宮古島のホテル価格が高すぎるとクレームをよく聞きます。
宮古島に移住して10年、肌感覚でもホテル価格は2倍ぐらいに跳ね上がっています。
島の激変を見てきた私なりにホテルが高すぎる真相と、もうすぐ安くなる理由をまとめました。
宮古島のホテルが高すぎる真相
宮古島のホテル、マジで高すぎます。
宮古島の知名度が低かった15年前から島に通っているリピーターの友人は阿鼻叫喚。
昔は素泊まり2000円の民宿が普通にありましたが、最近はリゾートホテルが乱立し、夏のピーク時は1泊1人2万円は覚悟しないといけません。
特に新しいホテルが高いです。
宮古島はこの5年ぐらいでリゾートホテルや一棟建てホテルが急増しています。。
この小さな島に宿泊施設が500以上あります。
500のうちの半分はこの5年ぐらいに開業している異常な状況です。
SNSの普及によって宮古島の圧倒的な海の美しさと大自然のポテンシャルが拡散され、本土からの直行便が増えて観光客も増え続けていて、島はバブルと言われてます。
新しいホテルがバカ高い理由は2つ。
経営者が強気
1つ目の理由は経営者が強気だということ。
バブル初期の宮古島は宿泊施設が足りず、宿泊料金を値上げしても空室がすぐに埋まっていました。
GoToキャンペーンのような旅行喚起策にも後押しされて、宮古島のホテルの値段はどんどん上がっていきました。
感染症や円高の影響で海外旅行を沖縄旅行に変更する人も多く、宮古島旅行は海外旅行に比べると飛行機代が安いので、ホテルにお金をかける客層もいます。
新規オープンのホテルは新しいというだけで需要があり、強気の値段設定でも客はついていました。
高すぎる建設費
もう一つの理由はバカ高いホテル建設費です。
バブルの宮古島ではこの10年で土地の価格、建物の建設費が爆上がりしています。
宮古島は台風銀座なのでほとんど全ての建物が鉄筋コンクリート造ですが、鉄筋コンクリートの建物の建設費は以前の2倍以上になっています。
ピーク時は住宅の建坪単価が150万円、今でも130万円ぐらいと本土よりかなり高い。
当然ホテルの建設費用もとても高くなります。
宮古島でのホテル建設費は、本土の1.5倍とも2倍とも言われています。
資材費、輸送費、人件費全てが高くなっていて、ホテルの開業費用は高騰しています。
経営者は開業費用の回収のため、高めの価格設定をしています。
バブル前やバブル初期の建設費が安かった時代に建ったホテルは宿泊料金を下げてもやっていけるかもしれませんが、バブル後期のホテル乱立時代に開業した出遅れ業者は価格を下げると利回り的に厳しいのが現実です。
もうすぐ安くなる理由
さすがに高すぎる宮古島のホテル価格ですがこれから確実に値崩れします。
というか実はもう下がってます。
ホテルが増えすぎて稼働率が下がっている、経営が厳しいという声はちらほら聞いていましたが、最近衝撃のデータが出てきました。
Hotels.comが「ホテルが一番安くなっているのは宮古島」と発表しました。
2024年の宮古島の宿泊費用は17%も値下がり。
全国の観光地の中で圧倒的に値崩れしています。
元々高すぎたので地元に住んでいる感覚としては「やっぱり下がってきたか」「さすがに長続きはしないよね」という感じ。
実はもうバブル崩壊ははじまっています。
レンタカーバブルは1年前ぐらいに崩壊してバカ高かったレンタカー料金は適正価格になりつつあります。
ピーク時は1日1万円でしたが今は5千円に落ち着いています。
レンタカーの場合、レンタカー屋が増えすぎて需要と供給が逆転したことで、価格競争が生まれ、値崩れが起きました。
ホテル業界でも同じことが起きつつあります。ホテルバブルは崩壊し、値崩れは加速するはずです。
この小さな島に500も宿泊施設があるのは異常なのに、今でも新しいホテルの建設がどんどん進んでいます。
