宮古島在住のshimagurashiです。
新型コロナウイルスに翻弄される宮古島経済。
4月・5月に観光客が激減した宮古島。観光関係者は夏には観光客が戻ると期待していましたが・・・。
コロナの感染再拡大で2020年は苦難の夏になりそうです。
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【宮古島旅行】コロナの影響は?島の現状を移住者が解説
宮古島の観光客数
宮古島市が公表している宮古島の観光客数です。
【1月】
去年 65,632人
今年 47,748人
【2月】
去年 69,923人
今年 49,191人
【3月】
去年 81,410人
今年 42,237人
【4月】
去年 88,178人
今年 10,828人
【5月】
去年 83,662人
今年 5,666人
【6月】
去年 109,034人
今年 21,159人
【7月】
去年 111,694人
今年 44,334人
【8月】
去年 115,426人
今年 27,421人
2020年の宮古島の観光客数は全ての月で前年を下回っています。
1月
【観光客数】
去年 65,632人
今年 47,748人
新型コロナウイルスの影響で、1月下旬以降、中国・台湾から宮古島へのクルーズ船が全便キャンセルになりました。
空路の国内観光客は前年並みでしたが、クルーズ船客が減った分観光客が減りました。
宮古島では2015年頃から中国・台湾からのクルーズ船寄港が急増していました。
ホテルに泊まり、居酒屋や土産物店で買い物をする国内観光客に比べ、日帰りのクルーズ船の観光客は宮古島にお金を落としません。
クルーズ船の乗客を送迎する観光バス、タクシー業界は打撃を受けましたが、ホテル、レンタカー、居酒屋、カフェ、食堂、土産物店の売り上げは前年並み。
コロナの影響は限定的でした。
2月
【観光客数】
去年 69,923人
今年 49,191人
中国・台湾からのクルーズ船が全便キャンセルになり、その分前年に比べ観光客が減りました。
1月同様、宮古島経済への影響は限定的。
国内には新型コロナはまだほとんど入ってきていませんでした。沖縄の感染者はゼロ。
国内旅行を控える動きは全くなく、海外旅行をキャンセルして宮古島に来る人もいました。
この時点では宮古島の観光業界も先行きを楽観視していました。
この後日本でもコロナが流行し、宮古島の観光業に大打撃を与えると予想していた人はほとんどいませんでした。
3月
【観光客数】
去年 81,410人
今年 42,237人
国内で新型コロナウイルス感染者が急増した3月。
全国的に国内旅行を控える動きが広がりました。
一方で「南の島は安全」とのデマが流れ、宮古島を訪れる観光客は一定数いました。
3月は大学生の卒業旅行シーズン。若者の旅行者が目立ちました。
3月下旬には沖縄県でもコロナ感染者が確認され、宮古島市民の危機感が高まりました。
小学校、中学校、高校は休校。イベントもほとんど中止になりました。
「あそこのホテル満室らしい」「レンタカーいっぱい走ってる」「観光客がマスクしてない」・・・
地元の人たちの間で不安の声が広がり、インターネット上では「沖縄に来るな」「宮古島に来ないで」「離島に来ないで」の声が溢れていきました。
前年に比べると観光客数は半分程度に減っていますが、クルーズ船客を除けば、前年比6割ほど。
コロナの感染が全国で拡大する中で、かなりの数の観光客が宮古島に入ってきていました。今思えば、この時期に宮古島でコロナ感染者が出なかったのはただのの幸運でしかありません。
4月
【観光客数】
去年 88,178人
今年 10,828人
国が緊急事態宣言を出した4月。宮古島の観光客は激減しました。
統計上1万人となっていますが、実際はもっと少ないと予測されます。
宮古島への東京・名古屋・大阪からの直行便は全て運休。那覇―宮古島便も半数に減便されました。
飛行機で宮古島に入ってくる人は一定数いましたが、大半は出張や帰省。観光客はほとんど見かけなくなりました。
ホテルの稼働率は1割にまで低下。出張客の多いホテルはそれなりに予約がありましたが、観光客メインのホテルは大打撃を受けました。
観光バス、レンタカー、タクシー、居酒屋、食堂、カフェ、キャバクラ、バー、土産物店、ダイビングショップ・・・
観光関連の全ての業種が打撃を受けました。
宮古島にコロナが入ってくることへの恐怖心から、観光業者も含め「今は来ないで」の声が島を支配しました。
飲食店はテイクアウトが主流となり、ほとんどの店が通常営業を自粛。「県外からの観光客お断り」の張り紙を出す店もありました。
「島から1人でも感染者が出れば、収束後観光客が来なくなる」。島での感染拡大への危機感から、観光業者の多くは「耐える」選択をしました。
希望の光は「宮古島感染者ゼロ」。
観光業者はコロナ収束と夏の観光客回復に希望を託していました。
5月
【観光客数】
去年 83,662人
今年 5,666人
宮古島観光の一番の稼ぎ時は、ゴールデンウィークと夏休み。
国内観光客は3月頃から増え始め、ゴールデンウィークに1回目のピーク、夏休みに2回目のピークを迎えます。
