宮古島在住のshimagurashiです。
宮古島で5年以上暮らしている私。「一軒家に住みたい」と思いながらも、移住してからずっとアパートで暮らしています。
宮古島で移住者が暮らすなら一軒家とアパートどっちがいいのかを考えてみました。
結論
先に結論です。
移住したての頃は右も左もわからないので賃貸アパート暮らしから始めた方がベターです。
アパートで暮らしながら、宮古島の地域性や人柄を知り、島で長く生きて行く覚悟が決まったら一軒家を探し始めるのがベストです。
残念ながら宮古島移住者の半分ぐらいは3年以内に島から出ていきます。
移住したての頃は、新婚ほやほやのカップルのような高揚感に包まれ、「島で暮らしている」という事実だけで心が満たされます。
移住1年目が楽しいのは当たり前。移住2年目からが移住成功と失敗の分かれ道です。
3年暮らしても、宮古島のことが嫌いにならない人、島のことをもっと知りたいと思う人、島に骨をうずめてもいいぐらいの覚悟を決められる人は、一軒家を探し始めてもいいかと思います。
宮古島に移住して家を建てたものの、1年で島が嫌になって帰っていき、築1年の中古物件だけが残ってしまうような悲しいパターンも実際にあります。
宮古島の一軒家・賃貸アパート事情
離島の宮古島。本土や沖縄本島とは一軒家・アパートの造り、特徴が異なります。
アパート
宮古島の賃貸アパートは2階建て~4階建てが多いです。
アパートはほぼ100%鉄筋コンクリート造。2018年以降に新築されたアパートには一部木造もあります。
宮古島にアパートが建てられたのは1980年頃から。
島には鉄筋コンクリートの4階建てぐらいのアパートが目立ちます。
古い宮古島のアパートはほとんどがファミリータイプ。2DK~3LDKぐらいの物件が多いです。
浴槽がない
古いアパートは浴槽がない物件が多いです。宮古島の人たちは基本的に浴槽に入りません。
冬でも10度ぐらいまでしか気温が下がらない宮古島。浴槽に入りたくなるほど寒くなるのは年間数日ほど。
「お風呂=シャワーで済ませる」が島の常識です。
夏は短時間外にいるだけで汗だくになります。駐車場からアパートの部屋までの移動だけでも汗をかくほど暑いです。
宮古島ではお風呂はリラックスする場所というよりも、帰宅後に汗を流す場所です。
リビング丸見え
宮古島の古い家は、玄関を入るとリビングが丸見えの間取りも多いです。
お祝い事が多い宮古島。古い家はいつ客人が来ても大丈夫な間取りになっています。
リビングは居住者のものであると同時に、お客様に解放する場所。玄関を入るとダイニングテーブルやキッチンが丸見えの家も少なくありません。
最近ではダイニング・リビングにプライベート感がある間取りのアパートも多いですが、古い家はダイニング・リビングが丸見えです。
家賃相場
宮古島の賃貸アパートの家賃相場はファミリータイプが5~6万円台。単身タイプが3~4万円台です。
ただし2018年~2020年の宮古島バブルと言われた時期に家賃が高騰しました。
新築アパートの家賃は1DKで10万円に跳ね上がりました。
バブル後は少しは下がりましたが、本来の家賃相場に比べると1万~2万円高い価格で貸し出されています。
私の知人のアパートは家賃が6万円でした。知人が退去すると知人が住んでいた部屋は7万円で貸しに出され、すぐに入居者が決まりました。
木造アパート
宮古島には2018年頃から2階建の木造アパートが目立ち始めました。
台風への脅威から島の人たちは木造は避けますが、移住者の中には木造アパートに暮らす人もいます。
建築会社は「風速60メートルまで耐えられる」などと宣伝していますが、島の人は「風速80メートルが来たらどうする。風で車が飛んできたらどうする」と不安がり、住みたがりません。
新築木造アパートは新築鉄筋コンクリートのアパートよりは家賃が安いです。
