移住先として大人気の沖縄離島
特に宮古島と石垣島は人気で、実際に移住する人も多くいます。
沖縄の離島に移住して南国の楽園でスローライフ♪
こんなにも美しい島の景色を目の当たりにすると、移住したいと考えるのは自然な流れなのかもしれません。
私自身も、宮古島の風景に癒され、人の温かさに心を動かされ、この島に住みたいと強く思って、宮古島に移住しました。
移住して5年。宮古島は本当にすばらしい島だと思います。
ただ、宮古島を「楽園」だとは全く思わなくなりました。
島の出身者も、移住者も、この島で長く生活している人は、みんな一生懸命生きています。
「楽園でスローライフ」が成り立つのは、ごく一部の恵まれた移住者で、私のような平凡な人間は、宮古島を「楽園」だと思って移住すると痛い目にあいます。
5年前の私自身への反省の意味も込めて、宮古島が「楽園」ではない理由を書いてみます。
私の失敗談
5年前に宮古島に移住した私。
移住前に宮古島に行ったのは1回だけ。
「どうしても宮古島に移住したかった」というよりは「現実逃避の場所がたまたま宮古島だった」という感じ。
仕事づけの生活で、会社と家の往復で毎日が過ぎていく。家に帰っても寝るだけ。毎日が眠気と頭痛との戦い。そんな日々を送っていた移住前の私。
宮古島のあまりにも美しい海を眺めていると「一度きりの人生。このままでいいのか」という疑問が自然と出てきました。
今思えば、仕事で多忙な日々に押しつぶされそうになっていた私の唯一の希望が「宮古島移住」でした。
宮古島旅行から帰り、仕事づけの毎日に戻っても、現実逃避のように島の風景が思い起こされました。仕事中に思い出す宮古島の風景は「楽園」そのもの。
たくさん悩みましたが、一度きりの人生だからと思い切って決断した宮古島移住。
引っ越し準備をしている時も、宮古島行きの飛行機に乗った時も、宮古空港に降り立った時も、私の心は喜びに満たされていました。
「楽園」での暮らしに心ときめく、ウキウキした、キラキラした気持ち。
運よく宮古島で就職することができ、移住生活は順風満帆!と思ったのですが・・・。
移住してすぐ、職場の宮古島出身者の先輩から先制パンチのように言われた言葉。
「宮古島は楽園なんかじゃない」
正確に言うと「移住者って宮古島を楽園だと思って来るだろ?そんなんだからだめなんだよ。この世に楽園なんてあるわけないだろ」という言葉。
「そうですねぇ」と返しながら、私の心の中は「いやいや、宮古島出身者だからそう思うんですよ。私にとっては宮古島は楽園そのもの。移住できただけで本当に幸せです」という感じ。
せっかく移住した宮古島が楽園じゃないなんて、そんなバカな。じゃあ何のために移住したんだ?ってことになってしまうじゃないか。
先輩の言葉は、とてもショックでしたが、移住したばかりの私にはピンときませんでした。
しかし、移住から5年たった今となってみれば、あの時の先輩の言葉は100%正しかったと思います。
「宮古島は楽園なんかじゃない」
その通りでした。宮古島は移住者にとって楽園ではありません。
宮古島を楽園だと思ってうまくいくのは、最初の数ヶ月です。
しばらくすると現実が襲ってきます。
3年以上宮古島で移住生活を送っている人で、宮古島を「南国の楽園」だと思っている人はほとんどいません。
いつまでも「楽園の暮らしを満喫する」というお客様気分では、移住生活はうまくいきません。
私はこの5年間で何回も宮古島から帰りたくなりました。
宮古島の嫌なところをあげろと言われれば、いくらでもあげられます。
「楽園」での暮らしがうまくいかない理由
宮古島を楽園だと思って移住した人がうまくいかない理由はただ一つ。
宮古島の非日常の部分しか見ていないことです。
現代人は、日常生活で感じたストレスや不満を、非日常の体験で解消しようとします。
仕事のストレスを飲み会やカラオケで発散する。
こんな感じで、日常のストレスを非日常で解消した経験は、誰でもあるはずです。
でも、想像してみてください。
もし、毎日が飲み会だったら、どうでしょう。
どんなにお酒が好きな人でも「今日は飲みたくない」と思う日が出てくるでしょう。
非日常が日常になった時、今度はそこから不満やストレスが生まれます。
宮古島移住も同じです。
非日常の間は、いい面ばかりが見えていた宮古島。
海は美しく、人は温かく、のんびり時間が流れている。
これが日常になったらどうでしょう。
海は紫外線が強すぎる、人づきあいがめんどくさい、時間感覚がルーズでイライラする。
ストレスや不満が出てきます。
移住前は非日常だからこそ「楽園」に思えていた宮古島は、日常になると「楽園」ではなくなります。
