沖縄に移住して5年のshimagurashiです。
移住先として人気の沖縄ですが、移住した人全員が沖縄での生活に満足し、永住を決めているわけではありません。
沖縄移住者の半分は、移住から3年以内に島を出ます。私も沖縄での暮らしは限界だと思うタイミングが何度もありました。
沖縄移住5年の私なりに、沖縄移住の失敗パターンと失敗する理由を、実体験を交えてまとめました。
失敗パターン
私が目撃した沖縄移住の失敗パターンをまとめました。実際に移住すると、移住前には想像していなかった様々な困難に直面します。乗り越えるのは至難の業です。
仕事
沖縄移住が成功するか失敗するかの一番の分かれ道は仕事の選択。沖縄永住を決めている移住者の先輩たちは、長く続けられる仕事を見つけています。
沖縄でも移住前と同じ職種で働いている人の方が、移住生活はうまくいく傾向にあります。
移住をきっかけに新しい仕事を始めると、それまで積み上げてきた人生のキャリアを放棄することになります。
初めてアルバイトをした時や、新入社員時代が大変なように、初めての仕事は慣れるまでが大変です。
「沖縄の人はルーズだから、適当に働いておけば大丈夫」という考えは危険です。沖縄の人たちは、身内には優しいですが、他人には厳しいです。
沖縄の人にとって、沖縄出身者はみんなが親戚のような関係です。だからこそ、お互いのルーズさを許し合い、カバーしあって生きています。
移住者は親戚ではなく、よそ者です。
沖縄出身者が多い職場だと、疎外感を感じることがあります。沖縄の人がルーズに働いているからと言って自分もルーズに働いていると、白い目で見られ、誰にも相手をしてもらえなくなります。
移住に失敗しないためには、沖縄での人脈を広げることが大切です。大好きな沖縄に住んでいても、困った時に頼れる人や、一緒に楽しめる仲間がいなければ移住生活はうまくいきません。
沖縄出身者が多い職場だと、はじめは相手にしてもらえないので、人脈を築くのに時間がかかります。じっくり3年ぐらいかけて、まじめに仕事をこなすことで、少しずつ心を開いてくれるようになります。
移住者が多い職場は人脈を築きやすいです。出身地や性別、年齢を問わず幅広い移住者とつながりができます。様々な人生経験を経て沖縄に移住した人とのつながりができることで、多くの学びがあります。
ただし、移住者が多い職場は移住失敗のリスクを伴います。移住者の半分は3年以内に沖縄から帰っていきます。移住者が多い職場にいると、移住生活に限界を感じて帰っていく同僚を目にする機会が多くなります。
人間は単純な生き物です。身近に本土に帰っていく人が多いと「帰る」という選択肢が頭をよぎるようになります。
移住者同士の人脈も有意義なものですが、沖縄のことを深く知ってより長く生活するなら、沖縄出身者との人脈は欠かせません。
沖縄移住失敗パターンで一番多いのは「仕事がきつい」「職場の人間関係がうまくいかない」など仕事にまつわるものです。
給料
沖縄は全国平均に比べかなり給料が少ないです。沖縄県の給与水準は全国平均の3分の2と言われています。
沖縄で会社員として働く30代の私の給料は月額19万円台。本土で働いていた頃に比べかなり少なくなりました。
会社員の給料が低いのは当然で、アルバイトの時給や建設作業員の日当も都会に比べると少ないです。
給料が少ないからと言って仕事が楽なわけではありません。
沖縄では土曜日も働いている人が多いです。公務員や銀行員は週休2日を確保していますが、休みは日曜日だけという人が多数派です。
私も沖縄移住前は週休2日でしたが、移住後は週休1日の生活です。
給料は安いのに、休みが少ない。これが沖縄の仕事の現実です。沖縄に移住して給料が良くなった、休みが増えたという人はほとんどいません。
特殊な技術を持っていて、それを活かせる場合は別ですが、私のように何の特技もない移住者は、給料の安さが大きな壁になります。
安い給料で生活していると、自己肯定ができなくなってきます。給与明細を見るたびに「お前の沖縄移住は失敗だ」と言われているような気がします。
給料が安すぎて生活が行き詰まるのも、沖縄移住失敗の代表的なパターンです。
1人での移住なら安い給料でも何とかなりますが、家族がいると給料の安さは死活問題。
1人で移住し、沖縄で結婚し、子供ができたのをきっかけに、本土に帰る人もいます。
沖縄に飽きる
どんなに大好きな土地でも、観光で数日訪れるのと、実際に住むのとでは大違いです。
移住前、私は沖縄の美しい海に魅了されていました。今でも見るたびに沖縄の海は美しいと感じますが、初めて見た時に比べれば、感動は薄れています。
