家賃値上げ通知が来た~宮古島移住者のSOS~

賃貸空き物件不足に便乗して、家賃値上げが横行している宮古島。遅かれ早かれうちのアパートも値上げの通知が来るとは思っていましたが、先日、家賃値上げを通知する封書が郵便受けに届きました。

値上げ額は2000円。悪質な大家に比べると我が家はましなほうとも言えますが、年間24000円の増額は家計に大きな打撃。賃貸物件不足に便乗した家賃値上げにはどうしても納得できません。

給料が少ないのに家賃が高い宮古島。家賃値上げは子育て世代の移住者にとっては死活問題です。

家賃値上げの背景

宮古島では2017年頃から賃貸物件が不足しています。2019年現在、どの不動産屋にも相場を極端に上回る家賃の物件以外、賃貸空き物件が全くないという異常事態です。

宮古島はバブルと表現される好景気。リゾートホテルや大型公共施設、民間アパートなどの建設ラッシュで、島内は工事現場で溢れています。

島内だけの労働力では足りないので、建設会社は島外から働き手を確保し、アパートの部屋を借りて住み込みで働かせています。

ホテル業者や居酒屋経営者なども、アパートの部屋に従業員を住ませています。その結果、宮古島は賃貸空き物件がない異常事態となりました。

この状況に便乗し、2018年末頃から、家賃を値上げする大家が出始めました。空き物件がないので、大家は「値上げが嫌なら出て行け」と強気に出ています。

借主は住んでいる家を追い出されると、宮古島で住む場所がなくなってしまいます。

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突然の値上げ通知

家賃値上げの話を聞く機会は日に日に増えていました。「明日は我が身」と思う一方で「うちは大丈夫」という根拠のない自信もありました。

2年に1度の契約更新の時期も無事に過ぎようとしていたある日、何の前触れもなく郵便受けに家賃値上げを知らせる封書が入っていました。

差出人はアパートを管理する住宅情報センター株式会社。アパマンネットワークに加入している、宮古島最大の不動産会社です。賃貸人の欄には大家の名前も記されています。


「賃料改定についてのご通知」

時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。

さて、貴殿に対して賃貸しております下記建物につきまして、当初の契約から既に数年が経過致しました。この間、一度も賃料が増額されることなく今日に至っています。

しかしながら、近年公共料金、公租公課をはじめとする諸物価の上昇に伴い、人件費の高騰、リフォーム等の建物維持費等、諸経費が増加してまいりました。また、本年10月には消費税率の引き上げも予定されています。

その中で、本物件の賃料が、近傍同種の賃貸物件の賃料と比べて不相当となりつつ御座います。当社としましても、オーナー様と協議し極力値上げをしないよう今日まで維持管理にあたってまいりましたが、オーナー様の強い意向により、やむを得ず家賃改定ではなく、共益費を2000円請求させて頂くこととなりました。

つきましては西暦2019年7月分より賃料を近傍類似の賃貸物件の賃料及び共益費、本物件の多室の賃料を参考にしたうえ、下記の通り改訂したくお願い申し上げる次第であります。
よって本書を通知いたします。
事情をご賢察のうえ、何卒ご理解ご協力い頂きますようよろしくお願い申し上げます。

読み終えた率直な感想は「ついに来たか」といったところ。文書を読み返すとじわじわと不信感が募ってきました。

賃料改定の理由はツッコミどころ満載。文書での一方的な通知というのも納得できません。取り扱う賃貸物件が多い住宅情報センターなので、他の物件にも同じような定型文の文書を送っていることが容易に想像できます。

宮古島に5年住んでいる私の感覚と、文書に書かれていることにはかい離があります。

あまりにツッコミどころが多いので、赤ペン先生になったつもりで添削してみます。

貴殿に対して賃貸しております下記建物につきまして、当初の契約から既に数年が経過致しました。この間、一度も賃料が増額されることなく今日に至っています。

→まるで賃料増額を前提にしているような書き方。「この間一度も賃料が増額されることなく今日に至っています」って、それは当たり前のこと。賃貸物件の価値は築年数と共に下がっていくのだから「この間一度も賃料が減額されることなく」ならわかりますが、「この間一度も賃料が増額されることなく」って、借りている人の気持ちを逆なでするような」書き方。

しかしながら、近年公共料金、公租公課をはじめとする諸物価の上昇に伴い、人件費の高騰、リフォーム等の建物維持費等、諸経費が増加してまいりました。

→宮古島の物価は元々高い。ここ数年「宮古島バブル」と言われているが、物価が上がっているわけではない。タクシーは初乗り460円。都会に比べれば激安。

人件費は高騰しているが、それと家賃値上げに何の関係があるのか。大家は住宅情報センターに管理を任せている。大家が物件を管理する上で、人件費は全く関係ない。家賃値上げの理由とは結びつかない。

