「エコアイランド」「スポーツアイランド」「ミュージックアイランド」など、宮古島は「○○アイランド」と呼ばれることが多いです。
「○○アイランド」が多すぎるので、結局のところ宮古島は何アイランドなのか、私なりに考えてみました。
よく使われる「○○アイランド」
まずは、イベントや観光冊子でよく使われる「○○アイランド」を、島の実態と合わせて紹介します。
エコアイランド宮古島
宮古島市はエコアイランド宮古島宣言をして、エコの取り組みを進めています。市役所には「エコアイランド推進課」という課があるほどです。
離島ならではのエコのモデルを確立しようと、国や県の補助金を活用して様々な事業を行っていますが、はっきりいって、うまくいっていない印象です。
一番の失敗例がバイオエタノール実証事業
原子力や石油、石炭ではなく、宮古島のサトウキビからバイオエタノールという燃料を作る実証事業。2010年に島内にバイオエタノール製造施設が作られ、事業がすすめられてきました。
宮古島のサトウキビからバイオエタノールを作り、ガソリンとバイオエタノールを混ぜたE3燃料を生産。E3燃料は島内のガソリンスタンドで供給されました。
値段はレギュラーガソリンと同額。E3燃料は島内の一ヶ所のガソリンスタンドで販売されましたが、E3ガソリンを入れる島民はほとんどいませんでした。
そもそもE3燃料は普通のガソリンにバイオエタノールを3%混ぜたもの。97%は普通のガソリンです。宮古島のガソリンが全てE3燃料になったとしても、たいしてエコではないです。
2016年の夏からE3ガソリンの供給はストップ。バイオエタノール製造施設は完成からわずか6年で稼働停止。現在は使われていません。
今となっては、何のためにこの施設作ったの?という感じ。
「エコアイランド」という響きはすばらしいですが、宮古島に暮らしていて「エコアイランド」を感じることは全くありません。
スポーツアイランド 宮古島
全日本トライアスロン宮古島大会。エコアイランド宮古島マラソン。宮古島100キロワイドーマラソン。宮古島はスポーツイベントが多い島。美しい景色のなかで開催されるスポーツイベントを目当てに島外からも多くの人が参加します。
全日本トライアスロン宮古島大会は、ロングディスタンスのトライアスロン大会としては日本一有名な大会。海外からも多くの招待選手が参加します。
朝7時から夜8時半まで行われる鉄人レース。距離は202.195キロ。宮古島が一年で一番盛り上がる日。人口54,000人に対し、ボランティア総数はなんと5000人。交通整理、エイドステーション、食糧準備、通訳。多くの島民の支えで大会は成り立っています。
この日の宮古島は島のどこに行ってもトライアスロン一色。「スポーツアイランド」というか「トライアスロンアイランド」です。
冬が温暖なので1月~3月はスポーツキャンプが盛んです。以前はプロ野球のオリックスが毎年宮古島でキャンプをしていました。イチローも清原も仰木彬監督も、毎年宮古島に来ていました。
オリックスのキャンプはなくなりましたが、社会人野球や大学野球部のキャンプ地としては人気。最近は社会人陸上や大学陸上部のキャンプも増えてきています。
エコ・スポーツ・ミュージックの中だと、スポーツアイランドが一番しっくりきますが「スポーツアイランド」感があるのはイベント開催日やスポーツキャンプの時期に限られます。
普通に生活していても、スポーツアイランドを感じることはほとんどありません。むしろ、運動不足でお酒ばっかり飲んでる島の人が多いです。
ミュージックアイランド宮古島
音楽イベントも多彩です。
代表的なのは宮古島ロックフェスティバル。毎年6月頃に開催されます。MONGOL800、かりゆし58、ORANGERANGEなど沖縄のアーティストはもちろん、DragonAsh、ケツメイシ、東京スカパラダイスオーケストラなど、メジャーバンドがやってきます。
南国宮古島の夏の太陽のもと行われる野外ライブ。沖縄のオリオンビールで乾杯しながら海をバックに響く音は、格別です。
ロックフェスは1日のみの開催。観客数は多い年は7000人。ロックフェス前後はホテルが全くとれません。経済効果は4億円とも試算されています。