移住前は「海がきれいな場所」に住むことが私の人生の目的でした。移住5年の今は、海が近いかどうかはどうでもよくなりました。
海に近いかどうかよりも生活しやすいかどうかの方がよほど重要です。職場に近く、買い物が楽で、渋滞が少ない場所に住みたいです。
海の近くは台風の時に風が強く、塩害がひどくて車がすぐにサビます。実際に暮らすと海に近いことのデメリットが際立ちます。
どうせ移住するなら、沖縄本島北部や宮古島、石垣島などの離島に住みたい気持ちもわかりますが、都心部から離れれば離れるほど移住生活の難易度は上がります。
遅かれ早かれ、沖縄で暮らしていると、沖縄での暮らしに飽きが来ます。沖縄に永住している人たちは、沖縄に飽きた上で、沖縄で暮らし続けることを選んでいます。
移住後いつまでも沖縄が大好きで仕方ないという人は少数派です。沖縄で移住生活を10年以上続けている人たちの多くは、沖縄に飽き、沖縄の嫌なところを受け入れた上で、沖縄での暮らしを選択しています。
「憧れのリゾートライフ」というイメージとはほど遠い、地に足のついた暮らしです。
人間関係
人間関係がうまくいかずに沖縄移住に失敗する人も多いです。
沖縄の人は優しいと思い込んでいる人ほど、移住後に人間関係でつまずきます。
沖縄の人たちは確かに優しいです。観光客にも、身内にも優しいです。ただし、移住者には優しくありません。
わざわざ時間とお金をかけて沖縄に来る観光客には、沖縄の人たちは温かく接します。「遠いところからようこそ」という気持ちで迎えてくれます。短い滞在時間を少しでも有意義なものにしてほしいと思ってくれます。
移住者に対しては態度が変わります。沖縄の人たちは移住者を「どうせすぐ帰る」と思って見ています。沖縄の人たちは、移住に失敗して帰っていく人たちを何人も見かけているので、移住者が近くに現れても積極的に関わろうとはしません。
沖縄出身者は縄張り意識が強いです。家族、親族、地域、小学校など、それぞれが所属する場所に対する縄張り意識を強く持っています。
縄張りの内部を外部の人間に乱されることを嫌います。縄張りの中に土足で入ってくるような人は嫌われます。
移住者は多少の疎外感は受け入れる覚悟が必要です。
沖縄移住後うまく人脈を築けなければ移住生活は失敗します。沖縄の人たちは移住者に積極的に関わってくれません。こちらから積極的に関わるのも煙たがられることが多いです。
地道に信頼関係を築き、心を少しずつ開いてもらいながら時間をかけて人脈を築くことが大切です。沖縄の人のルーズさが性に合わなくても、受け入れる懐の深さが求められます。
少しのことは我慢してでも丁寧に人間関係を築こうという気持ちがなければ、移住生活はうまくいきません。
気候
沖縄移住前、私は沖縄の夏が大好きでした。移住5年の今は、夏が嫌いになりました。
沖縄の夏はとにかく暑いです。
本土に比べると気温は低いですが、湿度が高くて不快。太陽の日差しが強烈で、夏は数分外にいるだけでクラクラしてきます。
沖縄の人たちは体質的に暑さに強いように感じます。暑さに慣れない移住者が沖縄の人と同じペースで屋外で働くと熱中症になります。外での仕事はかなりハード。数時間外で働いただけで、その日は何もできなくなります。
沖縄の夏はとても長いです。観光客にとっては長い夏は嬉しい限りですが、移住者には厳しいです。
沖縄は4月~10月ぐらいまでずっと暑いです。
本土ではどんなに暑い日でも夕方になれば気温が下がります。沖縄は朝9時~夜6時までずっと暑いです。
沖縄の気候が合うかどうかは実際に生活してみなければわかりません。気候が合わずに移住に失敗する人もいます。
移住に向いている人
沖縄移住5年の経験をもとに、沖縄移住に失敗しないのはどんな人かまとめました。
欲がない人
沖縄移住には欲やこだわりがない人が向いています。欲やこだわりが強い人は沖縄移住に失敗します。
どんなに憧れて沖縄に移住しても、沖縄での生活に飽きるタイミングが必ず来ます。その時に「もっと良い暮らしがしたい」「こんなはずじゃなかった」と考え始めると、移住生活は失敗に向かいます。
沖縄での移住生活を具体的に想像しすぎるのも危険です。「一軒家じゃないと嫌だ」などとこだわりが強い人は移住生活に失敗します。移住生活では移住前には想像もしなかったような困難に直面します。
困難に直面した時、柔軟に人生の価値観の軌道修正を出来る人が沖縄移住には向いています。欲を捨て、こだわりを捨てられる柔軟性が必要です。
「名誉欲」「出世欲」「物欲」「金欲」。沖縄移住に失敗したくなければ、全ての欲を捨てることです。捨てるのが惜しいと少しでも思うなら、沖縄移住はやめた方がいいです。
