宮古島移住者のshimagurashiです。
宮古島移住から数年でバブルの波に飲み込まれ、現在はコロナ禍の宮古島で暮らしています。
宮古島バブルはコロナでどうなったのか?移住者の私が見た島の変化をまとめました。
建築ラッシュ
2018年頃から「宮古島バブル」という言葉が使われるようになりました。
宮古島バブルを生んだのは異常なまでの「建築ラッシュ」。
土地の高騰、家賃の高騰、人手不足は、全て建築ラッシュがもたらしたものです。
バブル全盛期の宮古島の建築ラッシュは異常でした。
・下地島空港新ターミナル
・自衛隊新基地
・市の大型公共施設
・シギラリゾートの拡大(シギラミラージュ・インギャーコーラルヴィレッジ)
・リゾートホテルの新規参入(イラフSUI、リスケープ・来間島シーウッドホテル)
異常なまでに建築工事が重なり、建築費が高騰し、工期はことごとく遅れました。
宮古島バブルのピークは2019年夏、以降は建築ラッシュは少しは落ち着き、2020年の春には新型コロナウイルスが宮古島を直撃。
「コロナで建築ラッシュは収まった」というのがありがちなストーリーですが、実態は・・・
コロナが直撃しても島の建築ラッシュが衰える気配は全くありません。
2020年末時点で、宮古島には建築現場が溢れています。大型リゾート施設建設も続いています。
・砂山ビーチ近くで三菱地所などが進める大型リゾート施設建設
・トゥリバー地区に三菱地所が建設するヒルトンリゾート
・シギラリゾートの拡大
・自衛隊新基地建設
・宮古島市役所新庁舎建設
・アパート建設ラッシュ
公共工事、民間工事とも、島のサイズを考えると異常な盛り上がりです。
砂山ビーチ近くの新リゾートや、トゥリバー地区の新リゾートは土地の造成がようやく終わる段階で、施設の建築はこれから始まります。
2018年~2020年にかけて次々に新ホテルを開業したシギラリゾートもさらに事業規模を広げる方針です。
アパート建設はバブル最盛期の2019年と同じか上回る勢いで続いていて、市街地エリアに4階建てぐらいのアパートがどんどん新築されています。
宮古島バブルで島には島外から多くの出稼ぎ建設作業員が来ています。
緊急事態宣言が出て人の往来がなくなった2020年4月・5月は作業員を確保できず、工事が遅れたりもしましたが、人が普通に往来するようになってからは、作業員の確保にコロナの影響はほとんどありません。
建設作業員の日当
宮古島バブルで建設作業員は異常なまでの人不足になり、日当が高騰しました。
特殊なクレーン操縦の免許保有者は日当5万円。普通の職人でも3万円出していた所もあります。
コロナ禍で日当は下がっていますが、バブル前に比べるとまだまだ高いです。
島外業者の参入
2020年からは県外の建設業者も本格的に宮古島に参入するようになりました。
最近は愛知県の「中京建設」のトラックをよく見かけます。宮古島に事務所やヤードを建築し本格的に宮古島の建設業界に新規参入しました。宮古島の複数個所でホテル建設を進めています。
離島の宮古島。良くも悪くも究極の島社会の宮古島では、長年、外から参入した建設会社が仕事を受注できるような状況にはありませんでした。
島の施工主は基本的に島の建設会社に仕事を任せてきました。
宮古島バブルが島を直撃してからは、その構図が崩れ始めています。
地価高騰
宮古島バブル全盛期、新聞・テレビ報道では「地価500倍」という言葉が独り歩きしました。
現実は、地価が500倍になったのは伊良部島のごくごく一部のリゾート用地。
とはいえ、宮古島バブルで宮古島の地価は全体的に跳ね上がりました。
海沿いのリゾート用地はバブル以前の相場の10倍ぐらいの価格で取引されています。
バブル期にリゾート用地を転売して設けた県外業者もいます。
リゾート用地に引っ張られるように、住宅用地の地価も高くなっています。
