「宮古島はバブル」「地価500倍」「家賃が都心並み」
宮古島バブルの報道では、キャッチ―な見出しが並びます。
宮古島移住5年の私から見ても、この5年間で宮古島は大きく変化しました。
ただ、最近のテレビや週刊誌の報道が、宮古島の現状を誇張して伝えているように感じることがあります。
実際に宮古島に住んでいる立場から、宮古島バブルによる島のリアルな変化をまとめました。
宮古島バブルとは
宮古島バブルをもたらしたのは、観光客の急増と建設ラッシュです。
宮古島では伊良部大橋が開通した2015年以降観光客が急増しています。
【観光客数】
2014年度 43万人
2015年度 51万人
2016年度 70万人
2017年度 98万人
2018年度 114万人
(宮古島市役所まとめ)
【新築住宅着工数】
2014年 438戸
2015年 323戸
2016年 441戸
2017年 423戸
2018年 2115戸
(国土交通省住宅着工統計)
宮古島は2017年頃から「プチバブル」と言われるようになりました。
2018年には「宮古島バブル」という言葉が定着。全国放送のテレビ番組や雑誌で宮古島バブルが報道されるようになりました。
2018年度の観光客数114万人のうち、4割は、中国・台湾からクルーズ船で来る外国人観光客です。
2018年に着工した住宅2115戸のうち、アパートなどの「集合住宅」が1843戸、社員寮などの「給与住宅」が167戸。
2019年の統計データはまだ発表されていませんが、さらに増加しているものとみられます。
このデータだけを見れば、宮古島は「バブル」です。
地価500倍
宮古島バブル報道で最もインパクトのあるフレーズは「地価500倍」。琉球新報の宮古島バブル報道で最初に登場し、週刊文春にも「地価500倍」の見出しが躍りました。
宮古島で地価が500倍になっているところは、ごくごく一部です。ごくごく一部というか1ヶ所だけです。1区画の畑がたまたま500倍で売れただけです。
宮古島バブルで宮古島全体の土地価格が上昇傾向にありますが、500倍は言いすぎです。
500倍になった土地があるのは、リゾート開発が進む伊良部島の南海岸沿い。伊良部大橋を渡って左折すると、リゾートホテルや別荘が立ち並ぶ開発エリアが3キロ続きます。
このエリアの地価はかなり高騰しています。
島の人たちは海沿いの土地を敬遠します。台風による塩害がひどくて作物が育たず。住宅を作っても海の潮にやられてむき出しの金属はすぐにサビます。車も自転車もすぐにサビます。
長年使い道のなかった伊良部島の南海岸沿いの土地は、伊良部大橋の開通で脚光を浴びるようになり、高値で取引されるようになりました。
渡口の浜の入り口に、地元の人が営む小さなてんぷら食堂があり、タクシードライバーの憩いの場所でした。バブル期に本土企業に高値で買いたたかれ「ブルータートル」というマリンショップに生まれ変わりました。
「地価500倍」と表現されるのはもともと土地の価格がゼロに近かったから。20万円が1億円になれば地価は500倍です。
「地価500倍」という表現は、伊良部島の人の「こんなところ20万ぐらいだったよ。それが1億で売れたって」という、噂レベルのコメントを切り取って報道したもの。
宮古島バブルで島全体の地価が500倍になったら、宮古島の人はたちは今頃、全員大金持ちです。
リゾート用地の地価は上がっていますが、500倍は大げさすぎます。
とはいえ、リゾート用地以外の住宅地にも宮古島バブルの影響は出ています。住宅地として人気の久松エリアでは、宮古島バブルで坪単価8万円が15万円になっているところもあります。
家賃1K10万円
宮古島バブル報道では「家賃1K10万円」「都心並みの家賃」との見出しが躍ります。
不動産屋のホームページには「1K10万円」クラスの物件ばかりが並びます。
宮古島の本来の家賃相場は1Kで3~4万円台。3DKで5~6万円台。
1K10万円は相場を大きく上回る破格の高さです。
実際、宮古島の大半のアパートの家賃は家賃相場の範囲に収まっています。私が住むアパートは3DKで6万円です。
バブル期に新築されたアパートの家賃はかなり高めに設定されていますが、築10年、20年のアパートの多くはバブルでも家賃を値上げせず、据え置きしています。