木造アパートが今後数年~十数年間台風の被害を受けないようなら、宮古島でも本格的に木造アパートが普及する可能性があります。
住環境
アパートにもご近所づきあいがあります。
宮古島は小さな島。都会のアパートは隣に住んでいる人の名前すら知りませんが、宮古島で暮らしていると同じアパートの人の顔と名前、家族構成、職場が見えて来ます。
私は宮古島に移住してから同じアパートに住み続けています。同じアパートの住人はほぼ把握しています。
階段ですれ違えば挨拶しますし、島は狭いので家以外の場所で会うことも多いです。
近隣住民の素性がわかることは安心感につながります。素性が分からない移住者は不審がられます。
公務員、転勤組の移住者は周囲の島の人たちに安心感を与えます。
台風
宮古島は台風の被害がすさまじいですが、アパート暮らしなら台風前後の片づけも最小限で済みます。
台風対策はベランダの物干しざお下ろし、飛んでいきそうなものを部屋に入れるぐらいです。一軒家に比べると台風対策の労力は圧倒的に少ないです。
一軒家
宮古島の一軒家は大半が鉄筋コンクリート造りです。
宮古島には台風で木造住宅が壊滅的な被害を受けた過去があり、島の人たちは木造一戸建てには住みたがりません。
2018年頃から木造の一軒家が新築されるようになり、島の人の中にも建築コストが安い木造の戸建てに住む人が出始めています。
新築一戸建て
移住者が宮古島で新築一戸建てを建てるにはかなりの勇気がいります。
戸建を建てるためには土地の購入が必要です。
移住前後はやることが多いです。
前職の仕事を片付け、引っ越しの荷物をまとめ、引っ越し屋の手続きをする。島での仕事も決めなければなりません。
この時期に、土地探しをする余裕はなかなかありません。
土地選び
宮古島の中でも場所によって住環境は異なります。
宮古島市役所がある平良の市街地エリアは住宅が密集していて、スーパーやコンビニが近く、職場への移動が便利です。子育て世代なら学校や保育園も近いです。
郊外のリゾートホテルやカフェなどで働く場合は別ですが、市街地エリアで働くなら、市街地エリアに住むのが無難です。
いきなり新築戸建てはハードルが高すぎるので、市街地エリアの賃貸アパートから始めるのが無難です。
建築費
宮古島では新築物件の建築単価が驚くほど高騰しています。
バブル期の2018年~2020年に高騰し、鉄筋コンクリート造の建築坪単価が150万円にまで高騰しました。
本土ならどんなに高く見積もっても1坪あたり80万円で家が建ちます。坪単価150万円は異常です。
バブル後はピーク時よりは低くなっていますが、100万円台で高止まりしています。
2018年~2020年にかけて、宮古島は空港ターミナル、自衛隊基地、市役所新庁舎など巨大公共事業が相次ぎました。リゾート開発が進み、大型リゾートホテルが次々に家業。アパートの建設ラッシュも重なりました。
建設業者が限られる中で、公共事業・リゾート開発・アパート建設に工事が集中。バブル期は戸建住宅の建築費も高騰し、この時期に家を新築した人はほとんどいませんでした。
新築を建てたくて土地を買ったものの、建築費が高すぎて家が建てられない、ローンの申請が通らない島の人もいます。
中古戸建て
中古戸建ての購入・賃貸は移住者にとっては現実的な選択肢です。
宮古島の古い家はアパート同様、浴槽がなかったり、玄関入るとリビングが丸見えだったりします。
残念ながら、移住者には物件を貸したがらない人もいます。
島の人から見ると、移住者は入れ替わりが激しく「家を汚してすぐ出て行く」と捉えられがちです。
売ってもらえない
島の人は、移住者よりは島の人に中古物件を売りたがります。
宮古島は小さな島なので、誰かと誰かが必ずつながっています。
島の人同士の家の売買なら、売主が買主の素性を知ろうと思えば、知ることができます。知り合いの知り合いぐらいの距離感で買主にたどりつきます。
