、20戸~300戸ぐらいの集落が形成されています。
田舎の方が土地が安く、住宅の敷地は広いです。
市街地エリアの住宅用地の土地価格相場は8~10万円ですが、田舎エリアは3~5万円。
土地購入のハードルは低いです。
定年退職組の移住者がのんびり暮らすなら、田舎はいい環境です。
市街地エリアに比べ静かで、空も広く、人が少なく、よりのんびりとした気持ちで生活できます。
空気は澄んでいて、夜には星空もきれいに見えます。
市街地エリアだと、夜にパトカーの音や酔っ払いの声、車のエンジンをかける音やクラクションが聞こえることがありますが、田舎は静かです。
地域に溶け込むなら
宮古島移住者は基本的に地元の人に警戒されます。
島の人たちの中には移住者に対してアレルギー反応を示す人もいます。
極端に言えば移住者=「内地から逃げてきた犯罪者」という古い考えを持つ人も少なくありません。
宮古島では田舎に行くほど移住者に厳しい傾向があります。
田舎で地域に溶け込むのは簡単ではありません。
宮古島で5年以上暮らす私の実感ですが、宮古島の田舎で生きていけるのは、空気を読める人か、極端に空気が読めない人のどちらか。
空気を読める人はうまくやれば地域に溶け込めます。極端に空気が読めない人は地域に溶け込もうなどという発想がなく、田舎で人とかかわらずに孤独に暮らします。
空気が読めない人は田舎では生きていけません。地元の人に白い目で見られたり、陰で悪口を言われたりします。
田舎の人たちは、移住者の素性を気にします。
家族構成や、どこの職場で働いているのかなどの情報が移住者への警戒を解くきっかけになります。
特に単身移住者は警戒されます。夫婦での移住も警戒されがち。子供がいれば子供をきっかけに交流の輪が広がり、地域に溶け込みやすいです。
宮古島で地域に溶け込むためには、地域のルールを理解し、それに従って生きることです。
エリアによっては、酒の付き合いが大事だったり、伝統行事への参加を求められたりします。
地域に溶け込むのは簡単ではありません。
池間島や西辺、城辺、伊良部島など、田舎で地域に溶け込んで暮らしている人は、自分を犠牲にしてでも地域を理解しようと努力しています。
田舎でたくましく生きる移住者は、見た目も話し方も地元の人のような雰囲気になっていきます。
宮古島の人は、島の人と移住者を一瞬で見分けます。特に田舎の人ほど移住者を選別する目は厳しいです。
市街地エリアのアパートでさえ、同じアパートの住人の家族構成や職場をなんとなく知れてしまうのが宮古島です。
田舎に住むなら自分と家族のプライベートをさらけ出す覚悟が必要です。
田舎に住んで、誰とも交流せず、周りから白い目で見られても全く気にせず生きていくことも可能です。
島の人は「この移住者は言ってもわからん」と思えば放置します。
放置される孤独に耐える心の強さ、空気を読まない覚悟があれば、田舎でも生きてはいけます。
人柄
宮古島の人たちは基本的に優しく温厚な性格です。
男性は口数が少なく、お酒が入らないと本音を言わない人もいますが、心は優しいです。
田舎は地域内のつながりが強く、集落内は全員が親戚のように関係が深いです。
宮古島の田舎の集落は歴史上、漁民集落と農民集落に分かれます。
池間島や伊良部島の佐良浜、平良の久松、西辺、大浦、城辺の友利などは漁民集落。
漁民集落の人たちは農民集落の人たちに比べて性格が開けていて、明るく、豪快な印象です。先輩と後輩の結びつき、酒の席、地域行事が盛んです。
農民集落の人たちは、漁民集落に比べれば控えめな性格の人が多いです。地に足をつけて、焦らず、動じず、朗らかに暮らしている印象です。
漁民集落は比較的移住者が多いです。住む人がオープンな性格なので、移住者を受け入れやすいのも関係しているかもしれません。単純に海が近いから移住者が多いだけかもしれません。
インギャーマリンガーデンがある城辺の友利集落は典型的。
インギャーマリンガーデンの近くには移住者の別荘が乱立しています。海が見える高台の土地は別荘用地に最適で土地は高値で取引されています。
城辺友利の地元の人たちは海からは少し離れた場所に集落を形成して住んでいます。
「移住者エリア」と「地元エリア」がここまではっきりわかれている地域は友利以外にはありません。
住むエリアがはっきり分かれているので、移住者と地元の人たちの交流はありません。
地元の人たちの中には「怖いから下(移住者エリア)にはいかない」という人もいます。