バブル報道では、不動産屋が「バブルで家賃が2倍」などとコメントしていますが、これは明らかに誇張した表現です。
不動産屋が取り扱う物件の大半のアパートの家賃は、バブル以前もバブル以後も変わりません。
新築アパートの大家がバブルに便乗して強気の家賃設定をしているだけであって、既存のアパートの家賃は変わりません。
不動産屋のホームページには出てきませんが、バブル期にも相場通りの家賃で賃貸契約を結んでいる人もいます。
友人・知人のつてを使って空き部屋を探し、不動産屋と交渉し、契約にこぎつけています。
不動産屋は家賃が高いほど儲かるので、宮古島の家賃相場自体が上がっているかのような受け答えをしますが、実際はそこまで変化していません。
ただし、1kタイプの単身向けの新築物件の家賃が高騰しているのは事実です。宮古島では慢性的に単身向けの賃貸物件が不足していました。
バブル期に建設されているアパートの多くは単身向け。
需要と供給のバランスの崩れから、単身向けアパートは高めの家賃でもすぐ埋まります。
人気の久松エリアの新築アパートは1K9万円でもすぐに全ての部屋の入居者が決まりました。
突然の家賃値上げ
宮古島に住んでいて、宮古島バブルの一番の弊害だと感じるのは、アパートの家賃値上げ。
宮古島バブルに便乗し、大家と不動産屋が手を組んで入居者がいる部屋の家賃を値上げしています。
「来月から急に1万円値上げと言われた」「4万円が8万円になった」など、島民からは悲鳴があがっています。
1万円以上の値上げはレアケースですが、2000円~5000円の値上げは横行しています。
不動産屋の中には大家に家賃を値上げするよう働きかけているところもあります。
住宅不足の宮古島では、部屋を出たら住む場所がないので、入居者は家賃値上げを受け入れるしかありません。
給料が少ない宮古島。バブルだからと言って給料が上がったと言う話は全く聞きません。給料は変わらないのに家賃が値上がりしています。
「宮古島バブル」と外の人間が騒いでも、宮古島の人たちは「人が増えたね」と言うぐらいで今まで通りの穏やかな暮らしを続けています。
宮古島の人たちは優しくて我慢強いので、家賃が値上げされても表立って文句を言ったり、被害者団体を組織して抗議したりすることはありません。
しかし、家賃値上げは確実に宮古島の住民の生活を圧迫しています。
実際に住んでいて感じる宮古島バブルの一番の弊害は「家賃値上げ問題」です。
家賃が高くて移住できない
家賃が高くて移住できないという移住者の悲鳴も聞こえてきます。
宮古島バブルで移住のハードルが上がっているのは間違いありませんが、2018年にも、2019年にも、宮古島移住を実現した人はいます。
ゲストハウスに1ヶ月泊まって不動産屋に通い続けた人、マンスリーマンションを借りて地道に物件を探し続けた人。
本気で宮古島移住を実現したいと考える人たちは、その思いを実現すべく、努力し、家賃相場通りの物件を手に入れています。
宮古島バブルでも正社員、契約社員の給料は上がっていませんが、アルバイトの給料は上がっています。
人手不足なので、バブル前に比べると仕事も探しやすいです。観光関連のホテル、レンタカー、居酒屋は慢性的に人手不足。建築業や介護業なども人が足りません。
本気で移住したいと思えば、仕事も住む場所も見つけられないことはありません。
寮付きの仕事から始めるという選択肢もあります。
ただし「宮古島に移住したい」というこだわりが強すぎるのは危険です。
宮古島に移住して5年。多くの移住者が宮古島に来ては帰っていくのを目にしました。
「欲深い人」「こだわりが強い人」は宮古島移住には向いていません。
欲がなく、こだわりがなく、多少の困難は受け入れられる忍耐力のある人が宮古島移住には向いています。
「何が何でも宮古島に移住する」というこだわりが強い人、宮古島移住への憧れが強すぎる人は、移住後、理想と現実のギャップに苦しむことになりかねません。
土地を中国が買い漁っている
「宮古島バブルで中国が土地を買いあさっている」という報道がありますが、これはウソです。
宮古島の土地はバブル期に本土企業に買い漁られています。特に伊良部島の南海岸沿いや宮古島の海沿いのリゾート用地は高値で買い取られ、次々にリゾートホテルが建設されています。
海外からのクルーズ船寄港の急増により、宮古島には中国人観光客が増えています。