市街地エリアの住宅地の地価は1坪8万円~10万円ぐらいでしたが、場所によっては20万円ぐらいまで高騰しています。
住宅用地でも以前の相場の2倍以上に高騰した場所もあります。それでも沖縄本島の繁華街に比べると、まだかなり安いです。
コロナ禍で地価がどうなるか注目されましたが、バブルで高騰した地価はコロナ直撃後も高止まりしています。
コロナ騒動には終わりがあります。
終わりが見えているので、建築ラッシュが止まることはありません。地価が下がることもありません。
現在土地が取引されている場所にリゾートホテルが建築される頃には、コロナは収束しています。
現在建築が進められている大規模リゾートホテルが開業する頃には、コロナは収束しています。
住宅建築
宮古島バブルで、島の人たちは戸建住宅を新築できなくなりました。
台風銀座の宮古島では大半の住宅が鉄筋コンクリート造。
鉄筋コンクリート戸建住宅の建築坪単価は150万円にまで高騰しました。
バブルがピークを過ぎると少しは下がりましたが、コロナ禍の2020年末でも建築坪単価は100万円を超えています。
日本全国どこを探しても建築坪単価が100万円を超える地域はほとんどないはずです。
よほどお金に余裕がないと新築はできません。
ほとんどの島民は建てたくても建てられず、アパート暮らしを続けたり、中古物件を探したりしています。
土地を購入し建築費が下がるのを待っている人もいますが、コロナ禍が直撃しても建築費は高止まりしています。
アパート不足
宮古島バブルの象徴は「アパート不足」
宮古島バブルで島に出稼ぎ組の建設作業員やリゾートバイトが寝泊まりするようになり、宮古島は極端なアパート不足に陥りました。
一時は入居率が99%を超え、全ての不動産会社のホームページから賃貸物件が消え、相談に行くと「2年待ち」と言われる異常事態でした。
宮古島のアパート不足は2020年に入ると急速に解消しました。
建設ラッシュで新築アパートが次々に完成。需要と供給が逆転し、家賃の高いアパートには空き部屋が目立っています。
宮古島では「バブル以前に建ったアパート」と「バブル期に建ったアパート」の2極化が進んでいます。
「バブル以前に建ったアパート」はファミリータイプで家賃5万円~6万円台が相場。島の人たちはほぼこのタイプのアパートに住んでいます。コロナ禍の2020年末も、空室が出ればすぐに埋まります。
「バブル期に建ったアパート」の家賃相場は10万円前後。バブル最盛期(2018年~2019年)には建築中から全ての部屋が予約で埋まっていましたが、コロナ禍の時期(2020年)に完成したアパートは入居者確保に苦戦しています。
バブル期に建ったアパートは、高い建築費を回収するために家賃を下げられず、空き部屋が目立つという悪循環に陥っています。
コロナ禍の今も島にはアパート建築現場が溢れています。2021年も多くのアパートが完成予定ですが、簡単には入居者を確保できそうにありません。
2021年に宮古島に移住するなら、新築アパートはすぐに見つかりますが、本来の家賃相場のアパートの空き部屋は簡単には見つかりません。
観光客激減
宮古島バブルで急増した観光客はコロナ禍で激減しました。
宮古島の2020年度上半期(4月~9月)の観光客数は14万9千人。2019年度は61万3千人。
観光客数は前年度の4分の1にまで落ち込みました。
外国人観光客は10割減。国内観光客4割減です。
宮古島の観光業界はバブルで絶好調でしたが、コロナで大打撃を受けました。
複数のホテルを経営する大規模リゾートでは、リゾートバイト切りや従業員の雇い止めも発生しています。
リゾートバイトでホテル従業員として宮古島にプチ移住したものの、リゾートバイト切りで仕事と寮を同時に失った人もいます。
特に影響が深刻なのは飲食業界。