移住前の私は沖縄に移住することで、人生の勝ち組になれると思っていました。結果は真逆。沖縄に移住したことで、私は人生のレールを大きく踏み外し、人生の負け組への道を歩み始めました。
移住することは、全てを捨てること。移住前にそれをしっかり理解できていなかった私は、移住後しばらくしてから失ったものの大きさに気がつき「こんなはずじゃなかった」とショックを受けました。
私は沖縄での生活を5年続けていますが、移住が成功したとは思っていません。
移住前に比べ給料は少なくなり、仕事はハードになりました。本土に帰ろうと転職活動を始めましたが、全くうまくいきません。
都会での仕事をドロップアウトして沖縄に移住した人間を、本土の企業が相手にしてくれるわけがありません。
私は「本土に帰って人生をやり直したい」と考えていますが、うまくいきそうにありません。
欲を捨て切れずにいる私は、移住失敗組です。欲もこだわりもない人が沖縄移住には向いています。
受け入れる力がある人
沖縄の人は「受け入れる力」に長けています。
移住者が沖縄で長く暮らす秘訣は「沖縄の人のように暮らす」こと。沖縄の人が持つ「受け入れる力」を見につければ、移住生活はうまくいきます。
沖縄の人たちは、耐えがたいことを受け入れさせられてきた歴史があります。地上戦で多くの犠牲者が出た戦争、生活圏の近くにある米軍基地、猛烈な台風、本土に出て行ったまま帰って来ない子供。
沖縄の人たちには、苦しいことも「なんくるないさぁ」と受け入れる強さがあります。
「なんくるないさぁ」は、ゆるさ、適当さを表現する言葉と思われがちですが、「なんくるないさぁ」という言葉には、困難も嫌なことも全て受け入れる沖縄の人たちのたくましさが凝縮されています。
移住者が沖縄で生きて行くには「なんくるないさぁ」精神を身につけることです。
仕事のハードさも、給料の少なさも、うまくいかない人間関係も、暑すぎる夏も、全てを受け入れるタフさが求められます。
「なんくるないさぁ」精神で全てを受け入れ、沖縄の人たちのように、やさしく、たくましく生きることができれば、移住成功への道が開けます。
自分のことばかり考えているような自己中心的な人には、沖縄での暮らしは長続きしません。沖縄の人たちの価値観を理解しようとせず、自分の移住生活を充実させることしか考えていない人は移住生活に失敗します。
沖縄をリスペクトできる人
「沖縄に移住した。今日からここは俺の島だ」という傲慢な人は、移住に失敗します。
移住者は「島におじゃまさせてもらっている」という謙虚さが求められます。
沖縄の人の文句を行ったり、沖縄の伝統や風習に口出ししたりする人は、沖縄移住には向いていません。
効率が悪くても、常識に反していても、正しいのは沖縄の人です。移住者は所詮よそ者。沖縄の人をリスペクトし、沖縄の人たちのやり方を尊重できない人は、移住生活に行き詰ります。
見せかけのリスペクトはぼろが出ます。心の底から沖縄をリスペクトすることです。
「地域の人たちのためにこれをやってあげた」「沖縄が良くなるために自分はこんなに頑張っている」というタイプの人もダメです。
「おじゃまする」立場なのだから、でしゃばらないことです。「自分が何かをやってあげた」
という感覚で生きている移住者は沖縄の人からするととんでもなく迷惑な勘違い野郎です。
移住に失敗したくなければ、地道にまじめに、奢ることなく毎日を生きることです。
まじめに暮らしているうちに、島の人たちは少しずつ心を開いてくれます。
人脈を広げる一番のきっかけになるのは仕事です。仕事でコツコツ頑張って、信頼を得られるようになれば、自然と人脈が広がっていきます。
ここまで読んで「沖縄の人と関わらなくても、自分は一人でも生きていけるから大丈夫」と思った人が一番危険です。その傲慢な考えが、移住失敗につながります。
人は1人では生きていけません。沖縄に移住したからと言って人と関わらずに生きて行くことなどできません。
沖縄の人や歴史、文化、風習を理解し、リスペクトする気持ちがなければ、沖縄での移住生活はうまくいきません。
まとめ
沖縄移住の失敗パターンと失敗の理由、沖縄移住に向いている人の性格をまとめました。
仕事がきつい、給料が安すぎる、人間関係の悩みなど、沖縄移住には様々な移住失敗パターンがあります。
移住前に沖縄での暮らしにどれだけ憧れていても、実際に暮らすと必ず飽きが来ます。
沖縄での生活に飽きてきた頃が移住成功と失敗の分かれ道。
欲をなくし、全てを受け入れ、沖縄をリスペクトする。沖縄の人のようにたくましく生きることが移住失敗を避ける秘訣です。
このブログでは、私が移住した宮古島での体験談をもとに、沖縄のリアルな移住生活について発信しています。沖縄移住を考えている皆様の参考になれば幸いです。