中国人を相手に商売する免税店も増加中。免税店の中国人従業員は宮古島のアパートに暮らしています。
ただし、宮古島に住んでいる中国人はごく一部です。島全体で50人もいません。那覇のように夜の街が外国人で溢れることもありません。
中国資本の企業が土地を買収したという話も聞きません。バブル期にホテルを新築しているのは三菱地所や小田急グループなどの国内企業です。
建設業者がウハウハ
宮古島バブルで地元の建設業者はウハウハ。かなり儲かっているという噂があります。
宮古島の建設ラッシュの勢いはすさまじく、建設業者にかなりお金が落ちているのは事実。
ただし、建設業者に入る金額が多い分、出る金額も多いです。
宮古島には工事現場が溢れていて、島内の建設作業員だけでは足りません。
建設業者は島外から建設作業員を雇っています。
島外からの建設作業員の日当は、島内の作業員よりかなり高いです。高い日当を払わなければ作業員は宮古島に働きに来てくれません。
島内の建設作業員の日当は1万円台ですが、島外の作業員の日当相場は3万円台とかなり高騰しています。
現場監督ができる人や、大型クレーンを操縦する資格を持っている人はかなり優遇され、高い日当をもらっています。
建設業者は島外からの作業員の寮として、アパートの部屋を確保しています。
工期内に工事を終わらせないと大変なことになるので、建設業者は1K10万円の物件も迷わず契約します。ホテルの部屋を社員寮として借り続けている業者もあります。
島外からの作業員がいない期間も、部屋の契約を解除すると空き部屋を探すのが大変なので、家賃を支払い続けています。
宮古島バブルで建築作業員の日当も、家賃も高騰しているので、建築業者は手放しでバブルを喜べるほど儲かってはいません。
島は中国人だらけ
「砂山ビーチに行ったら中国人だらけで萎えた」
宮古島には中国人観光客が急増しています。運悪くタイミングが重なると、ビーチは中国人に占拠されたような状態になることがあります。
夏場のピーク時は週6日、海外からのクルーズ船が入ります。クルーズ船は10時頃入港し、18時頃出航します。
クルーズ船の中国人観光客はタクシーや観光バスで移動します。特に観光バスとタイミングが重なった場合は最悪。
大量の中国人がビーチを埋め尽くし、ビーチにはボリューム大きめの中国語がこだまします。
観光バスがショッピングモールに来るタイミングだと、スーパーも中国人で大混雑します。
島の人たちはクルーズ船の入港時間を避けて買い物をしたりします。
クルーズ船の乗客は1階あたり2000人~4000人。宮古島の人口は5万4000人。
島のいたるところが中国人だらけ、という状況にはなりません。
クルーズ船の宮古島滞在は8時間前後。夜には出航します。宮古島の夜の街に中国人はいません。
沖縄本島のように今後国際線が充実し、島に宿泊する中国人が増えれば、夜の街にも変化が出てくるかもしれません。
ビーチに人がいっぱい
宮古島バブルで観光客が増え、与那覇前浜や新城海岸、砂山ビーチなどのメジャーなビーチには人が増えています。
前浜ではパラセイリングやジェットスキー、バナナボートなど、マリンレジャーも大盛況です。
バブル前に比べると観光客はかなり増えましたが、それでも都心の海水浴場に比べるとかなり人は少ないです。
関東圏の湘南茅ヶ崎海岸のように、砂浜の上がレジャーシートやパラソルでいっぱいになる光景は宮古島にはありません。
宮古島のビーチのパラソルはゆとりを持って配置されています。砂浜も海も広く開放感があります。のんびりと宮古ブルーの海を満喫できます。
宮古島の魅力は、海のポテンシャルの割に人が少ないこと。
夏のピーク時は人が多いですが、早朝や夕暮れ時、オフシーズンの冬には、まだまだ離島本来ののんびりしたビーチを堪能できます。
下地島空港がフィーバー
宮古島バブルの報道で必ず出てくるのが「下地島空港」
宮古島と橋でつながる下地島空港に国内線LCCと国際線をターゲットにした新旅客ターミナルが開業。
パイロット養成訓練としての役割を終え、使い道のなかった下地島空港は宮古島第2の空港として始動しました。
下地島空港新ターミナル開業後、ジェットスターの成田便、関西便、香港の格安航空会社香港エクスプレスの香港便が就航。
下地島空港がフィーバーしているかのように見えますが、実際はそれほど盛り上がっていません。