宮古島が「楽園」だと思えるのは、非日常だからこそ。
この島で働き始め、島での暮らしが日常になると、この島は「楽園」ではなくなります。
長く暮らしていると宮古島の良くない部分が見えてきます。
宮古島を楽園だと思って移住した人は、どこかで軌道修正しないとうまくいきません。
「楽園でスローライフ」できる移住者
宮古島で長く移住生活を送っている人たちは、宮古島を「楽園」とは思っていません。
みんな、生きるために一生懸命働いています。
「南国の楽園でスローライフ」のハードルは高く、ごくごく一部の移住者しか実現できません。
私の知人の移住者を見回してもこのパターンは100人に1人ぐらいの超レアケースです。
働かなくていいほどお金がある
楽園暮らしが実現できるパターンその1。働かなくていいほどお金がある。
これは、説明するまでもないと思います。
働かなくていいほどお金があれば、自分が付き合いたい人とだけ付き合って、悠々自適に島暮らしを満喫できます。
私のような凡人からすると本当にうらやましい限りです。
島での暮らしが非日常から日常になったとしても、働かなくていいほどお金があれば、不満やストレスを感じることは少ないでしょう。
「お金が全てではない人生を」と考えて宮古島に移住した私にとっては皮肉な話ですが、「お金さえあれば宮古島で南国スローライフを実現できる」というのはあながち間違っていません。
お金は大事。宮古島に移住してから日々痛感するようになりました。
どこでも働けて稼げるフリーランス
楽園暮らしが実現できるパターンその2。どこでも働けて稼げるフリーランス。
パソコン一台あれば、世界中のどこでも仕事ができる。というタイプの人たちです。
私のような凡人からするとうらやましい限りです。
宮古島での暮らしが非日常から日常になった時、ストレスを感じる大きなポイントは、仕事と人間関係です。
どこでも働けて稼げるフリーランスなら、移住によって仕事を変える必要もありません。
島の人と関わらなくても仕事ができるので、ストレスは少ないです。
台風の時には停電やインターネット回線切断で少しはストレスを感じると思いますが、その程度。
私が知ってるこのタイプの移住者は1人。
特殊な業界の通訳スキルを活かして、宮古島でパソコン一台で稼いでいます。
年を重ねれば重ねるほど、手に職があることの強み。資格の強みを感じます。
宮古島に移住してからこのことに気がつくなんて、なんとも情けない私です。
エリート公務員の妻
楽園暮らしが実現できるパターンその3。エリート公務員の妻。
宮古島市役所の公務員は「エリート」というほどたくさん給料はもらっていませんが、転勤で宮古島に来る公務員の中にはいわゆる「エリート公務員」も多いです。
転勤なので期間限定ですが、エリート公務員の妻は、文字通り「南国の楽園でスローライフ」を満喫できます。
私のような凡人にはなんともうらやましい限りです。
宮古島では、地下ダム開発のための国の出先機関があり、国土交通省のエリートが働いています。
海上保安庁、陸上自衛隊、航空自衛隊でも転勤で配属された人たちが働いています。
税務署や税関にも転勤で来る人は多いです。
空港で管制業務をする人たちも、エリート転勤族です。
高給取りの転勤族の妻で専業主婦なら、仕事は夫にまかせて、自分は宮古島ライフを満喫するなんてこともできちゃいます。
期間限定なので、無駄なストレスを感じることもなく、島の良い面だけを感じて帰っていく人が多いです。
まとめ
移住者にとって宮古島での暮らしは決して楽ではありません。
実際に移住して働き始めると、非日常が日常になり、どうしても島の良くない部分も見えてきます。
移住者はどこかのタイミングで「楽園生活」からの軌道修正を迫られます。
宮古島が「楽園」ではないと気がついた時が、島に残るか、島を離れるかの分かれ道。
宮古島での暮らしが日常になった時、良いことも悪いことも全て含めてこの島を愛することができるか。
私は、何度も島から帰りたいと思いましたが「この島の日常も悪くない」と思えたことで、なんとか島暮らしを続けています。
移住前の私にはここまで考える余裕はありませんでした。
もしかすると、こんなことは、移住前には考えない方が良いのかもしれません。
「移住したい」と思ったときの気持ちと勢いを優先させることも、人生においては大事だと思います。
宮古島での暮らしが日常になった時にどう思うかなんて、実際に暮らしてみないとわかりません。
宮古島に移住するのか。今いる場所にとどまるのか。
人生の大きな決断に答えを出すのは、あなた自身です。