4月までは海水が冷たくマリンレジャーは控えめですが、ゴールデンウィーク頃からはダイビングも本格的にシーズン突入。
本来なら多くの観光客で賑わっていた5月の宮古島ですが、2020年は観光客ゼロ。
ゴールデンウィーク前の宮古島は異常な緊張感に包まれていました。
ゴールデンウィーク前に「沖縄への航空便予約6万人」の情報が出回ったことで「宮古島に来ないで」の声が再拡大。
宮古島市は「渡航自粛要請」を出し、ゴールデンウィーク以降、ビーチ、観光地施設を閉鎖しました。
こんなに静かな宮古島のゴールデンウィークはこの先何十年もないはず。
前浜ビーチ、砂山ビーチ、東平安名崎・・・。宮古島の定番観光スポットから人が消えました。
6月
【観光客数】
去年 109,034人
今年 21,159人
宮古島の観光客は都道府県をまたぐ移動自粛要請が解除された6月19日以降、徐々に回復します。
宮古島市も6月からは観光客の受け入れ再開を表明。ビーチ・観光地の閉鎖は解除されました。
観光客はまだまだ「宮古島いつから行っていいの?」と探り探りの状態。
6月19日以降、東京・名古屋・大阪から宮古島への直行便が運航再開し、それに合わせて少しずつ観光客が戻ってきました。
6月下旬、沖縄県民を対象にした県内観光促進キャンペーン「おきなわ彩発見」が始まりました。
5月・6月、沖縄では新型コロナ新規感染ゼロが続いていました。
「おきなわ彩発見」で沖縄本島から宮古島への旅行、宮古島から沖縄本島への旅行が活発になりました。
5月までは、宮古島在住者が島から出ること自体が白い目で見られていましたが、6月にはその空気感も変わりました。
6月末までは、3列シートの飛行機は座席の真ん中を開け、座席数を3分の2に減らしての運航。
那覇―宮古島便は6月下旬になると満席の便も目立ち始めました。
乗客は機内でマスクを着用し私語を慎み、静かな空の旅で島を行き来していまいした。
7月
【観光客数】
去年 111,694人
今年 44,334人
いよいよ夏本番の7月。
宮古島の観光関係者は7月下旬から始まるGoToトラベルキャンペーンに期待していました。
4月・5月はツアー会社、ホテル、レンタカーの新規予約はほとんどありませんでしたが、6月からは夏の宮古島旅行の予約が入り始めていました。
7月下旬の4連休にはかなりの数の予約が入っていました。
ところが・・・。
東京を中心とした感染者の急増、GoToトラベルキャンペーンの大混乱。
4月・5月・6月のダメージを補てんするはずだった夏の宮古島観光に暗雲がたちこみはじめます。
宮古島旅行を強行する人もいる一方で、直前のキャンセルが出始めました。
7月中旬以降、沖縄で新型コロナ感染者数が急増。沖縄本島の繁華街ではクラスターが発生。
「いつ宮古島にコロナが入ってきてもおかしくない」という危機感が再び宮古島に広がりました。
「コロナ対策を万全にしながら、来てくれた観光客にはしっかり対応する」
観光業者は「宮古島コロナゼロ」を頼みの綱に営業を続けていましたが・・・。
4連休直後の7月29日、ついに宮古島で新型コロナ感染者が出てしまいました。
1人目が出てからは雪崩のように感染確認が続きました。
宮古島のキャバクラ店ではクラスターが発生。
宮古島の感染者数は1週間で20人、10日で30人を超えました。
宮古島で感染者が出たことで、島民の自粛ムードが加速。島の人たちは誰に要請されるわけでもなく、人との接触を減らし、静かに暮らしています。
8月
【観光客数】
去年 115,426人
今年 27,421人
夏本番の8月。
宮古島で感染者が確認されたからといって、島で観光客を見かけなくなったわけではありません。
前浜ビーチにはビーチパラソルが並び、ジェットスキーが海上を走っています。
宮古島市は観光客と共存する道を選びました。
沖縄県は緊急事態宣言を出しました。宮古島のキャバクラ・バーなどに対し補償を伴う休業を要請しました。
要請に応じる店もあれば、営業を続ける店もあります。
8月9日、宮古島在住の高齢のコロナ感染者の女性が亡くなりました。
島の人たちが最も恐れていたことが現実になってしまいました。
宮古島市は市民に「不要不急の外出自粛」を求めていますが、観光客に「渡航自粛」は求めていません。
「県外からの渡航については慎重に判断して頂くとともに、来島される場合も、マスクの着用や手指消毒等感染防止のためのルールを遵守して頂きますようお願いします」と呼びかけています。渡航そのものの中止は求めてはいません。
「これでいいのか」という声もあれば「こうするしかない」という声もあります。
2020年。宮古島、苦難の夏です。
9月
9月に入り、日に日に宮古島に観光客が戻ってきています。
1人旅、少人数の旅が目立ちます。団体旅行はありません。
宮古島の新型コロナ感染者は8月で一旦落ち着きました。
9月に入ってから新規感染者の情報はありません。
10月にはGoToトラベルキャンペーンの地域共通クーポン利用、東京都民の利用が始まります。
宮古島の観光業者はこのままコロナが再燃することなく10月を迎えたいと期待しています。