宮古島に犬猫保護施設を作っても殺処分がなくならない理由

宮古島には首輪をつけたままうろうろしている放し飼いの犬がとても多いです。

野良犬や捨て犬も多く、保健所に収容され殺処分される犬もいます。

宮古島では2017年頃から、民間の団体「宮古島アニマルレスキューチーム」が捨て犬を保護し里親を探す活動をしています。志村動物園で相葉雅紀さんが取材したことでアニマルレスキューチームは全国に知られるようになりました。

アニマルレスキューチームの目標は宮古島から殺処分をなくすこと。チームの活動によって殺処分は減っていますが、残念ながらなくなることはありません。

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宮古島アニマルレスキューチーム

宮古島アニマルレスキューチームは宮古島移住者を中心に結成された団体。野良犬、捨て犬を保護し、保護施設で一時的に預かり、譲渡先を探す活動をしています。

アニマルレスキューチームの代表は中原絵里奈さん。志村動物園では「宮古島のシングルマザー」として紹介されていました。志村動物園で放送されたのは2019年3月。4月には嵐の相葉雅紀くんが犬猫保護施設の追加取材のため、宮古島に来ていました。

アニマルレスキューチームは2017年頃から犬猫の保護活動をしています。代表の中原さんは2017年に大阪から宮古島に移住。当初はチームとは別に個人で犬の保護活動をしていました。

2018年に中原さんがアニマルレスキューチームの代表になってからは、クラウドファンディングで犬猫保護施設を作ったり、志村動物園で紹介されたりと、チームの活動が広がっています。

なぜ放し飼いが多いのか

宮古島は犬の放し飼いが多い島です。都会では考えられませんが、首輪をつけた飼い犬が道路をうろうろしています。

観光客から見れば、宮古島はリゾート地ですが、地元の人たちの感覚は違います。宮古島は人口わずか5万4000人の離島。沖縄の中では田舎の島です。

田舎なので人と人との結びつきがとても強いです。離島で人の出入りが制限されるので、親戚の絆、地域の絆も深まります。

親戚の集まりやお祝い事が多く、普段から家に親戚や地域の人たちがよく来ます。家に鍵をかけず、玄関の扉を開けたままで生活している人もいます。

島の人たちにとって家は、自分の家でありながら、みんなの家でもあります。家の内側と外側の境界線はあってないようなもの。家の前の道路も、隣の家も、自分の家の延長という感覚で暮らしている人が多くいます。

飼い犬を放し飼いするのも、家の外と内の区別が明確でないことが理由。島の人たちは「そのうち帰ってくる」とのんきに犬を放し飼いしています。

殺処分される犬

放し飼いされた犬が外で子供を作ると野良犬が増えます。

野良犬は保健所に保護され一定の期間を過ぎると殺処分されます。宮古島で殺処分される犬の数は年間300頭前後。

アニマルレスキューチームは、保健所からも犬を保護する活動をしていています。チームの活動により犬の殺処分は大幅に減りました。残念ながら殺処分がゼロになることはありません。

保健所はお役所的に犬を保護し殺処分します。引き取り手が見つかれば犬を譲渡することもありますが、積極的に譲渡先を探すことはありません。

アニマルレスキューチームは保護した犬をクラウドファンディングで作った犬猫保護施設で預かり、SNSを活用して里親を探し、全国各地に届けています。

島外への犬の譲渡では、犬を一緒に飛行機に乗せてくれる人を探し、協力者にバッゲージごと犬を預けています。

島の人たちの評価

アニマルレスキューチームの構成員は大半が移住者。志村動物園で取り上げられたシングルマザーも大阪からの移住者です。

殺処分される犬を保護し、譲渡先を探し、犬の命を救う。立派な活動ですが、島内ではアニマルレスキューチームの活動はそれほど浸透していません。

島の人たちは来るもの拒まず去る者追わず。移住者の活動に反発することはありませんが、積極的にサポートすることもありません。「関心がない」という言葉が一番しっくりきます。

島の人たちにとっては、放し飼いの犬や野良犬がうろうろしているのは、何十年も前からある光景。犬の殺処分への関心もなく、毎年300頭もの犬が殺処分されていることを知っている人はいません。

島の人たちは良くも悪くも、人間は自然の一部という感覚を持っています。毎年のように猛烈な台風が来ることで、自然の脅威を体感し、その感覚が育ったのかもしれません。自然の一部の人間が、捨て犬や野良犬をわざわざ保護し、飼い主を探すことに意味はありません。

アニマルレスキューチームの活動は立派ですが、地元の理解を得ることは、クラウドファンディングで全国から資金を集めるより何十倍も大変です。

島の人たちにチームの理念が広がらなけれれば、殺処分がなくなることはありません。

移住者のコミュニティ

宮古島の移住者の中には、島の人たちと積極的に関わる人もいれば、移住者だけと関わっている人もいます。

移住者だけのコミュニティは長続きしないことが多いです。宮古島移住者の多くは3年以内に島から帰っていきます。移住者の入れ替わりが激しいので、コミュニティを維持するのは大変なことです。

社会的に意味のある活動をしていても、移住者の団体が行政から資金面で支援を受けるハードルはとても高いです。移住者は宮古島の全人口の1割以下。市役所の限られた予算を移住者の団体に割り当てるのが困難なことも理解できます。

島で暮らしていると「あんたは移住者か?」「どこから来たか?」と聞かれることが多いです。移住者を差別することはありませんが、島の人たちは移住者を区別します。積極的に関わろうとはしません。

島の人たちが犬を放し飼いする。

捨て犬が増える

移住者が捨て犬を保護する。

殺処分は減るがなくならない。

今後もこの関係は続いていきます。

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