私たち夫婦は5年前、子育て環境を最優先に考え、沖縄の離島、宮古島に移住しました。
宮古島の子育て環境はすばらしいです。「子供が主役」「島の子はみんなの子」という価値観が定着していて、島の人たちは他人の子供にもとても優しく接してくれます。
市街地エリアがコンパクトで学校も保育園も職場も近く、移動が便利なのも子育て世代には嬉しいポイントです。
「子育てしやすい街」の条件とは何か?子育て世代に優しい宮古島での経験をもとにまとめました。
子供にやさしい
子育てしやすい街の一番の条件は住んでいる人たちが「子供にやさしい」こと。子供が泣いている時に、周りの人たちが子供に笑いかけてくれるだけで、親は救われます。
宮古島の人たちは子供にとてもやさしいです。信号待ちの車のチャイルドシートで泣いているあかちゃんを隣の車のおばさんが変顔であやしてくれたりします。
小さな子供を連れて歩いていると、知らないおばさんが「おはよう」「かわいいね」「何歳?」と声をかけてくれます。
公園で遊んでいると、知らない子のお母さんがお菓子やジュースをわけてくれたりします。
思春期の中学生、高校生や強面の島の人たちも子供にはとてもやさしい笑顔で接してくれます。
宮古島には「子供が主役」「島の子はみんなの子」という雰囲気があります。親も子供も肩身の狭い思いをすることがないので、子供はのびのびと育ちます。
地域の人たちが子供にやさしいことが、子育てしやすい街の一番の条件です。
子供が多い
宮古島は兄弟が多い島です。昔は5人兄弟ぐらいは当たり前でした。今では子供の数は減りましたが、一人っ子は少数派。2人兄弟、3人兄弟が多く、4人兄弟、5人兄弟もいます。
都会では考えられないですが、宮古島には「子供は多い方が楽」という考え方があります。宮古島では年上の子が自然と年下の子の面倒を見るようになります。
宮古島では、スーパーに親と買い物に来ている子供がとても多いです。娯楽がない狭い島なので、買い物などのちょっとした用事でも子連れで出かける人はとても多いです。
スーパーで小さい子が大きい声を出したり、走ったりしても、白い目で見る人はいません。
島の人たちの大半は、自分も子育てを経験していたり、親戚の子供に毎年お年玉をあげていたりと、身近に子供がいる環境で生活しています。
男性も、女性も、子育ての大変さを知っているので、他人の子にも優しくしています。
子供が多い地域は子育てがしやすい街だと言えます。
移動が楽
「移動が楽」かどうかは、子育てのしやすさに大きく関わります。
宮古島は市街地エリアに住めば、職場、保育園、小児科、保健センター、ドラッグストア、スーパーなど、子育てに必要なものが全て自宅から車で5分の距離にあります。
移動の楽さは子育てのしやすさに直結します。
私は朝自宅を出て5分後に保育園で子供を預け、その5分後に出社しています。
長時間の移動や電車での移動は子供にストレスになりますが、移動距離が短いので子供が移動中にぐずることはほとんどありません。
コンパクトな街ほど子育てはしやすいです。子育てに必要なものが全て狭いエリアに集中している宮古島の生活環境はとても快適です。
子連れでの移動が楽なことも、子育てしやすい街の大切な条件です。
広い公園
宮古島には広い公園がいくつかあります。駐車場が広く、芝生も広いので、とても利用しやすいです。
宮古島には公園デビューという概念がありません。都会の小さな公園だと、公園の広さに対して子供の数が多く、他の親に気を使うことがありますが、宮古島の公園は広いので、子供をのびのびと遊ばせることができます。
宮古島の子供たちは、公園で自分より小さな子に自然に声をかけたり手を貸したりしてくれます。順番を守ったり、小さい子に譲ってくれたりと、遊具での遊び方も上手です。
都会では公立小学校や幼稚園の園庭は地域の人は入れないところが多いですが、宮古島では授業のない時間は小学校の園庭で子供を遊ばせることができます。
「学校はみんなのもの」という雰囲気があり、自宅の近くの学校の園庭で子供を遊ばせている親も多いです。
広い公園があったり、学校や幼稚園の園庭を地域の子供たちが自由に使える環境も、子育ていやすい街の条件です。
職場の理解
「子供が主役」「島の子はみんなの子」という価値観は宮古島の職場にも定着しています。