行政も観光協会も観光客の爆増に限界を感じていて、最近は「量より質」と声高に言ってます。
以前は年間観光客200万人を目指すと言ってましたが、観光客が増えたことによる生活環境の悪化、騒音、渋滞など住民からの不満が噴出していて、観光客右肩上がりはそろそろ終わりそうです。
ホテル業者はどんどん観光客を送り込んでほしいと言ってますが、住民はノーサンキュー。
ホテル業界は既に客の奪い合い状態で、値下げ合戦が加速するのは時間の問題。
初期費用を宿泊料金に転嫁するしかない新しいホテルは値下げしたくても下げれなかったりしますが、老舗ホテルの中には良心的な価格設定を続けているところもあります。
このブログを書き始めてからずっと言ってますが、宮古島のホテルで圧倒的にイチオシなのは宮古島東急ホテル&リゾーツ。
宮古島のナンバーワンビーチ、前浜の目の前で、リゾート感があり、空間の広がりにもゆとりがあります。
新しいホテルは建設費の問題で駐車場もエントランスもロビーも部屋も、全部狭くてゆとりがない。
宮古島に来てのんびりリゾートホテルに泊まるなら空間のゆとりはほんと大事。
東急ホテルはビーチも中庭も部屋も全ての空間にゆとりがあり、滞在するだけで癒されます。
宮古島でホテル経営はやめとけ
実は最近ある人から宮古島でホテルを経営したいと相談を受けました。
私は「やめとけ」と即答しました。
ここまで読んでくれたあなたならわかると思いますが、宮古島で今ホテルを建てるメリットはありません。
初期費用と工事の遅れ
まず初期投資が高すぎる。
資材費、輸送費、人件費全てが高騰していて初期費用がかかりすぎます。
宮古島では工期が遅れるのも当たり前。
工事の遅れのせいでホテルの開業が予定より2年ぐらい遅れることがあります。
宮古島は乱開発で工事現場だらけなので、建設業者はいくつも現場をかけもちしています。
業者の工程管理の甘さのせいで工期が遅れても台風のせいにされたりします。
宅地か農地か
建設の前段階でもクリアしないといけないことが多すぎます。
例えば宅地か農地かの問題。
宮古島は最近は観光産業がメインになりつつありますが、元々はサトウキビ中心の農業の島。
宮古島の土地の多くは農地で、基本的に建物を建てれません。
申請が通れば農地から除外できますが除外のタイミングが5年に一度ぐらいしかなくかなり厳しいです。
水問題
水問題も深刻です。
離島の宮古島は水資源が限られていて、市役所がホテルに制限をかけています。
住宅はいくらでも水を使えますが、ホテルは使える水の量が決まっています。
建設前に市役所と使える水の量の合意をしないとホテルを建てれないようです。
最近はプール付きのホテルが増えていて市役所もピリピリしています。
自分たちで井戸を掘ったり、独自の水循環システムを導入してプールの水を再利用しているところもあります。
値崩れと人手不足
宮古島のホテルバブルはもう崩壊しかけているので、ホテルで稼ぐのは厳しいです。
Hotels.comの調査では宮古島の宿泊料金は1泊1万9千円で、東京や京都よりも高い。
このままの価格が保てれば利益も出るかもしれませんがそんなに甘くはありません。
異常に高い宿泊料金が長続きするわけありません。
インバウンドに特化して海外の富裕層を確保できるホテルはこれからも伸びるかもしれませんが、国内客向けのホテルは客の奪い合いが加速していて厳しい未来が待っています。
実は宮古島のホテルは、夏も稼働率が下がっています。
冬は元々稼働率が低く、稼ぎ時の夏も半分ぐらい空室があるホテルも普通にあります。
台風によるキャンセルもあり利益を確保するのは簡単ではありません。
宮古島のホテル業界は従業員の離職率が高く、人手の確保も大変。
経営が苦しくなって外資とか資金力がある大手業者に身売りするホテルが増えそうで怖いです。
観光客が爆増しホテル建設が止まらない狂乱の島。
数年後には悲惨な未来が待っているかもです。

