宮古島に移住して5年のshimagurashiです。
宮古島で長く移住生活を送っている人の大半は、企業に所属し、会社員として働いています。
宮古島の職場は、リゾートホテルなどの島外資本の企業と、「宮古製糖」「宮古港運」などの地元企業に分けられます。
地元企業の場合、働いている人の大半は地元出身者。移住者は地元出身者のルールに合わせて働くことが求められます。
移住者が宮古島の地元企業で働くメリット・デメリットをまとめました。
人脈が広がる
地元企業で働く一番のメリットは、島での人脈が広がること。移住者が多い島外資本の企業だと、移住者同士のつながりは生まれますが、島の人たちとの人脈は広がりません。
宮古島で長く移住生活を続けている人は、移住者同士で仲良くするだけでなく、島の人たちとも交流しています。
島外資本の企業は移住者が多く、従業員の入れ替わりが激しいです。従業員の入れ替わりが激しい職場で働いていると、「自分もこのままでいいのか」という気持ちになり、転職したくなったり、島から帰りたくなったりするものです。
地元企業ではずっと同じ人たちと働くことになります。職場に苦手な人間がいる場合はデメリットにもなりますが、宮古島に縁もゆかりもない移住者が島で人脈を広げることを考えれば大きなメリットです。
移住者が島の人たちとの人脈を広げる一番の近道は、仕事で信頼してもらうこと。宮古島の人たちは無口でシャイなことが多いですが、人を見る目はしっかりしています。
地元出身者が多い地元企業では、どんなに仕事ができても移住者は「よそ者」として扱われます。しかし、時間をかけて仕事で成果を出し、評価されるようになれば、信頼関係を築くことができます。
宮古島在住者の9割は、地元出身者です。移住者は1割もいません。宮古島で長く生きていくためには、地元出身者との人脈を広げることが大切です。
人がきつく感じる
地元企業だと、働く人の大半は地元出身者。職場でも宮古島流のコミュニケーションが求められます。私も最初のうちはかなり戸惑いました。
宮古島の人たちは多くを語りません。何をしてほしいか、指示を出さなくても雰囲気で感じ取ることが求められます。
男性は言葉がきつく感じます。普通に話しているつもりでも、ずっと命令口調の人もいます。地元出身者同士が普通に仕事の話をしていても、ケンカしているように聞こえることがあります。
島の人たちは、ケンカをしても長くは引きずりません。仕事のことで言い争っていたかと思えば、すぐに仲良く別の話をしていたりします。さっきまでケンカしてたのに、もう仲直りしたの?と驚きます。
宮古島の男性は、シャイでなかなか本音を話しません。職場ではとにかく空気を読む力が求められます。
地元企業で働く場合、はじめはコミュニケーションのとり方に戸惑いますが、遅かれ早かれ移住者はこの壁にぶつかります。どうせぶつかるなら、早い方がいいとも言えます。地元企業で毎日地元出身者と一緒に働くことで、島の人たちのことをより深く理解できます。
宮古島在住者の9割は地元出身者。島の人たちのことを深く理解する気持ちがなければ、この島では生きていけません。
島の人たちのことを深く理解することなく、愛想が悪い、言葉が汚い、酒癖が悪いなどとグチを言いだす移住者は、島から出ていくことになります。
お酒のつきあい
地元企業は特にお酒の付き合いが多いです。宮古島の男性はお酒を飲まないと本音を語れないシャイな人が多く、お酒は大事なコミュニケーションツール。お酒が苦手な移住者も職場で信頼を得るためにはお酒の席に顔を出すことが求められます。
仕事よりも、お酒の席での振る舞いが大事だと考えている男性もいます。居酒屋でははじめのうちはビールを飲みますが、そのうち泡盛を飲み始めます。お酒を作るのは新人の仕事。
地元企業には中途採用という概念がなく、移住者は年齢や経歴に関わらず新人扱い。飲み会が進むと「オトーリ」というお酒の回し飲みが始まります。新人はオトーリ用のお酒を作るのが仕事です。
お酒が弱い人に酒を強要するようなことはありません。基本的には楽しくお酒を飲もうという人が多いですが、飲む酒の量は多いです。宮古島では酒を飲み過ぎた人が道路で眠ってしまう「路上寝」の通報がとても多いです。
私も何回か記憶をなくすまで飲みました。財布をなくしたこともあります。社会人になって記憶をなくすまで飲むなんていかがなものかと思いますが、この島で生きていくためには必要なことかもしれません。
家族が見える
地元企業で働く大きなメリットは、働いている人たちの家族が見えるということ。同僚がどこに住んでいて、子供が何人いて、どこの小学校に通っているかまでわかります。
宮古島は子供にまつわる祝い事がとても多いです。子供の誕生祝い、小学校入学祝、高校合格祝い、成人祝いが各家庭で行われ、親の職場の同僚や友人がご祝儀を持って訪れます。
