子連れ移住の落とし穴「田舎でのんびり子育て」が破たんする理由

「田舎でのんびり子育てがしたい」

都会での生活に疲れた私たち夫婦は、5年前、沖縄の離島、宮古島に移住しました。

「宮古島の豊かな自然環境の中で、のんびり子育てをしたい」と夢見ていた私たちの移住生活は、困難の連続。

移住者が縁もゆかりもない田舎で子育てをすることの大変さを痛感する毎日です。

子連れで地方移住を考えているそこのあなた、移住を決断するのはこの記事を読んでからでも遅くありません。「田舎でのんびり子育て」は破たんします。

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移住者の子育て事情

私たち夫婦は30代。宮古島で子育て中です。

田舎はのんびりしているイメージがありますが、実際に生活してみるとのんびりしているのは老人だけ。子育て世代は一生懸命働いています。

特殊な資格や技術を持っている場合は別ですが、地方に移住すると移住前に比べて収入は少なくなります。私の収入は移住前の3分の2になりました。私の給料だけでは子供を育てていけないので、妻も働いています。

縁もゆかりもない土地で、共働きで子育てをするのは大変。「のんびり」とはかけ離れた毎日です。

子供を起こし、ご飯を食べさせ、着替えさせ、保育園に子供を預け、職場へ。仕事が終わったら子供を迎えて帰宅。ご飯、掃除、洗濯、お風呂、寝かしつけ。毎日目が回るほど忙しいです。

宮古島の自然環境に憧れて移住しましたが、子供を生みにつれて行く余裕もないほど忙しいです。

移住前の私は「田舎には古き良き日本の風習があり、お互いに助け合って子育てをしている」と幻想を抱いていました。

たしかに、宮古島には地域全体で子育てをするような空気感があります。しかし、移住してきたばかりの移住者の子育てを助けてくれる人は誰もいません。

島の人たちは互いに助け合いながら子育てをしています。地元出身者は島にオジーもオバーも親戚もたくさんいるので。保育園の迎えをオバーに頼んだり、休日は子供をオジーの家に預けたりしています。

移住者は保育園の迎えを誰かに頼むことはできません。休日も預ける先がないので、ずっと子供は家にいます。

毎日が家と、保育園と、職場の往復で過ぎていきます。

仕事が楽なら気持ちにゆとりが生まれますが、宮古島だからといって決して仕事が楽なわけではありません。

特に、移住前と異なる業種の仕事をする場合は、覚えなくてはならないことが多いので大変。職場では新人扱い。雑用も任される立場です。

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田舎なら保育園に入れる?

田舎だからといって保育園にすんなり入れるわけではありません。田舎にも待機児童問題はあります。宮古島でも子供が保育園に入れずに困っている移住者がいます。

特に0歳児、1歳児は待機児童が多いです。会社員で共働き夫婦の子供は保育園に入りやすいですが、自営業や、妻がパートの場合などは、保育園入園の優先度が低くなります。

自営業の移住者にとって、子供が保育園に入れるかどうかは死活問題。親戚が島にいないので、保育園に入れなければ自分たちで子供を見るしかなく、仕事に支障が出ます。

役所は「フルタイムで働いているか」「兄弟が保育園に通っているか」などを得点化して機械的に保育園入園の優先順位を決めます。待機児童の親が役所に事情を説明しても、取り合ってもらえません。

子供が保育園に入れないので、仕方なく子守りをしながらカフェ営業をしている移住者もいます。

保育園無償化が始まれば、保育園入園の倍率はこれまで以上に高くなります。今は待機児童が出ていない田舎の自治体でも、待機児童問題が発生する可能性があります。

地方移住を決断する前に

「仕事がきつい」「人間関係に疲れた」「子育て環境が良くない」

都会の悪いところを探せばいくらでも探せます。しかし、それを理由に地方移住を決めるのは危険です。

子連れでの移住生活は想像以上に困難。移住者の中には孤独を感じる人も多くいます。

どうしても子連れで移住したいなら、何の縁もゆかりもない場所よりは、誰かしら頼れる人がいる場所を選ぶことをオススメします。

子連れで宮古島に移住してきた人たちは、みんな一生懸命働いています。表向きは充実した移住生活を送っているように見えても、その裏では子供を育てるため、お金を稼ぐために必死に働いています。

移住者の中には、島の人たちとしっかりと人間関係を築き、子育てのサポートを受けている人もいます。ただし、移住者が島の人たちに信頼してもらうのは簡単ではありません。

島の人たちは、基本的に移住者をよそ者と捉えています。宮古島の住民の9割以上は地元出身者。島の人たちは移住者と関わらなくても生きていけますが、移住者が長くこの島で暮らすなら、島の人たちとの関わりを持たなければなりません。

職場で一生懸命働いて信頼を得る。地域の行事に積極的に参加して信頼してもらう。移住者が島での人脈を広げるには、相当な努力が必要です。

時には理不尽なこともあります。それでも、島の人たちが守ってきたやり方を尊重し、島におじゃましているという謙虚な姿勢を持つことが、島の人たちの信頼を得ることにつながります。

でしゃばったり、何かを変えようと意気込むような人たちは、相手にしてもらえません。

何の縁もゆかりもない田舎で、子連れで移住生活をすることはとても困難です。一生懸命働きながら、地道に島での人脈を築く。その覚悟がなければ、移住生活は破たんします。

特殊な資格を持っている人、宝くじがあたった人でない限り「田舎でのんびり子育て」は無理です。のんびりできないことを承知の上で、それでもこの土地で子供を育てたいとほれ込んだのなら、歯を食いしばって生きる覚悟を持って移住することです。

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