リフォーム等の建物維持費とあるが、この5年間リフォームは何もしていない。部屋の畳の張り替えも、水道の不具合の修理代も借主の負担。建物維持費が増加しているなら具体的に何が増額したのか示してほしい。

また、本年10月には消費税率の引き上げも予定されています。

消費税率引き上げを家賃値上げの根拠にするなら、全国のアパートの家賃が2019年10月値上げされることになる。消費税率引き上げを家賃値上げの理由にはならない。

その中で、本物件の賃料が、近傍同種の賃貸物件の賃料と比べて不相当となりつつ御座います。

→我が家は3DKで家賃6万円。近傍同種の賃貸物件の賃料と比べると、同じかやや高いぐらい。「便乗値上げ」の本音が透けて見える。

当社としましても、オーナー様と協議し極力値上げをしないよう今日まで維持管理にあたってまいりましたが、オーナー様の強い意向により、やむを得ず家賃改定ではなく、共益費を2000円請求させて頂くこととなりました。

→住宅情報センターが大家を悪者にするような書き方もいかがなものかと思う。「値上げをしないよう今日まで維持管理にあたってまいりました」とあるが、うちのアパートの廊下や階段はいつも汚い。扱う物件が多すぎて、住宅情報センターの管理が追い付いていない。

つきましては西暦2019年7月分より賃料を近傍類似の賃貸物件の賃料及び共益費、本物件の多室の賃料を参考にしたうえ、下記の通り改訂したくお願い申し上げる次第であります。

→私がこの部屋を借りた5年前は家賃6万円だった。「本物件の多室の賃料を参考に」ということは、6万円以上の家賃を支払って同じアパートに住んでいる人がいるということ。借主が変わるタイミングで、家賃を値上げしたのだろう。

「共益費」は全ての住民が同額を支払うのが公平なので、家賃を6万円以上支払っている人も同じタイミングで共益費2000円を支払うことになる。「本物件多室の賃料を参考に」するなら値上げするのは家賃であって、共益費ではないはず。

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大家は何も知らない

私が住んでいるアパートの大家は那覇在住。宮古島バブルを伝える新聞報道や他のアパートが次々に値上げに踏み切る状況を見て、家賃値上げを判断したと思われます。

新聞報道だけを見ていると宮古島はバブルで好景気に見えますが、島民の生活は厳しくなるばかりです。

バブルだからと言って、給料が上がったという話は全く聞きません。アルバイトの時給は上がっていますが、正社員、契約社員の給料は同じままです。

宮古島の給与水準は全国平均に比べるとかなり低いです。私は30代の正社員で基本給は10万円代。宮古島には月収13万円で働いている人も普通にいます。

バブルの弊害でどの職場も人手不足が加速。人がいないので1人あたりの仕事の負担は増えるばかり。

給料は少ないまま、仕事はきつくなる、家賃があがる。宮古島の住民はこの三重に苦しめられています。

バブルで恩恵を受けている企業の大半は、宮古島から見れば「外資企業」にあたる島外企業。バブルで人が増え、交通量が増え、どんどん住みにくくなっていく宮古島。島民の中には「早くバブル崩壊してほしい」と考えている人も多くいます。

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10年後の宮古島

伊良部大橋開通、下地島空港開業、クルーズ船寄港急増。傍から見れば飛ぶ鳥を落とす勢いの宮古島経済。5年前に年間40万人台だった観光客数は2018年に100万人を突破。今後、下地島空港のLCC就航や国際線就航、クルーズ船受け入れ施設の拡充で、観光客はさらに増えることが見込まれています。

建設ラッシュで島内の風景はこの5年間で激変。5年後、10年後の宮古島の景色がどうなっているのかは、住んでいる私たちにも全く想像できません。

伊良部大橋開通からの3年間で急速に膨れ上がった宮古島バブル。急速に拡大した分、しぼみ始めて一度バブルが崩壊すると、歯止めがかからなくなる危険もあります。

宮古島では2019年3月に下地島空港新ターミナル建設と、陸上自衛隊基地建設の2つの大型工事が終わりました。

工事が終われば、工事のために島に来ていた労働者は帰っていきます。宮古島では需要増加を見込んで、単身世帯向けのアパートが次々に建設されていますが、いつまでも需要が供給を上回るとは考えられません。

大家が強気に家賃を値上げできる時代はやがて終わります。バブルが崩壊した時に生き残るのはどの物件か。住民に寄り添うことなく私腹を肥やそうとする大家の傲慢な姿勢は、数年後、自らの首を絞めることになりかねません。

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宮古島移住に失敗しないために~移住5年の今だから話せる島暮らしの現実~
私たち夫婦が宮古島に移住したのは5年前。当時は宮古島に対する全国的な関心度は今ほど高くなく、移住希望者もそれほどいませんでした。 それから5年。当時年間30万人台だった観光客は年間100万人を超え、移住者も増えつつあります。 南...