宮古島には子供たちの成長を地域全体で支えるという空気感があります。お祝いのおかげで、同僚の家族との距離はとても近くなります。子供の顔と名前が一致し、島のどこかで出会った時に、自然にコミュニケーションが生まれます。
職場の同僚の子供の顔と名前が一致するということは、子供の立場から見れば、親がどんな職場で、どんな人たちと働いているかがわかるということです。
仕事に疲れて家ではごろごろしているだけの父親も、お祝いの時にはいつもと違って見えます。「父はこんなにたくさんの人たちに囲まれて毎日頑張って働いているのか」と子供は無意識に感じ取ります。宮古島の子供たちは、自然に親を尊敬するようになります。
宮古島の地元企業はアットホームなところが多く、職場の行事に子供が参加することも多いです。
子育て世代に優しい
子育て世代の私が地元企業で働いていて良かったと感じる一番のメリットは、子供に何かあった時、仕事を抜けるハードルが低いこと。
保育園から発熱で呼び出しの電話があった時「子供が熱なので帰ります」と上司に一声かければ帰れることが多いです。上司が「早く行ってあげて」と送り出してくれるので、精神的な負担も少ないです
運動会やおゆうぎ会、入学式、卒業式など、子供に関する行事の時はみんな仕事を休みます。運動会や入学式では、行事の時間帯だけ仕事を抜けてくる人も多いです。入学式、卒業式は両親、オジーオバー、家族そろって参加する家庭が多いです。
突然仕事になる
宮古島の人たちは計画を立てて働くのが苦手。お尻に火がついてから動き出すタイプの人が多いです。突然仕事になったり、突然休みになったりすることがあります。
宮古島には毎年のように猛烈な台風が接近します。どんなに計画的に仕事を進めようとしても、台風が来れば仕事はできません。
どんなに頑張っても自然の力には勝てないことを理解している地元の人たちは、良くも悪くも「なんとかなるさ」という心構えで働いています。
都会の感覚で一緒に働いていると、そこ確認しなくて大丈夫?今のうちにやっておいた方がいいんじゃない?と思うこともありますが、島の人たちは土壇場の追い込みでなんとかしてしまいます。
なんとかならないこともありますが、それはそれでOKだったりします。移住者ははじめのうちはこのペースに振り回されることになります。
給料も休みも少ない
宮古島の給与水準はとても低いです。地元企業の給料は低く、島外資本の企業も地元企業に合わせて低く設定しているところが多いです。
私は30代。地元企業で正社員として働いていますが、基本給は10万円台です。
給料が少ないからといって仕事が楽なわけではありません。週休2日の地元企業はほとんどありません。宮古島では土曜日も働いている人がとても多いです。
地元企業で働く私が感じる一番のデメリットは、給料も休みも少ないこと。
宮古島は決して物価が安い島ではありません。家賃が高く、ガソリン代が高く、光熱費も安くない。移住者であれば帰省のたびにまとまったお金が必要。1回の帰省で1ヶ月分の給料がなくなったこともありました。
宮古島のお金の現実はかなりシビアです。
地元企業に就職する方法
移住者にとっては理不尽ですが、同じ経歴の地元出身者と移住者がいれば、地元企業は迷いなく地元出身者を採用します。地元企業にはコネ採用も多いです。
地元企業の採用情報が最も充実しているのはハローワーク宮古です。最近ではインターネット上の転職サイトにも宮古島の求人情報が載るようになりましたが、インターネットがなかった時代から宮古島にある安定企業は、今もハローワーク宮古の求人情報を出しています。
ハローワーク宮古の求人情報は1週間遅れですが、宮古島市役所のホームページで確認できます。
求人に応募するにはハローワークからの紹介状が必要。本気で宮古島の地元企業への就職を目指すなら、宮古島に長期滞在し、腰を据えて仕事を探すことをオススメします。
最近私が注目しているのは、地域おこし協力隊として移住するパターン。地域おこし協力隊には、何の肩書もないただの移住者には得られない大きなメリットがあります。
まとめ
移住者が宮古島の地元企業で働くメリット、デメリットをまとめました。
地元企業で働き、人脈をうまく広げれば、移住生活はより豊かになります。お酒の飲み方やコミュニケーションの取り方など、はじめは慣れないことも多いですが、それを乗り越えれば地元企業で働くのも悪くはありません。
島外資本の企業で働く移住者に比べれば、地元企業で働く移住者の方が、宮古島への定着率は高いと感じます。
最近は島全体が人材不足なので、移住者の採用を視野に入れている地元企業も増えてきました。
宮古島への移住を考えているあなたが、宮古島ですてきな仕事に出会い、充実した移住生活を送れるよう願っています。