2015年1月に開通した伊良部大橋。宮古島と伊良部島を結ぶ全長3540メートルの橋で、無料で渡れる橋としては日本最長を誇ります。
伊良部大橋開通後、宮古島・伊良部島には観光客が急増。伊良部大橋の交通量も年々増えています。
2019年5月伊良部大橋開通後初めて大きな交通事故がありました。伊良部大橋の交通事故、転落事故、橋の開通がもたらすデメリットをまとめました。
交通事故
伊良部大橋開通後、ニュースになるような大きな交通事故はほとんどありません。伊良部大橋は片側一車線の見通しのいい橋。普通に通行していれば事故は起きません。
2019年5月12日、伊良部大橋開通から4年目。初めて大きな事故が起きました。伊良部大橋の伊良部島側で、レンタカーと軽自動車が衝突。追突事故ではなく反対車線を走っていた車同士が正面衝突に近い形で衝突しました。
2台の車には合わせて8人が乗っていて、6人が救急車で病院に搬送されました。
宮古島、伊良部島で、6人もの搬送者が出る交通事故は数年に1度しかありません。宮古に救急車は4台だけ。宮古島に3台。伊良部島に1台。4台の救急車が一つの事故現場に集まるのはかなり珍しいです。
重傷者がいなかったのが幸いですが、道路幅の狭い伊良部大橋では救急車もスムーズに走行できず到着に時間がかかりました。
事故処理のため、伊良部大橋は片側交互通行となり、伊良部島側、宮古島側とも長い車の列ができました。事故があったのは5月の第2日曜日。ゴールデンウィーク明けとはいえ、観光客も多く、レンタカーや地元の人たちの車が渋滞に巻き込まれました。
う回路がないので渋滞は長くなるばかり。橋を渡るのに1時間ほどかかった人もいました。
事故で大破した車が橋の上から移動したことで渋滞は解消しました。渋滞解消まで2時間以上かかりました。
転落事故
伊良部大橋の最も高いところは高さ33メートル。転落すれば命の保障はありません。
2017年9月4日の深夜、伊良部大橋から男性が転落死しました。
男性が転落したのは橋の最も高いところ。車を止め、ふざけて橋の欄干を乗り越え、足を滑らせて転落しました。一緒にいた女性が通報しましたが、翌朝、転落現場の真下に近い海底に男性が沈んでいるのが発見されました。
転落したのは男性が女性にプロポーズした直後だったという話があり、その話題性から全国ニュースでも報道されました。
男性は当時30代。伊良部島在住で介護の仕事をしていました。
伊良部大橋の開通から2年半。伊良部大橋開通のお祝いムードに沸く中で起きた悲しい事故でした。これ以降、伊良部大橋での転落事故はありません。
危険な橋
橋そのものが観光名所となっている伊良部大橋ですが、橋は常に事故のリスクと隣り合わせです。
風のリスク
伊良部大橋はとても風が強いです。台風で暴風警報が発表されると車の走行が危険なので、橋は通行止めとなります。
台風前後の伊良部大橋の走行にはかなり注意が必要です。前方から風が吹いている時はアクセルを踏んでもなかなか進まないほどの圧力を感じます。後方からの風は下り坂でかなりスピードが出るので危険です。
一番危険なのは横からの風。軽ワゴン車など軽くて高さのある車は横殴りの風にあおられて転倒しそうになります。橋が通行止めの時はもちろんですが、その前後も伊良部大橋の走行には注意が必要です。
冬には強い北風が吹きつけます。伊良部大橋を走行中の車は真横から北風を受ける形になります。油断しているとハンドルを持っていかれます。
危険な歩道
伊良部大橋には歩道があり歩いて渡ることができます。
車道と歩道の境目に縁石がなく、色分けされているだけなので歩道は危険と隣り合わせです。
伊良部大橋を歩いて渡ってみるとわかりますが、歩行者と車の距離はかなり近いです。橋ではスピードを出す車も多く、身の危険を感じます。
