このページを読んでくださってる皆さんの多くは、20代~40代の働き盛り世代だと思います。
宮古島への移住を考えている時、頭の中にあるのは、憧れの南国、宮古島での生活。
「宮古島に住みたい」「どうすれば宮古島で生きていけるか」「宮古島での仕事はどうするか」私もそんなことばかり考えていました。
宮古島に移住して5年。今になってみると、移住前に考えるべき一番大切なことは、親のことだったと反省。
夫婦で移住、子連れで移住、単身で移住。様々なケースがありますが、宮古島での生活が長い移住者は、それぞれに親のことを考えています。
移住した数年後に、親も宮古島に引っ越してきたという人もいれば、親の介護が理由で島を離れる人もいます。
親にもしものことがあったら
5年前に夫婦で宮古島に移住した私たち。当時私たちは20代。親は50代。親も元気に働いていました。
移住から5年。私たち夫婦は30代。親は60代。
親はまだまだ元気ですが、宮古島生活が長くなるにつれ「親にもしものことがあったら」と少しずつ想像し始めました。
親の介護が必要になっても、宮古島での生活を続けるのか、地元に帰るのか。
正直に言うと、私たち夫婦の答えは出ていません。
地元に帰るとしたら、仕事はどうするのか。宮古島でも会社員として働いているとはいえ、20代で宮古島に移住した私たちに、転職先は見つかるだろうか。
私たちは「その時になってみないとわからない」というスタンスで移住生活を続けていますが、10年後、20年後を考えれば、避けては通れない道です。
移住生活が長くなるにつれ、親の老後の心配は増していきます。
宮古島への移住を考えている人に1つだけアドバイスができるとすれば「親のことを考えておいた方がいい」と伝えます。
移住者の先輩の事例
宮古島で長く生活している移住者の先輩たちは、この問題どのように向き合っているのか。私の周りの移住者の事例を紹介します。
40代男性Aさん
宮古島出身の女性と結婚し、結婚を機に宮古島に移住。
両親は地元に残して宮古島に移住したが、Aさんが移住した数年後、両親も宮古島に引っ越し、同じアパートの別の部屋で暮らす。
Aさん夫婦には宮古島で子どもも生まれ、親子三世代、宮古島での暮らしを楽しむ。
40代男性Bさん
夫婦で宮古島に移住。宮古島で子育て中。
親が余命一年と宣告されるも、仕事と育児で帰ることができず、宮古島に残る。
親の最期を看取ることはできたが、最期の一年を共に過ごす時間は短かった。
40代女性Cさん
大好きな宮古島に移住したものの、実家に1人で暮らす母が気になる。
1人っ子なので、もしもの時に助けられるのは自分しかいない。
このまま宮古島に残っていいのか、地元に帰るべきか、悩んでいる。
家族を大切にする宮古島の人たち
宮古島の人たちは、家族をとても大事にします。
長男は30代になったら島に帰るのがあたりまえ。若いうちから、将来は宮古島で親の老後の面倒をみると心に決めている人が多いです。
家族を大切にする宮古島の人たちと接していると、親元を離れて自由に移住生活をしている自分たちが恥ずかしくなる時があります。
私たちの親のことを心配し「いつかは地元に帰った方がいい」と言われることも少なくありません。
宮古島の家庭には、あたりまえのようにおじいおばあいがいて、孫がいます。宮古島で「家族」というときは「親子」ではなくおじいおばあも含めた「親子三世代」を意味することが多いです。
「仕事だけではない人生を」「家族との時間を大切にしたい」と考えて移住した私たちですが、「家族を大切にするなら自分の親の近くにいた方がいいんじゃないか」とも考えるようになりました。
宮古島で親を介護する
親が「生まれた家を終の棲家にする」と心に決めている場合は困難ですが、場合によっては宮古島で親を介護するという方法もあります。
宮古島は人口5万4000人の小さな島ですが、介護施設は充実しています。利用者が多いのは「シルバーケア悠悠」「栄寿園」「グループホームいけむら」など。小さな介護施設も含めれば、宮古島だけで10ヶ所以上介護施設があります。
宮古島のおじいおばあも、高齢になって介護が必要になれば、施設に入るケースが多いです。
宮古島で親を介護している移住者もいますが、介護施設の面では全く心配はいりません。
介護予防の取り組みも進んでいます。
宮古島市が市内25か所に介護予防を目的とした「通いの場」を開設しています。「通いの場」には介護認定を受けていない高齢者が集まり、編み物や体操、ゲートボールなどを楽しんでいます。参加者の中には移住者もいます。
海外移住なら、介護施設に入ることも、地域の人たちと交流することも難しいですが、宮古島移住ならなんとかなるかもしれないとも考えられます。
宮古島移住を考えているあなたへ
宮古島移住5年の今になって思うのは「移住前に親のことをもっと考えておけばよかった」ということ。
宮古島移住前の私は「どうやって親に宮古島移住を理解させようか」とばかり考え、親の老後について深く考えることはありませんでした。
一度きりの人生を自分自身の思いのままに自由に生きることは、とてもすばらしいことです。
ただ、それと同じかそれ以上に大切なのは、親にもしものことがあった時のことをしっかり考えておくことです。
考えすぎて動けなくなるのは避けるべきですし「もしもの時に考える」というのも1つの選択肢ですが、10年後、20年後に後悔しないために、移住前に一度は「親の老後」について考えておいた方が良いと思います。