夏のピーク時でも、飛行機が飛ぶのは1日3回だけ。飛行機が来ない時間帯のターミナルは閑散としています。
冬には関西便が休止。成田便も週4便に減便されます。香港便は1年を通して週3便のみ。冬の下地島空港は木曜日と土曜日は旅客機の離着陸がありません。
「あれ?下地島空港大丈夫?」
宮古島の経済界ではそんな噂が広がりつつあります。
宮古島バブルがピークの2019年に開業した下地島空港。
「宮古島バブル崩壊へ 島の経済が破たんする3つのシナリオ」に詳しく書きましたが、下地島空港は宮古島バブルが長続きするかどうかの大きな鍵を握っています。
下地島空港の運営会社は2025年に年間旅客数57万人の目標を掲げていますが、このままではとても届きそうにありません。
空港の運営会社は水面下で台湾、中国、韓国の航空会社と交渉をしているようですが、交渉は難航している模様。
日韓情勢の悪化で全国の空港から韓国の航空会社が撤退しており、下地島―韓国の就航は絶望的。
中国、台湾から宮古島へはクルーズ船旅行が充実しています。クルーズ船旅行は飛行機よりも安いです。中国や台湾の航空会社が下地島便を躊躇するのも理解できます。
国内線LCCは増便どころか冬は減便、運休。
このままでは、宮古島バブルは下地島空港と共に先細りしかねません。
サンゴ礁が破壊されている
宮古島バブルで観光客が急増。海でシュノーケリングをする人が増え、マリンレジャー業者が増え、サンゴ礁が破壊されています。
長く宮古島で営業しているマリンレジャー業者はルールと節度を守っているところが多いですが、新規参入組の中には利益至上主義で環境への配慮が欠けているところがあります。
宮古島の海では「サンゴ礁の上に立ってはいけない」は常識です。
サンゴは一度折れると、再生に数十年かかります。
意識の高いマリンレジャー業者は、自分のツアーに参加している人以外にも「サンゴに乗らないで」と注意しています。
意識の低いマリンレジャー業者は、自分のツアー客がサンゴ礁の上に立ってボキボキサンゴを折っていても何も言いません。
宮古島トップクラスのシュノーケリングスポット、新城海岸や中之島海岸のサンゴは年々破壊されています。
池間島のフナクスビーチのサンゴは壊滅的な被害を受け、見る影もなくなりました。
宮古島の一番の観光資源は海。
エコアイランドを掲げる宮古島市は「千年先の未来へ」とのコンセプトを掲げていますが、千年どころか十年先には宮古島のメジャーなビーチのサンゴは全滅しているかもしれません。
のんびりできない
「宮古島バブルで島に人が増えすぎていて、のんびりできない」
宮古島バブルの報道を見ると、宮古島は常に人でいっぱいというような勘違いをしかねません。
確かにバブル以前に比べて人は増えていますが、都会に比べると今でもかなりのんびりした時間が流れています。
宮古島の人たちの暮らしぶりがバブルで大きく変わることもありません。
観光客にとって、宮古島はまだまだ十分のんびりできる場所です。電車の混雑も車の渋滞もありません。島の一周道路には信号がほとんどなく、車は少なく、快適にドライブを楽しめます。
夏のピーク時には与那覇前浜や新城海岸、砂山ビーチなどメジャーなビーチの駐車場はいっぱいになりますが、元々駐車場の台数が少ないだけで、ビーチに人が溢れているわけではありません。
宮古島では伊良部大橋が開通した2015年以降観光客が急増していますが、増えているのは外国人観光客。
2018年の年間観光客118万人の4割は外国人観光客です。
外国人観光客を大量に乗せたクルーズ船が島に寄港するタイミングだと、島は一時的に混雑します。
スーパーが大混雑し、ビーチも人が人で溢れる時間帯もあります。
ただし「のんびりできない」とがっかりするほどではありません、一時的に「ちょっと迷惑」と感じるぐらいです。
旅費が高くなった
宮古島バブルによって旅費が高くなったという報道があります。
ホテルやゲストハウス、民宿の中には宿泊費を値上げしているところがあります。
バブル期に建てられたホテルは、高い建設費を回収するために極端に高い宿泊費を設定していたりします。
時期によっては飛行機代も以前に高くなりました。
それでも、時期をうまく選び「JALパック」や「スカイツアーズ」などのツアーサイトを使えば安く旅行できます。オフシーズンなら2泊3日で3万円台から離島を旅できます。