家の売買は高額の金銭が移動するのでなるべくリスクは避けたいもの。
どこの誰かもわからない移住者に家を売るよりは、島の人に売った方が安心感があります。
下水道
宮古島には下水道が整備されていません。下水道が整備されているのは全体の2割ほど。
平良の市街地エリアでも下水道がない家の方が多いです。
下水道がない家は「浄化槽」を設置します。「浄化槽」は汚水を微生物が処理するシステム。
微生物が処理したものをくみ取る方法を、そのまま流す方法があり、地下水の水源が近いエリアなどではくみ取りが義務付けられています。
古い家
古い家は畳や壁がボロボロだったり、フローリングが剥がれていたり、お風呂が水アカだらけだったりします。
ウォシュレットなどありません。和式トイレしかない家もあります。
宮古島で特に注意が必要なのは「カビ」。風通しの悪い家や、窓を締め切ったままの家はすぐにカビが発生します。
タンスを移動させるとタンスの裏の壁がカビだらけだったなんてこともあります。
白アリにも注意が必要です。沖縄では高温多湿を好む白アリの被害が深刻。白アリは木造だけでなく鉄筋コンクリート造の家も食べます。
床下の条件が悪いと新築から20年ぐらいで鉄筋コンクリート造の家でも白アリの被害が確認されたりします。
宮古島は強烈な日差しと猛烈な台風で、家の外壁がすぐに劣化します。
築30年ぐらい建つと外壁はボロボロ。壁や柱のコンクリートのひび割れが目立ち始めます。ひびから雨水が入り中の鉄筋がサビ出すと、建物の強度が損なわれていきます。
白アリ対策、カビ予防、外壁塗装・・・、宮古島の中古物件はメンテナンスに費用がかかります。
平屋の戸建て
宮古島の一軒家はほとんどが平屋か2階建。平屋の家も多いです。
平屋は階段がない分家が広く、家族のコミュニケーションもスムーズですが、土地代、建築費が高くなります。
1階は虫がすぐに入ってきます。宮古島は一年中蚊が飛んでいます。夏は特に蚊が多く、1階の家は網戸は必須です。
台風
一軒家はアパート以上に台風対策が大変です。
庭の木が倒れないか、隣の家の木が倒れてこないか、駐車場の車が風で飛ばされて家に直撃しないか・・・。心配は尽きません。
市街地エリアの一軒家なら台風の停電も短時間で回復しますが、島の中でも田舎に住むとすぐに停電し復旧も遅いです。
田舎暮らしに憧れて宮古島に移住する人は、島の中でも田舎のエリアに住みたがりますが、台風の時は田舎ほど不自由です。
警戒される移住者
田舎には移住者が少ないので、移住者は警戒されます。
何年か宮古島に暮らして、気に入った土地があったり、親しい人がいたり、人間関係ができていたりすれば田舎エリアに住むのもありですが、いきなり田舎に住むのはハードルが高いです。
中古物件を安く借りる
移住者の中には、島の人と仲良くなり、極端に安く中古戸建てを借りて住んでいる人がいます。
不動産屋を通さず、口約束で家賃1万円で家を借りている人もいます。
運が良ければ安く家を借りられますが、いいことばかりではありません。
「親戚が帰ってくるから来月退去してほしい」「仏壇は家に置いたままにして、正月には親戚が集まる場所にしたい」など、不自由を押し付けられることもあります。
雨漏りや白アリ、カビなどのメンテナンスを全くしない状態で貸し出されることも普通にあるので、住んでからこんなはずじゃなかったとならないように注意が必要です。
まとめ
宮古島で移住者が暮らすなら一軒家とアパートどっちがいいかをまとめました。
単身移住、夫婦での移住、家族での移住、定年退職組の移住。どの場合でも、アパート暮らしから始めて長く宮古島に住む覚悟ができれば一軒家を探すのがベストです。
島との相性、人との相性、地域との相性の見極め期間が必要です。
あなたの宮古島移住の参考になれば幸いです。