【水難事故多発】なぜ宮古島の海にはライフセーバーがいないのか

多くの人たちを魅了する宮古島の海。

実はこの美しい宮古島の海で、毎年水難事故で命を落とす人がいます。

私が移住した2013年からの5年間で27人が死亡。

こんなに小さな宮古島で、どうしてこんなにも多くの方が海で亡くなるのか。

理由は海にライフセーバーがいないからです。

命を落とす人の多くは観光客。

「もうこれ以上この海で誰も死なないでほしい」

心の底からそう思います。

宮古島の海にはなぜライフセーバーがいないのか、宮古島の観光関係者から聞いた話をまとまめます。

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ライフセーバーがいる海、いない海

宮古島には2つだけライフセーバーがいる海があります。

1.与那覇前浜の東急ホテル前エリア
2.シギラビーチ

この2ヶ所だけは、ライフセーバーがいます。他の海にライフセーバーはいません。

毎年水難事故が起こる砂山ビーチも、シュノーケリングスポットとして大人気の新城海岸・吉野海岸も、伊良部大橋開通で観光客が急増した渡口の浜・中之島海岸も、ライフセーバーはいません。

溺れれば100%自己責任。誰も助けてくれません。

これだけ観光客がいる海なので、本来ならば行政がきちんと管理すべきだと思うのですが、宮古島市役所は「宮古島には海水浴場はない」というスタンスです。

宮古島市ホームページ内の観光案内ページを見てみると「ビーチ・マリンレジャー」として、与那覇前浜や砂山ビーチ、新城海岸などが紹介されています。

「観光案内」の中の「ビーチ・マリンレジャー」の項目で紹介されているので、当然海水浴場なのかと思ったら、そうではありません。

このページの一番下に次のような文章があります。

「宮古島市には、手つかずの美しい自然が残っている海岸が数多くありますが、それらの海岸は、海水浴場ではありません。よって、水難事故は、すべて利用者の責任となります」

まるで水難事故が起こった時に、市の責任を免れるために書かれたかのようなこの文章。個人的にはとても違和感があります。

なぜライフセーバーがいないのか

宮古島の海にはなぜライフセーバーがいないのか。

例外的にライフセーバーがいる2つの海について知ることでその理由がわかります。

与那覇前浜ビーチの東急リゾート前

東洋一美しいとされる与那覇前浜

真っ白な海岸線が7キロ続きます。

観光客は駐車場に車を止め、歩いて砂浜へと向かいます。泳いでいる観光客も多いですが、ライフセーバーはいません。

ライフセーバーがいるのは、このエリアよりずっと奥の東急ホテル前の一部のエリア。ホテルの宿泊客だけが利用する場所です。

ライフセーバーを配置しているのは、宮古島市でも観光協会でもなく、東急ホテル。

東急ホテルが沖縄県に海水浴場の開設を申請し、それが許可されたため、このエリアだけは海水浴場として認められています。

海水浴場開設のための条件のひとつが、ライフセーバーを配置すること。

東急ホテル前の海水浴場にいるライフセーバーは、東急ホテルが雇っています。

宮古島市のホームページには責任逃れのように「海水浴場はありません」と書かれていますが、これは嘘です。

与那覇前浜の東急ホテル前の一部のエリアは「海水浴場」と認定されています。

もし市役所職員がそのことすら知らないとしたら、それ自体大問題です。

シギラビーチ

宮古島の南海岸、シギラビーチも同様です。

この場所だけは「海水浴場」として認められています。

宮古島の南海岸エリアでリゾートホテル事業を展開するユニマットプレシャスが、沖縄県に「海水浴場」開設を申請し、ライフセーバーを配置して管理しています。

ライフセーバーがいない理由

ここまで読んで頂ければ、この2ヶ所以外の海にライフセーバーがいない理由が分かると思います。

理由は海水浴場の開設を申請する民間企業がないからです。

民間企業が海水浴場開設を申請しない限り、ライフセーバーはいない。なんとも情けない状況ですが、これが現実です。

これでいいのか?

皆さんはこの状況をどう思われるでしょうか。私はこれでいいとは思いません。

納得がいかないので、全国の「海水浴場」について調べてみました。

当然と言えば当然ですが、全国の多くの海水浴場では自治体または観光協会がライフセーバーを配置しています

つまり、宮古島の場合、宮古島市または宮古島観光協会がライフセーバーを配置する。これが当然の流れではないかと思います。

宮古島には水難事故防止連絡協議会という組織があります。宮古島市、宮古島観光協会、宮古島海上保安部、警察、消防などが加盟しています。

毎年予算を組んで活動していますが、ライフセーバー設置の話は全く進みません。1年に何回かビーチで水難事故防止のパンフレットを配布していますが、活動はその程度です。

海上保安庁や警察、消防がライフセーバーを配置するということにはならないはずなので、ライフセーバーを配置するとしたら、やはり宮古島市か宮古島観光協会です。

全てのビーチにとは言いませんが、せめて与那覇前浜や新城海岸、吉野海岸、インギャーマリンガーデンあたりには、ライフセーバーを配置できないものかと思います。

何のための海開きか

この記事を書いていて気がついたことがあります。それは、宮古島の海開きは何のための海開きなのかということ。

毎年宮古島では4月に海開きが行われます。場所は与那覇前浜。イベントを主催するのは宮古島観光協会青年部です。

カウントダウンに合わせて子どもたちがいっせいに海に飛び込む、宮古島の一大イベント。

ジェットスキーに試乗できたり、子供用のウォータースライダーが設置されたり、イベントとしては良い内容なのですが、果たしてこれを「海開き」と呼んでいいものか。

通常「海開き」は「海水浴場」で行われます。

毎年全国ニュースで放送される茅ヶ崎の海開きは「サザンビーチ茅ヶ崎」という「海水浴場」で行われます。

海開きが行われると、海の家の営業が始まり、ライフセーバーによる海の監視が行われます。海開きの期間は7月7日から8月30日というように定められています。

宮古島の海開きが行われる与那覇前浜は「海水浴場」ではありません。

海開きが行われても、ライフセーバーが配置されるわけではありません。

海開きのイベント日時は決まっていますが、海開きの期間は決まっていません。

これだけ盛大に海開きをしておきながら「ここは海水浴場ではありません」というスタンスの宮古島市。

海開きのイベントでは、宮古島市長も、宮古島観光協会会長も「宮古島の海を楽しんでください」と挨拶していますが、果たしてこのこれでいいのでしょうか。

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さいごに

観光客が急増する宮古島。一番の観光資源は美しい海です。

その美しい海で、毎年命を落とす人がいます。

私が移住してからの5年間で27人が亡くなりました。

経済発展のため、クルーズ船を誘致し、国際線を誘致し、大型ホテルを誘致する。その前にやるべき大事なことがあると考えるのは私だけでしょうか?

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