保育園で子供が発熱し小児科に連れて行く際、都会の職場だと周りに白い目をされるのを覚悟で出て行かなくてはなりません。
宮古島の職場では「早く行ってあげて」と促してくれます。
職場で普段の会話でも、子供について話すことが多く、どの社員の家に何人子供がいて、何歳なのか、みんな把握しています。
職場の人たちも大半が子育て経験者なので、子育てへの理解があります。
子育てへの理解がある職場が多い地域は子育てしやすい街と言えます。
親の職場が見える
宮古島は小さい島なので、子供が親の職場を把握しています。親職場がどこにあって、従業員が何人ぐらいいて、どんな仕事をして、夜いはどこで飲んでいるかまで、全て把握できてしまいます。
勤務時間外に職場に子供を連れて来る親もいます。
宮古島では「尊敬する人は?」と聞かれると、お父さん、お母さんと答える子が多いです。親の働く姿を間近で見ているので、自然と親への尊敬の気持ち、感謝の気持ちが育つのだと思います。
子供から親の職場が見えるように、親からは子供の学校環境が見えます。お散歩中や遠足中の子供と、仕事中の親が島のどこかで顔を合わせることもあります。
子供に彼女ができれば、自然と親の耳に情報が入ります。宮古島は小さな島なので、どこかで誰かが見ています。子供にとってはつらい部分もありますが、親にとっては子供に目が行き届きやすいので安心感があります。
街がコンパクトだと、親と子供が家にいる時以外にも顔を合わせる機会が増えます。一緒に出かける回数も増えます。
子供から親の職場が見えるほどコンパクトな地域は、子育てしやすい街と言えます。
お金の問題
「子供にやさしい」「子供が多い」「移動が楽」「職場の理解」
宮古島には子育てしやすい街の条件が揃っています。ただし移住者が子育てをして生きて行くのは簡単ではありません。
一番はお金の問題。宮古島は給料水準がとても低い島です。沖縄県の給与水準は全国平均の3分の2と言われています。宮古島はそれをさらに下回ります。
私は30代正社員として宮古島で働いていますが、毎月の給料は19万円。ギリギリ生活できる収入です。
宮古島では共働きは当たり前。お金に余裕のある人はとても子育てしやすい街ですが、お金がない移住者にとっては生活は決して楽ではありません。
「子育て環境は悪いが稼ぎがいい都会」とは対照的に、宮古島は「子育て環境は良いが稼ぎが悪い島」です。
子育てのしやすさだけを見れば宮古島は日本一とも言えますが、親は常にお金の不安と向き合っています。本業以外に夜は運転代行アルバイトをしたり、畑仕事を手伝って小銭を稼いでいる親は多いです。
宮古島に移住するなら、生き方の価値観を変えなくてはなりません。都会の価値観のまま子育てのしやすい街に住みたいなら、仕事は変えずに郊外の住宅地に住むことです。長時間通勤など親のストレスは増しますが、お金が理由で生活が破たんすることはありません。
教育環境
「子育てしやすい街」を探す上で見落としがちなのが、子供の教育環境。
子供が保育園児や小学生のうちは気になりませんが、中学、高校と進学するにつれ「子育てのしやすさ」よりも「教育環境」が重要になってきます。
宮古島の教育環境は良いとは言えません。公立の中学校、高校はありますが、私立の学校はありません。島内に専門学校や大学がないので、子供たちは18歳で島を出ます。
親の視点に立てば「子育てのしやすさ」はとても大切ですが、子供の将来を考えるならば「教育環境」を重視した方が良いという考え方もあります。
子育てしやすい街を探すなら、将来のことを見越して、その土地の教育環境も調べておくと良いです。
将来子供が何かにチャレンジしたいと言い出した時に、スムーズにサポートできる環境にあるかどうか。子供が小さいうちは見落としがちなポイントです。
まとめ
子育て環境を求めて宮古島に移住した私なりに、子育てしやすい街について、まとめてみました。
「子供にやさしい」「子供が多い」「移動が楽」「職場の理解」などの条件を満たしている街は子育てしやすいと言えます。
ただし、子育て環境だけをもとめての移住にはリスクも伴います。お金のことや子供の将来についてリアルに想像し、検討することが、より良い選択につながります。
このブログでは宮古島での移住生活、田舎の子育て事情について発信しています。子育て世代の頑張るパパさん、ママさんの参考になれば幸いです。