宮古島ミュージックコンベンションも人気のイベント。宮古島に移住したミュージシャンの江川ゲンタさんが立ち上げたイベントで10年以上続いています。
江川ゲンタさんの縁で多くのアーティストが宮古島に集まります。毎年山崎まさよしさんが来ることでも話題。メジャーアーティストは少ないですが、出演者は30組にも及びます。ロックフェスみたいにぎゅうぎゅうづめにならないので、のんびり宮古島の海と音楽を楽しみたいという人たちに人気のイベントです。
ロックフェスもミュージックコンベンションも、チケットは6000円前後。アーティストの顔ぶれを考えると決して高くはありません。地元に住んでしまえば交通費はかからないので、毎年のように楽しんでいる移住者も多いです。
ただ、島の人たちはイベントに6000円払うという感覚がないので、行く人はほとんどいません。
音楽イベントは、島の海沿いの一部のエリアで開催されるので、イベント開催日も島が音楽一色という雰囲気にはなりません。「ミュージックアイランド」と言われても、島の人たちはピンときません。
移住5年の私が感じた「○○アイランド」
「エコアイランド」「スポーツアイランド」「ミュージックアイランド」がピンとこないので、移住5年の私なりに宮古島が何アイランドなのか考えてみました。
思いついたものをずらずら書きました。ずらずら書いている中で「これだ!」とピンと来たものが3つあるので、最後に私なりの○○アイランド宮古島トップ3を発表します。
ゴミアイランド宮古島
エコアイランドの真逆ですみません。不法投棄ゴミはとても多い。町中にもゴミが多い。ビーチにバーベキューや花火の放置ゴミが多い。島の東側の海岸は冬は漂着ゴミだらけ。
宮古島は「エコアイランド」か「ゴミアイランド」かどっち?と聞かれたら、申し訳ないですが私は「ゴミアイランド」と答えます。
お尻に火がつかないとアイランド宮古島
宮古島の人たちは、お尻に火がつかないと動きません。いい意味で言えばのんびりしていますが「誰かが助けてくれる」「なんとかなる」という考え方がベースなので、自分から先読みして動こうとする人はいません。
同じ職場で、移住者は仕事が山積みなのに、宮古島出身者はのほほんとしているというケースは本当に多いです。
「お尻に火がつかないとアイランド」どころか「お尻に火がついて燃え広がってるよアイランド」と言いたいぐらいです。
中国人アイランド宮古島
中国人観光客、急増中です。クルーズ船で中国から大量の中国人が入ってきます。船が入る日は、ビーチもスーパーも中国人でいっぱい。中国人特有の大きな声が宮古島の静かなビーチにこだまします。残念なことに、中国人も「ゴミアイランド宮古島」に貢献してしまっています。
過保護アイランド宮古島
学校まで車で送っていく親がとても多いです。歩いて5分でも車で送っていきます。紫外線が強い、スコールがある、職場も学校も家も近所、など、島特有の条件から送り迎えをする親が多いのでしょう。小学生も、中学生も、高校生も送り迎えします。移住者の私から見ると、どうしても過保護に感じてしまいます。
公共工事アイランド宮古島
田舎はどこもそうかもしれませんが、とにかく公共工事が多い。宮古島市の予算のうち、公共工事の配分が多すぎます。建設業が儲かれば島が潤うという、田舎特有の考え方が定着しています。人口5万4000人の小さな離島ですが、道路のアスファルト舗装率はとても高いです。まだまだ使える市役所の庁舎建て替えも計画されています。
ドームを作り、市役所を立て替え、図書館と公民館を立て替え、博物館も立て替える。もう少し別のことに税金を使ってもいいと思うのですが・・・
選挙違反アイランド宮古島
「昔の伊良部島は一票10万円だった」というのは島では有名な話です。田舎に行けばいくほど、選挙は生活に直結します。宮古島の選挙の盛り上がりは異様です。
平成7年には、伊良部島で町議会議員27人が選挙違反で逮捕されました。平成27年には多良間島で選挙違反の逮捕者が出ています。
宮古島のでも選挙のたびに贈賄、収賄の噂は絶えません。
市長選挙では、どの陣営も街中のいたるところに候補者名の書かれたのぼり旗を設置します。公道に勝手に選挙の旗を立てたらアウト。どの陣営も選挙違反ですが、黙認されています。
