宮古島のガソリン代は本当に高いです。全国平均に比べ20円は高い。宮古島で移住生活をするなら車は必需品なので、ガソリン代が高いのは本当に困ります。
レンタカーを利用する観光客にとっても「なんでこんなに高いの?」とクレームをつけたくなるような価格です。
宮古島の住民の皆さんは「ガソリン代は昔からずっと高い」「離島だから仕方ない」とあきらめムード。
私も「離島だからガソリンの輸送費がかかって高いのは仕方ない」と考えていましたが、宮古島のガソリンが高い本当の理由は「離島への輸送費」ではありませんでした。
宮古島のガソリンスタンドの経営者、従業員から聞いた話をまとめます。
1リットル160円はあたりまえ
資源エネルギー庁が発表した2018年8月27日時点のレギュラーガソリン価格の全国平均は151.8円(税込)
宮古島はなんと170.6円(税込)
レシートには158円と書かれていますが、これは税抜き表示。消費税8%をプラスすると170円を超えます。
宮古島のガソリン価格は常に全国平均を20円ほど上回っています。レギュラーガソリンが1リットル160円台はあたりまえ。170円の大台に乗ってしまうこともよくあります。
私も、移住した当初はあまりの高さに驚きました。
軽自動車でも満タンにすると5000円近くかかるので、満タンにすることはなくなりました。今では3000円ずつ入れていますが「3000円でこれだけしか入らないの?」と毎回残念な気持ちになります。
宮古島のガソリンがあまりに高いので、内地に里帰りしてガソリンを入れた時、140円台でも「安い!」と思うようになりました。
宮古島への輸送費は補助されている
宮古島でガソリンは作れません。ガソリンは専用の船で宮古島に運ばれてきます。宮古島に入ってきたガソリンは、沖縄で石油販売を行う「りゅうせき」のタンクで保管され、トラックで給油所に運ばれます。
船を使って輸送すると、当然輸送費は高くつきます。
この輸送費は、国や県によって補助されています。
沖縄県のホームページには「離島を含む県全体でガソリン1リットルあたり5.5円軽減されています。さらに、離島に対しては、1リットルあたり1.5円の税収を財源として輸送経費のほぼ全額を補助しています」とあります。
わかりやすく言いかえると
・ガソリンを入れるとガソリン税を支払わないといけない
・沖縄ではガソリン税が1リットルあたり5.5円安い
・沖縄県でガソリンを入れた人が支払うガソリン税の一部(1リットルあたり1.5円)は離島へのガソリンの輸送費に使われている。
沖縄本島でガソリンを入れた人が支払う税金の一部も、宮古島など離島へのガソリン輸送費に使われているのです。
例えば、あなたが沖縄本島で1リットル140円でガソリンを入れたとします。すると「支払った140円のうちの1.5円が、宮古島など離島へのガソリンの輸送費に使われている」のです。
沖縄県でガソリンを入れた人全員が、1リットルあたり1.5円ずつの税金を離島への輸送費のために支払っているので、かなりの金額になります。
こうして、宮古島など離島への輸送経費は「ほぼ全額補助」されているのです。
(沖縄県のホームページに「ほぼ全額補助」と書かれています)
それなのに、宮古島のガソリン価格は全く安くなりません。
宮古島のガソリンが高い本当の理由
宮古島のガソリンが高い理由は「離島への輸送費がかかるから」ではありません。本当の理由は「島内に価格競争がないから」です。
宮古島の市街地のガソリンスタンドは「宮古給油所」が3ヶ所。「JA」の給油所が2ヶ所。建設業者が運営する「シーサー給油所」「大米給油所」が1ヶ所ずつ。
普通だとガソリンスタンド間で値下げ競争になるのでしょうが、宮古島では値下げ競争は全くありません。宮古島のガソリン価格はどのガソリンスタンドも1円単位で同じです。
さらっと書いてしまったのでもう一度。宮古島のガソリン価格はどのガソリンスタンドも1円単位で同じです。
宮古給油所が5円値上げすると、他の給油所もぴったり5円値上げします。
ガソリンスタンドの従業員に教えてもらい、あまりに驚いたので、試しに3つのスタンドで1000円ずつ入れてみましたが、ガソリンの値段はぴったり同じでした。
どんな裏事情があるかはわかりませんが、島ならではの「みんなで利益を確保しよう」という考えが働いているのは間違いありません。
各店舗の経営者が毎月会合をして、次の月の料金を決めているという話もあります(ガソリンスタンドの従業員に聞いたので、かなり信憑性は高いです)
「談合」と言われても仕方ないような状態。この状態が何十年も続いています。
宮古島のガソリン価格が高い本当の理由は「価格競争がないから」です
価格競争がないので、ガソリン価格は高止まりしています。
価格表示しないガソリンスタンド
宮古島のガソリンスタンドで、価格表示をしているところはありません。利用者からすると、スタンドに入って給油してみないといくらなのかわかりません。
価格表示がないので、安い時にまとめてガソリンを入れることもできず、利用者にとっては不親切。
昔から価格表示がないのがあたりまえだったので、宮古島の人たちは何とも思っていない様子ですが、移住者からするとかなり違和感があります。
宮古島はここ5年で観光客が急増。レンタカーを利用する観光客もかなり増えています。そろそろきちんと価格表示をした方がいいんじゃないかと思いますが、どのガソリンスタンドもびくともしません。
まとめ
宮古島のガソリン代が高い理由は「離島への輸送費が高い」ではなく「価格競争がないから」です。
ガソリン価格に象徴されるように、島には「みんなで利益を確保しよう」という構図が多くあります。
日用品や食料品などは、島外資本のスーパーマーケットの参入で価格競争がありますが、ガソリンのような特殊な業界では価格競争はありません。
離島という特殊な環境なので、新しいガソリンスタンドができることも期待できません。
よほどのことがない限り、今後も宮古島のガソリン価格が全国平均並みに安くなることはないでしょう。
宮古島で生活するなら車は必需品。ガソリン代が高いと家計は厳しくなります。
移住者の立場からすると、すごくもやもやしますが、「島のルール」と言われればそれまで。移住者が口をはさめる問題ではありません。