沖縄の離島、宮古島在住のshimagurashiです。
新型コロナウイルスの感染が急拡大する中でも、旅行者が減らなかった石垣島と宮古島。
ついに、石垣市長が石垣島への「旅行自粛要請」を出しました。
観光業で生計を立てる人も多い石垣島での旅行自粛要請はかなりハードルが高いと思われていましたが、石垣市長は「命最優先」の英断をしました。
石垣島からの強いメッセージで、沖縄離島旅行の風向きもようやく変わりそうです。
コロナでも減らなかった石垣島旅行者
新型コロナウイルスで全国の小中学校が休校になった3月上旬。
国内旅行の自粛ムードが広がり、全国の観光地から人が減る中、石垣島の旅行者も一時的にかなり落ち込みました。
この時点で沖縄県の新型コロナウイルス感染者数は3人。石垣島での感染確認はありませんでした。
石垣島でもイベント中止の動きが広がりましたが、小中学校は休校になりませんでした。
共働き世帯が多いこと、石垣島で感染者がないことを理由に、石垣市長は小中学校は休校しないとの判断をしました。
一時的に落ち込んだ石垣島の旅行者ですが、3月中旬から徐々に観光客が増え、春休みにはかなりの数の旅行者がいました。
特に若い人の旅行が目立ちました。卒業旅行で来る人、海外旅行をキャンセルして石垣島に来ている人もかなりいました。
沖縄本島旅行のキャンセル率に比べれば、石垣島旅行のキャンセルはそれほど伸びませんでした。
医療崩壊の不安
あまりに観光客が減らない状況に、石垣島での医療崩壊を危惧する声が上がり始めました。
石垣島の感染症指定医療機関は一ヶ所。感染症入院者に対応する病床は3つしかありません。
ひとたび島に新型コロナウイルスが入れば、大流行するリスクがあります。
小さな島では医療崩壊は簡単に起こります。
3月下旬頃からインターネット上で、「石垣島に来ないで」という投稿が目立ち始めました。
観光業で生計を立てている人が多い石垣島でも「命最優先」という考えが徐々に浸透し始めました。
実際に沖縄の離島に住んでいると、島の医療崩壊をリアルに想像できてしまいます。
感染症指定病院の県立病院には、人工透析患者もいれば、出産を待つ妊婦もいます。
院内感染のリスクは計り知れません。
行政の対応
当初は政府の小中学校休校要請にも応じなかった石垣市。
沖縄本島に比べると行政には危機感がありませんでした。
春休みに多くの観光客が訪れたことで対応が変わりました。
石垣市の中山市長は3月31日に、体調不良の人は旅行を自粛するよう要請。
4月6日。緊急事態宣言に対する石垣市の対応を発表。ついに強いトーンで「旅行自粛」を要請しました。
要請内容は「緊急事態宣言が出されている期間、旅行を慎んでほしい」というもの。
観光業で生計を立てている人も多い石垣島の市長が「旅行自粛」を要請するのは簡単な決断ではなかったはずです。
石垣市長の「旅行自粛要請」は命最優先の大英断です。
宮古島市の対応
宮古島市の下地敏彦市長は4月3日、体調不良の人に宮古島旅行を自粛するよう呼びかけました。
この時点では、宮古島旅行そのものの自粛は呼び掛けていませんでした。4月6日に緊急メッセージを出し、宮古島旅行自粛を強く呼びかけました。
宮古島で生活する私は宮古島市長の旅行自粛要請のニュースを聞いて正直なところ安心しました。
東京などで緊急事態宣言が出されることで、都市部からの「コロナ避難」旅行や帰省が増えることが懸念されています。
緊急事態宣言発表後の「コロナ避難」で石垣島や宮古島で新型コロナウイルス感染者が確認されれば、目も当てられない状況になります。
今後の不安
石垣島旅行者への「旅行自粛要請」が出されたことで、沖縄離島旅行の風向きもようやく変わりそうです。
しかし、不安は尽きません。
旅行自粛はあくまでも要請であり、強制力はありません。
旅行会社が石垣島旅行を取り扱わなくなるわけではありません。東京や大阪、名古屋からの直行便が運休になるわけでもありません。
旅行者の意志次第で、石垣島に来ることは可能です。
「旅行自粛要請」が出されたことで、旅行者は島で白い目で見られることになりますが、ホテル業者やレンタカー業者が宿泊や貸し出しを拒むことはありません。
石垣市長の要請は、補償を伴わない無責任なものとの見方もできます。
観光業で生計を立てている人からすれば、ホテルや居酒屋、レンタカー会社に休業を要請して、失われた収益を補てんしてもらったほうがよほど良いはずですが、小さな島にそんな財政力はありません。
恐いのは、緊急事態宣言が解除された時や、緊急事態宣言が長く続いて国民の気が緩んだ時。
春休みに石垣島旅行者が急増したように、再び石垣島に多くの旅行者が訪れるようになれば、新型コロナウイルス感染拡大のリスクは一気に高まります。