特に島のオジーオバーは移住者が来ることに敏感です。
2019年に人口約200人の来間島に巨大リゾートホテル「シーウッドリゾート宮古島」が開業しました。
島内の車の行き来が激しくなり、観光客が増えました。
来間島に住みたいと考える移住希望者も増えています。
来間島のオジーオバーは「どんな人が来るのか」と井戸端会議して心配しています。
移住者が田舎に住むなら、市街地エリアに住む以上に「おじゃまします」という肩身の狭い思いをする配慮が必要です。
台風・停電
宮古島の台風は猛烈です。
暴風域に入ると命の危険を感じます。外に出る人はいません。住民は家でひたすら風雨が去るまで耐えます。
田舎も市街地も風が強いですが、特に海沿いの風の強さはすさまじいです。
移住者にはオーシャンビューの物件が人気ですが、オーシャンビューの物件ほど風は猛烈です。
宮古島の田舎エリアは市街地エリアに比べてすぐに停電します。
復旧にも時間がかかります。
宮古島には、停電を伴う台風が毎年3~5個ぐらい接近します。
市街地エリアだと数時間の停電で復旧する場合が多いですが、田舎だと復旧までに丸1日~2日かかることもあります。
田舎は停電の被害が大きいので、小型の発電機がある家も増えてきています。
最近では充電式のポータブル電源が人気です。
宮古島で毎年台風と停電を経験している私。
市街地エリアに住むなら発電機なしでも耐えられますが、田舎に住むなら発電機かポータブル電源なしでは心配です。
子育て環境
市街地エリアには小学校が5校(平良第一小、南小、東小、北小、久松小)、中学校が3校(平良中、北中、久松中)、高校が3校(宮古高校、宮古工業高校、宮古総合実業高校)あります。
子育て世代は毎日が家と職場と保育園の往復。宮古島では小学校・中学校・高校に送り迎えする親も多く、毎日家と職場と学校を車で往復している親もいます。
宮古島は所得が低く共働き世帯がほとんど。
毎日忙しく働きながら子育てもするなら、市街地エリアがベスト。
慌ただしい毎日の中で、家と職場・保育園・学校が近く移動時間を短縮できれば、少しは余裕が生まれます。
私は市街地エリアで子育てをしていますが、環境はとても良いです。
カママ嶺公園、盛加越公園、海空すこやか公園など、広大な芝生と遊具のある公園が複数あります。
市民憩いのパイナガマビーチも近いです。
子連れで外食できる店も多く、ドラッグストア―や衣料品店、西松屋が近くにあるので子供用品の買い出しも便利です。
宮古島の人たちは子どもたちを大事にしてくれます。
子どもがいる人もいない人も、島の子どもたちをかわいがってくれます。こわもてのおじさんも、子どもにはにこにこ笑いかけてくれます。
スーパーでの買い物に子どもを連れてくる人がとても多いです。
都会のスーパーだと、子連れで買い物をしていると他の客に迷惑がられますが、宮古島ではあたたかい目で見てもらえます。
スーパーやドラッグストアの店内で子どもたちは自由に動き回ります。注意する人はいません。
都会の感覚からすると、店内で子どもが自由すぎてイライラするかもしれませんが、宮古島では許されてしまいます。
レジのおねえさんも、子供のお菓子は袋にいれず、シールを張って子供に渡してくれたりします。
宮古島は子どもたちの部活動も盛ん。市街地エリアの学校はバレー・バスケ・サッカー・野球・吹奏楽など、子供たちの部活の幅も広いです。
田舎の学校は廃校・統合が進んでいて、子育て世代の中には田舎を離れて平良の市街地に引っ越す人もいます。
田舎から市街地に通勤している親の中は、市街地の学校に子どもを通わせ、車で送り迎えしている人もいます。
田舎の学校は今後も統廃合が続きそうです。
田舎では特に子どもはかわいがってもらえます。
田舎の集落はどんどん子どもが減っているので、移住者が子連れで住むと歓迎されることもあります。
集落の人たちが子育てを助けてくれることもあるかもしれません。
まとめ
宮古島移住者が暮らすなら市街地と田舎どっちがいいかをまとめました。
どっちがいいかはあなた次第。ただし、田舎の方が移住生活のハードルが高いのは間違いありません。
移住者の多くは市街地エリアのアパートに住んでいます。最初から田舎の一軒家に住む移住者は少数派です。
田舎暮らしが理想だとしても、まずは市街地エリアのアパートに3年ほど暮らし、宮古島との相性を肌で感じ、それぞれの集落の特徴を把握してからの方が無難です。