宮古島のバスが不便な理由〜これが島社会の縮図だ〜

宮古島に移住し5年以上暮らしていますが、路線バスは不便で全く使う機会がありません。

宮古空港に行く時ぐらいは便利であってほしいのですが、宮古空港と中心市街地を結ぶバスは、1日4本しかありません。

需要はあるはずなのに、なぜこんなにも不便なのか。

そこには深~い深~い理由があります。

宮古島の路線バスが少ない理由を知れば、沖縄の離島、宮古島の社会の縮図が見えてきます。

宮古空港の路線バス時刻表【写真あり】
宮古空港には、平良行き・宮国行きの路線バスがあります。平良行きを利用すれば、市街地までは約20分。 宮古空港の路線バスの時刻表をまとめました。主なホテルの最寄りのバス停も記載しました。 路線バスの時刻表・運賃は協栄バスホームペー...
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宮古島のバス業界

宮古島で路線バスを運行しているのは3社です。

宮古協栄バス

宮古島のバス業界のドン。観光バス約40台所有。路線バスは5ルート運行。宮古空港と市街地を結ぶ路線は協栄バスが独占。

八千代バス

宮古島第2のバス会社。観光バス約20台所有。路線バスは1ルートのみ運行。

共和バス

伊良部島に本社があるバス会社。伊良部大橋開通までは伊良部島でのみ運行していた。観光バスの所有はなし。路線バスは伊良部島と宮古島を結ぶ1ルートを運行。

協栄バスが宮古島のバス業界のボス。八千代バスが2番手。共和バスはこの2社に比べるとかなり規模が小さいです。

路線バスは3社合わせて7ルートあります。全て、市街地と田舎を結ぶ「生活路線」です。

市街地と宮古空港を結ぶのは「新里宮国線」で、この路線も「生活路線」と位置付けられています。

市街地から宮国に向かう路線が宮古空港を通るので、空港にもバス停を作ったという形です。

生活路線は補助金がもらえる

収益が見込まれる路線には補助金はありませんが、住民の生活の足となる生活路線は、赤字分を補助金で補てんできます。

宮古島の路線バスは、いつもガラガラ。

利用者は少ないですが、高校生が通学で使ったり、車のない田舎の高齢者が病院に行く時に利用したりしていて、住民の生活にはなくてはならない路線なので、補助金が交付されています。

宮古空港と市街地を結ぶ路線は、観光客の利用が多く見込まれるので本来は生活路線ではありませんが、「新里宮国線」の途中にあるので、生活路線と位置づけられています。

現状は、このような形で路線バスが運行されています。

観光客が増えてきているので、それとは別に、シャトルバスのような形で宮古空港と市街地を結ぶ路線を作ればいいじゃないか。

普通はそう考えるものですが、宮古島のバス業界は簡単には動きません。

観光バスの方がもうかる

ここからは少し突っ込んだ内容です。

会社の規模や実績を考えると、宮古空港と市街地を結ぶ新規路線を開設できるとすれば協栄バスです。

協栄バスは「プチバブル」と言われる宮古島の好景気の波に乗って、観光バス事業が大忙し。

40台の観光バスが毎日フル稼働。観光バスの台数が足りないので、福岡のバス会社からバスを借りているほどです。

観光バスの運転手も不足していて、沖縄本島から呼び寄せたり、定年退職した運転手を再雇用したりして対応しています。

正直、路線バスの新規路線を開発していられるほど暇ではないのです。

補助金が出ない宮古空港と市街地を結ぶ路線を新規開設しても、儲かるかはわかりません。

それよりは、利益が計算できる観光バス事業をどんどん伸ばしていった方がいいと考えるのが普通の企業論理です。

では、観光客のために宮古島観光協会が、協栄バスを説得すればなんとかなるんじゃないか?

私もそう考えましたが、これは絶対に無理です。宮古協栄バスの会長は、宮古島観光協会の会長でもあります。

しかも、10年近く会長職に居座り続けていて、会長にものを言える観光関係者はほとんどいません。

では、宮古島の行政の長、宮古島市長が要請するという方法は考えられないか?

これも絶対に無理です。宮古島市長は、協栄バスの会長に選挙でかなり票集めをしてもらっているので、何も言いません。

なんとも、宮古島らしいこの状況。沖縄の離島、島社会の縮図がここにあります。

宮古島に限らず、田舎に行けば日本はどこも同じかもしれませんが、少し残念な状況です。

タクシーの利益を守るため

宮古空港と市街地を結ぶ路線バスが1日4本しかないのには、もう1つ理由があります。

それは、宮古島のタクシーの利益を守るため。

協栄バスは、バスだけでなくタクシー業も行っています。「協栄バス合資会社」と「合資会社協栄タクシー」の2社があります。会長はどちらも先ほど出てきた観光協会会長です。

協栄タクシーのタクシー保有台数は宮古島で最も多いです。

協栄バス・協栄タクシーの会長は、宮古島観光協会の会長であるだけでなく、宮古島タクシー協会の会長でもあります。

宮古空港と市街地を結ぶ路線を増やせば、タクシー業の収益を圧迫することにもなるので、新規路線は開設されません。

なんとも宮古島らしい現実です。

そんなバス業界にも変化が

3社独占で利益を守ってきた宮古島のバス業界ですが、ここ数年で新しい動きが出てきました。

島外の観光バス会社の新規参入です。

新規参入のバス会社は、独自に観光バスツアーを組むなどしていますが、協栄バスと八千代バスの牙城が崩れる気配は全くありません。

JTBなど大手旅行会社が手配するツアーで使われるのは必ず協栄バス・八千代バスです。

協栄バス、八千代バスは、良い時代も悪い時代も、宮古島への観光客誘致に大きく貢献してきました。

新規参入してきた島外の業者に利益を持っていかれるよりは、地元のバス業者が儲かった方がいいという考えもあります。

移住者の私のような立場の者が、偉そうにものを言うべき問題ではないことは百も承知です。

ただ、小さな声で少しだけ言わせてもらえるならば、宮古島の重鎮たちにもう少し観光客目線で物事を考えるようになってほしいです。

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