「○○アイランド」トップ3
いよいよ、私なりの「○○アイランド宮古島」トップ3の発表です。移住5年の私の目線で考えた独断と偏見に満ちたトップ3です。ご容赦ください。
3位 子育てアイランド宮古島
宮古島は本当に子育てしやすい場所です。子供が主役という共通認識が島全体に広がっています。小さな子供を連れて歩いていると、島の人たちは必ず声をかけたり笑いかけたりしてくれます。
町がコンパクトで渋滞もない。家、職場、保育園、学校が全て近いので、子育のストレスは少なく、安心して暮らせます。
広くてきれいな公園も多いです。公園は島民みんなのもの。公園デビューなんて概念はありません。公園では初対面の子供たちも一緒に遊びます。「島の子供はみんなの子供」「公園で出会った子供はお友達」という感覚は、都会にはないすばらしいものです。
2位 酒アイランド宮古島
移住前に私が考えていた以上に、宮古島の人たちのお酒との結びつきはとても強いです。
酒の席では、酒を回し飲みする「オトーリ」が永遠に続きます。氷が入ったピッチャーに、泡盛と水をドボドボいれて「酒」を作り、回し飲みします。ピッチャーで回し飲みって「海賊かよ!?」と最初は思いました。
島の人たちは記憶をなくすほどよく飲みます。飲み過ぎて家にたどり着くまでに眠ってしまう「路上寝」も多いです。
私も何度も記憶をなくしました。財布をなくしたことも、カバンをなくしたこともあります。「これが島のルール」と思い聞かせて頑張ってきました。
オトーリの間に水を大量に飲む。オトーリが回るまでは、スローペースでビールを飲む。など、やっと自分なりのオトーリ対処法を身につけてきました。
島の男性たちは、心は優しいので、体調が悪い時や、お酒が弱い人に酒を強要することはありません。ただ、宮古島で人脈を広げて島の人たちとうまく付き合っていくためには、ある程度はお酒の付き合いは大切だと感じます。
1位 お祝いアイランド宮古島
移住5年の私が、都会にはない、沖縄本島にもない、他の離島にもない、これぞ宮古島!と感じた「○○アイランド」1位は「お祝いアイランド宮古島」です。
祝い事が盛んな沖縄の中でも、宮古島の祝い事は、数の多さ、内容の濃さが群を抜いています。
子供の誕生祝い。小学校入学祝い。高校合格祝い。成人祝い。結婚式。古希祝い。米寿祝い。100歳祝い。
生まれてから死ぬまで、宮古島では何度も自分が主役のお祝いがあります。
特に、誕生祝い、入学祝い、合格祝いなど、子供にまつわる祝い事の日には、親戚や友人、知人、仕事関係の人が家にどっと押し寄せます。
両親とも宮古島出身の場合、子供の誕生祝いには、200人ぐらいがお祝いに来ます。お祝いの会場は自宅。200人がかわるがわる家にやってきては、お祝いの言葉をかけ、酒を飲み、酒を飲み、酒を飲みます。
オードブル、寿司、汁物、刺身、紙皿、紙コップ、ビール、チューハイ、泡盛、オトーリ用のピッチャー、オトーリグラス、ノンアルコールビール、お茶、ジュース、クーラーボックス、氷、お返しの商品券、お菓子。これを200人分用意します。
結婚式も大規模。招待客300人はあたりまえ。新郎新婦が座る高砂の反対側にステージがあり、余興が次々披露されます。結婚式のプログラムは20番ぐらいまであって、ほとんどが余興です。
小学校入学式・高校の合格発表・成人式の夜は、島のいたるところで結婚式が行われます。移住者の私でさえ、多い時には高校合格祝いで8軒まわりました。
宮古島出身者で同級生が子育て世代だと「きょう何軒?」「15軒だよ」なんて会話もよくあります。
たくさん回った分、自分の子供のお祝いの時には、たくさんの人が駆けつけてくれます。
祝い事が多いのは、すばらしいことです。仕事よりも何よりも家族を大切にする宮古島の人たち。その思いが凝縮されたのが、島の祝い事です。
節目ごとにたくさんの大人たちにお祝いの言葉をかけてもらえる島の子供たちは、まっすぐに育ちます。
古希祝いや米寿祝いなどで、お祝いの席を設けてオジーオバーにねぎらいの言葉をかけるのもすばらしい風習です。
子供とお年寄りを大切にする。これぞ宮古島の真骨頂!
私が考える宮古島の「○○アイランド」第1位は、文句なしで「お祝いアイランド宮古島」です。