観光客受け入れが再開され、GoToキャンペーンが実施されてからは、観光客がターゲットの店には客が戻りましたが、地元の人で賑わっていた店は閑古鳥が続いています。
宮古島バブルで島にはリラクゼーションサロンが次々に開業しましたが、コロナ禍で一部は閉店しました。
マッサージ店、ネイル店、全身脱毛など、個人経営の店の中には持続化給付金の200万円で一時はウハウハの状態の店もありましたが、コロナの影響が長引き、家賃などの固定経費が経営を圧迫しています。
人手不足
宮古島バブルで島の有効求人倍率は2倍を超える異常事態でした。
コロナ禍の2020年には1倍程度まて落ちました。
看護師や介護士などは、コロナ以前から深刻な人手不足が続いています。コロナ禍で人手不足に拍車がかかったところもあります。
ホテル従業員などの観光関連はコロナで一時的に求人が減りました。宮古島ではコロナに関係なくリゾートホテル建築が続いています。コロナが収束すれば間違いなく再び人手不足に陥ります。
給料水準が極端に低い宮古島では、ダブルワーク・トリプルワークをしている人も少なくありません。単身移住者は仕事半分遊び半分でもやっていけますが、島で家族を養うならダブルワークも受け入れるぐらいの覚悟が必要です。
島民の暮らし
宮古島バブルで儲かっているのはごく一部でした。
多くの島民は、バブル期もコロナ期も普通に暮らしています。
バブルで給料が上がるわけでも、コロナで給料が下がるわけでもありません。
宮古島で会社員として働く私も、働き方や給料に変化はありません。
バブル、コロナで島に出入りする人の数は激変しましたが「給料が少ない」「助け合って生きる」「移住者に無関心」「子供が主役」という島の本質は変わりません。
静かな暮らしを求めて宮古島に移住した私は、宮古島バブルで外国人観光客が急増した状態にうんざりしていました。
コロナで観光客が激減した2020年は「人に会えない」「飲みに行けない」「感染がこわい」というストレスはありましたが、観光客がビーチに溢れていたバブル期に比べれば穏やかに暮らせました。
5月のゴールデンウィーク。緊急事態宣言が出され、日本が自粛ムード一色だった大型連休。
宮古島から観光客が消え、ビーチには静かな静かな島時間が流れていました。
誰もいない絶景ビーチ。こんな光景には、この先何十年この島で暮らしても出会えそうにありません。
アフターコロナ
コロナはいつか収束します。
アフターコロナの宮古島に観光客が溢れる状況は目に見えています。
コロナが収束すれば旅行需要は急速に回復します。
旅行需要は間違いなく国内旅行から回復するので、ハワイやグアムに行っていた層が宮古島に大挙して押し寄せることも考えられます。
宮古島最大の港平良港には大型クルーズ船専用の岸壁が完成しました。コロナが収束すればクルーズ船で外国人観光客が大量に島に押し寄せる日々がまた始まりそうです。
既にGoToトラベルキャンペーンで宮古島の旅行需要はかなり回復しています。特に羽田、関西、名古屋からの直行便が絶好調。
2020年10月末からはスカイマークの羽田―宮古島、神戸―宮古島直行便が就航し、これまで以上に宮古島へのアクセスが良くなっています。
まとめ
宮古島バブルはコロナでどうなったのかを移住者の目線でまとめました。
コロナ禍でも宮古島の建築ラッシュが続いていて、コロナが収束する頃には大規模リゾートが次々に開業します。
地価、建築費、家賃は高止まりしていて、普通の島民が暮らしにくい状況に変わりはありません。
コロナで観光業者は大打撃を受けています。バブルの波に乗って開業し、コロナで閉店した店もあります。
宮古島ではコロナ期にクルーズ船専用岸壁整備やスカイマーク就航など観光客受け入れ態勢が充実しました。アフターコロナの宮古島がどう変化していくのか注目です。