宮古島に移住してからの5年間「移住は失敗だったかもしれない」と思ったことは何回もありました。
理由は様々ですが、宮古島の人たちに「移住失敗」をつきつけるような言葉を言われたことがきっかけになったこともありました。
今回は、宮古島の人たちに言われて、私が大きなショックを受けた3つの言葉を紹介します
(ちょっと胸が痛みますが頑張って書いてみます)
「ここは楽園なんかじゃない」
宮古島に移住し、仕事を初めて1ヶ月ぐらいたった頃、職場で私の教育係だった男性の先輩に言われた言葉です。「ここは楽園なんかじゃない。移住者は楽園だと思ってるだろ。この世に楽園なんてあるわけない」
移住当初の私は、宮古島に移住できたことへの満足感に満たされていました。毎日ストレスと頭痛を抱えながら働いていた前の職場から抜け出せたことへの安心感。人生の一歩を大きく踏み出したことへの喜び。
前の職場でかなり厳しい環境で働いていた私にとっては、宮古島は楽園とも思える場所でした。信じられないほど美しい海。ゆっくりと流れる島時間。宮古島の風景全てが輝いて見えました。
移住5年たった今でも、海の美しさは見るたびに感動しますし、ゆっくりと流れる島の空気感も大好きです。ただ、宮古島は楽園?と聞かれると「はい」とは即答できません。移住を考えている人たちに、軽い気持ちで移住を勧めることもできません。
自然環境は厳しく、給料は少なく、人間関係には独特の難しさがある。「楽園」とはほど遠い宮古島の姿も多く目にしてきました。長く生活していると、島の良くないところもかなり目についてきます。
今となっては「ここは楽園なんかじゃない」と私に言い放った先輩の言葉の真意はよく理解できます。宮古島で5年間しか生活していない私とは比べ物にならないぐらい、先輩は宮古島の良いところも悪いところも全て目にしてきたはずです。
「ここは楽園なんかじゃない」
当時の私にはとてもショックな言葉でしたが、宮古島に移住した人ならどこかのタイミングで必ずぶつかる壁なのかもしれません。
「内地で使えない人間になってしまえ」
移住して1年ほど。宮古島での仕事にも少しずつ慣れてきた頃に、お酒が入った席で職場の大先輩に言われた言葉です。「宮古島での働き方に慣れると、もう内地では働けなくなる。内地で使えない人間になってしまえ」
もともと私は仕事が全てというような生き方をしていました。受験戦争、就職戦争に勝ち、職場で輝くことが人生の全てだと考えていました。
「仕事が全てではない人生を」と、人生を大きく方向転換させるために移住した宮古島でしたが「内地で使えない人間になってしまえ」という言葉にはさすがに大きなショックを受けました。
宮古島の人たちの働き方は独特です。職場にはとてもよく働く人もいれば、ほとんど働かない人もいます。内地の企業なら働かない人は周りから白い目で見られ、窓際に追いやられ、リストラの対象になるでしょう。
ただ、宮古島では働かない人も職場で浮くことはなく、「これが自分のやり方だ」と言わんばかりに堂々としています。
「働かない人がいることも認め、許したうえで、周りがフォローする」
これが島の職場でのルールです。私も最初は「同じ給料もらってるんだから働けよ」と思っていましたが、今となってはこのルールも受け入れられるようになりました。
このルールに慣れると「内地では使えない人間」になってしまいそうです。「成果を出すことが全て。相手を蹴落としてでも出世する」という内地の考えとは真逆です。
宮古島で5年間働いた私は「内地では使えない人間」に近づいてきているようにも思います。ただ、宮古島で長く働き、この場所で生きていくためには、必要な言葉だったのかもしれません。
「宮古島から出て行った方がいい」
移住して3年。ほぼ同じタイミングで2人に言われた言葉です。1人は職場の先輩。もう1人は仕事を通して仲良くなった飲み仲間。2人とも50歳ぐらいの男性。島でたくましく生きる、尊敬できる人たちです。
宮古島の人たちは基本的に「来るもの拒まず、去る者追わず」
移住者にわざわざ「宮古島から出て行った方がいい」などと言う人はほとんどいません。
だからこそ、私の人生のことを考えて言ってくれた「宮古島から出て行った方がいい」という言葉には重みがありました。
2人の言葉は「宮古島から出ていけ」というような高圧的なものではなく「地元に帰った方がいい。親の近くにいた方がいい」というのが真意でした。
2人はちょうど子供が島を出ていくタイミングでした。宮古島には大学や専門学校がないため、18歳になるとほぼ全ての子供が島を出ます。
島を出たあと、何年かして宮古島に戻ってくる人もいますが、内地で働き続ける人も多く、内地で嫁に行く女性もかなりいます。
「家族」と「子供」を大切にする宮古島。「宮古島から出て行った方がいい」という言葉は「島を出た子供は帰ってこないかもしれない」という自分自身の思いを、移住者の私の人生に重ねて伝えてくれた言葉でした。
まとめ
本音を語ることの少ない宮古島の人たちが、移住者の人生に踏み込んで発言をすることはほとんどありません。
「ここは楽園なんかじゃない」
「内地で使えない人間になってしまえ」
「宮古島から出て行った方がいい」
私に「移住失敗」をつきつけた3つの言葉は、今となっては移住生活を語る上では欠かせない大切な言葉です。