宮古島に移住するまで知りませんでしたが、ツアーサイトはホテルの空室をまとめて抑えることで安値を実現しています。
ホテルと飛行機を別々に予約するより屋類です。
居酒屋の予約が取れない
「居酒屋の予約が取れない」は、宮古島バブルで島民がリアルに困っていることの1つです。
特に夏の観光トップシーズンは居酒屋の予約がとれません。
宮古島の人たちはお酒を飲むのが大好き。グループで定期的に飲む「もあい」を複数やっている人が多く、それぞれなじみの店を持っています。
宮古島バブルで夜の街に人が増えたことで、今まで予約なしで入れた店も予約が必要になりました。
1人でふらっと飲みに行くだけでも、予約が必要です。
地元で人気の安くておいしい食堂や居酒屋が、SNSやネット効果で観光客の人気店になり、地元の人が入るのを諦めることがあります。
宮古そばの人気店でお昼時は地元の人で満席だった「大和食堂」は、全国放送のテレビ番組で紹介されてから観光客の人気に火がつき、行列ができる名店になりました。宮古島の人は行列に並ぶ習慣がないので、大和食堂には行けなくなりました。
どんどん住みにくい島になる
宮古島バブルによって島が以前より住みにくくなっているのは事実です。特に、家賃値上げ問題は深刻です。
しかし、バブルで島民の暮らしが大きく変化することはありません。
宮古島の人たちは、バブルの狂乱がいつまでも続くとは思っていません。数年もすれば元の静かな宮古島が戻ってくると考えています。
台風の被害や、暑すぎる夏、限られた作物しか育たない大地。宮古島の人たちは、恵まれない環境でたくましく生きてきました。
恵まれない環境の中で、島の人たちの心の優しさ、強さが育まれました。宮古島の人たちはとにかく我慢強いです。
宮古島バブルで生活が苦しくなっても、島の人たちは黙って耐えようと踏ん張ります。
「宮古島が住みにくくなった」と嘆いているのはお客様感覚で島に住んでいる移住者です。
何があってもこの島で生きて行くしかない島の人たちは、自分たちの誇りである宮古島を簡単に「住みにくくなった」なんて言いません。
島と共に生きて行く覚悟があれば、多少の変化は痛くもかゆくもありません。
宮古島はバブルなのか
宮古島に移住して5年。この5年間で宮古島は大きく変化しました。「宮古島バブル」という言葉が定着し、全国放送のテレビ番組や週刊誌で報道されるようになりました。
「宮古島バブル」という表現は、現状を的確に表しているのか?
実際に宮古島に住んでいる私の感覚からすると「バブル」という表現は行きすぎです。
宮古島が「建設ラッシュ」であることは間違いありません。
下地島空港新ターミナル、クルーズ船専用岸壁、リゾートホテル、民間アパート、市役所新庁舎。バブル期の宮古島には次々に大型施設が完成しています。
開発の勢いはすさまじく、サトウキビ畑にしかできなかった場所に次々にリゾートホテルが建っています。
ただし、バブルと表現するほど住民の生活に大きな変化は出ていません。
島民の給料は変わりません。リゾート用地の地価は極端に上がっていますが、住宅地や田舎はそれほど変わっていません。
「バブル」という言葉は、ポジティブな意味とネガティブな意味を含んでいます。「バブル」という言葉の後に続くのは「崩壊」です。
島の人たちは宮古島バブルが長続きするとは考えていません。バブルの狂乱よりも自分たちの暮らしが大切です。
バブルだからといって急いで土地を売っているのは一部の人たち。大半の島民は以前と変わらず、穏やかな暮らしを続けています。
宮古島で土地と家を持っている地元の人に「バブルだから今なら高く売れますよ」と言ってみたら「俺はどこに住むわけ?」と一蹴されました。
これが地に足のついた島の人の普通の感覚です。
まとめ
宮古島バブル報道のウソホント~移住者が見た島のリアルな変化~についてまとめました。
宮古島バブルによって島が激変しているのは事実ですが、テレビの報道は行きすぎです。
島には観光客が急増し、開発が加速し、一部の地価が高騰しています。
それでも、島の人たちの穏やかな暮らしが変わることはありません。
バブル期に島に来た観光客は「宮古島は思っていたより静かだった」という印象を持つことが多いです。
夏のトップシーズンは少し混雑を感じることもありますが、基本的には離島らしいのんびりとした時間が流れています。