ドライバーが絶景に目を取られ、ハンドル操作を誤れば大変なことになります。
伊良部大橋で車と歩行者の接触事故は今のところありませんが、今後さらに交通量が増えれば人身事故のリスクは高まります。
夜は真っ暗
伊良部大橋には外灯がありますが、外灯の間隔が広く、明るいのは外灯の下だけ。夜の伊良部大橋はかなり暗いです。
走行する車の頼りになるのはヘッドライトだけ。大海原の橋の上、ヘッドライトを消すと真っ暗。暗闇の中、波の音だけが聞こえます。かなり心細いです。
夜の伊良部大橋を何度か渡ったことがありますが、かなり恐いです。早く橋を渡り終えたいという衝動にかられます。
車で走行しているだけでも恐いです。歩いて渡ったり、車を止めて車外に出たりするのは危険です。
駐停車禁止
観光客には知られていませんが伊良部大橋は駐停車禁止です。
橋の中央部には道路幅が広くなっていて車を止められるスペースがありますが、ここは緊急時の待機スペース。景色を見るための駐停車は禁止されています。
しかし、駐停車禁止を呼び掛ける看板があるわけではありません。伊良部大橋は無法地帯。レンタカーもタクシーも列をなして橋の中央部に止まり、観光客は車から降りてバシバシ写真を撮っています。
宮古島有数のインスタ映えスポットなので、写真を撮りたい気持ちもわかりますが事故に巻き込まれればせっかくの宮古島旅行が台無しです。
交通量の少ない時間帯はまだしも、交通量が多い時間帯に車外に出るのは危険。風が強い日は特に危険です。
伊良部島の事故
伊良部大橋の開通で伊良部島内での交通事故が急増しています。
橋の開通前はフェリーでしか島に入ることはできませんでした。フェリーで運べる車の数は限られていたので、観光トップシーズンでも伊良部島内の交通量が増えることはありませんでした。
伊良部大橋の開通によって伊良部島の交通量は激増。特にレンタカーが増えています。橋の開通前は伊良部島でレンタカー絡みの交通事故はほとんどありませんでしたが、開通後レンタカーが絡む事故が増えています。
宮古島の人たちは車を運転するスピードが遅いです。オジーが運転する軽トラックは時速20キロで走っています。伊良部島は宮古島以上にのろのろ運転の車が多いです。
伊良部島に入ってくるレンタカーはそんなことおかまいなしで一周道路を猛スピードで飛ばします。
レンタカーは集落内の細い路地にまで入ってきます。伊良部島の港街、佐良浜には車一台通れるか通れないかという細い路地がたくさんあります。地元の人しか通らない道にもレンタカーが迷い込んできたりします。
伊良部島内にはどちらが優先道路かわかりにくい交差点がいくつもあります。伊良部と佐良浜の2つの集落を結ぶ道路が優先道路となっている場合が多く、必ずしも大きい道が優先道路となっているわけではありません。観光客が一時停止に気づかないことがよくあります。
海の事故
伊良部大橋の開通で伊良部島内の観光客が急増。海の事故も増えています。
橋の開通前はほとんど人がいなかった17エンドや中之島海岸、渡口の浜では、橋の開通後毎年のように水難事故が発生しています。
宮古島には無料のガイドブック「たのしま」「BB.com」があります。ホテルの部屋に置いてあることが多く、観光客の大半が目にします。ガイドブックでは伊良部島の海が海水浴場であるかのように紹介されています。
ガイドブックには17エンドや中之島海岸で営業するマリンレジャー業者も広告を出していて、安全な海であるかのような誤解を生んでいます。
伊良部島にきちんと管理された海水浴場はありません。伊良部島の海には、岸から沖に向かう強い潮の流れ「離岸流」があり、海水浴には適していません。年に何度か、伊良部島で溺れた人が救急車で宮古島の病院に搬送されます。
伊良部大橋の開通後、伊良部島で海の事故が急増しているのは悲しい現実です。