宮古島に移住して5年。せっかく南国宮古島に移住したのだから、いずれは一軒家でのんびり暮らしたいと考えていました。
私たちは30代の子育て世代。同世代で宮古島に家を新築している人もいますが、建築価格はあまりに高く、私たちには全く手が出ません。
新築住宅の坪単価は100万円を突破。30坪(100平方メートル)の平屋を建てるにも3000万円かかります。
宮古島の住宅建築価格高騰の理由と、不動産関係者から聞いた将来的な見通しをまとめました。
昔は坪単価30万円だった
宮古島の住宅のほとんどは、台風に強い鉄筋コンクリート造り。鉄筋コンクリートは木造よりも高いです。鉄筋コンクリートで家を新築した場合、同じサイズの木造住宅の2倍はかかるといわれています。
30年ほど前の宮古島では、坪単価30~40万円で鉄筋コンクリート造りの家が建てられたといいます。当時建てられた住宅の多くは2階建てでサイズも大きいです。
坪単価が100万円を突破した今、2階建ての住宅を新築している人はほとんどいません。新築される家の大半は平屋建て。宮古島でもトップクラスのお金持ちでなければ2階建ての新築住宅なんて手が出ません。
宮古島の新築住宅の坪単価の上げ幅は異常です。2016年に家を建てた知人は坪単価が80万円だと頭を悩ませていました。2018年には100万円を突破し、2020年には150万円とも言われました。
バブルは2020年をピークに縮小していますが、2021年も130万円ぐらいで高止まりしています。
給与水準が全国平均に比べてかなり低い宮古島。自分の給料と建築価格を見比べると、目がくらみます。
坪単価が高い理由
坪単価が高い理由は、人手不足と建築資材不足。全国的に東京オリンピックが終わるまでは建築業の人手不足、建築資材不足が続くといわれていますが、宮古島はさらに深刻です。
宮古島では、下地島空港の新しい旅客ターミナル、陸上自衛隊の新しい基地、クルーズ船専用岸壁の整備など、大型公共工事が同時並行的に行われています。好景気の波に乗って、大型リゾートホテルや新築アパートも建設ラッシュです。
宮古島の建設業は慢性的に人手不足。ここ数年は人手不足にさらに拍車がかかっています。島内の労働者だけでは全くまかなえないので、島外、県外からも多くの労働者が入り、建設作業を行っています。大規模公共工事の工事現場に出入りする作業者の中には、県外ナンバーの車も多いです。
人口5万4000人の小さな島でこれだけの大規模工事が同時並行で行われているのですから、建設資材も人手も足りなくなり、建築価格が高騰するのは当然です。
工事は必ず遅れる
建設業者は多くの現場をかけもちしています。離島の宮古島では、クレーンの数もミキサー車の数も限られています。1日に製造できる生コンクリートの量にも限界があります。建設業者に言わせれば、大型工事が忙しすぎて、一般住宅にまで手が回らないというのが本音です。
宮古島の建築工事は必ずと言っていいほど遅れます。土地を買い、設計を済ませ、住宅を建てるというあたりまえのことが全くスムーズに進みません。設計業者も大忙しなので、設計だけでもかなり時間がかかります。設計完了後、着工までに時間がかかる場合も多いです。着工してからは当然のように工事が遅れ、完成は当初の予定よりかなり先延ばしになります。
宮古島の場合、資材不足、人手不足に加え、台風が接近する前後には全く工事が進みません。一般住宅はもちろん、リゾートホテルやもアパートも建築工事は遅れます。工事の遅れを理由にホテルの開業が延期になるのも宮古島ではよくある話です。
唯一の例外は、防衛省が建設している陸上自衛隊の基地。あっという間に工事は完成しそうです。これだけ資材不足、人材不足だと言われている中で、800人規模の隊員が駐屯する基地の隊舎や宿舎が1年で整備されるのですから驚くばかりです。
木造ではダメなのか
鉄筋コンクリートの坪単価が高いなら木造にしよう。私もはじめはそう考えましたが、木造住宅の新築にはなかなか踏み出せません。
最近では暴風に強いことを売りにした木造住宅も販売されていますが、台風で何度も大きな被害を受けてきた宮古島の人たちは木造住宅には懐疑的。現状、新築される住宅の大半は鉄筋コンクリート造りです。
木造住宅に住んでいるのは50人に1人ぐらいの割合です。最近木造住宅を新築して住んでいる知人は、木造でも全く問題ないと言っていましたが、内地で経験したことのないような台風の暴風を毎年経験していると、やはり木造は恐いです。
移住者の私たちの立場だと、もし島から出て行かなくてはならなくなった時、鉄筋コンクリートの住宅だと売れますが、木造だと売れないかもしれないというリスクもあります。
中古住宅は買えないの?
宮古島では新築住宅の価格があまりに高いので、新築をあきらめている人や、先延ばしにしている人が多いです。
私たちは中古物件の購入を検討していますが、同じ考えの人が多く、良い物件はすぐに誰かに購入されてしまいます。
不動産屋が取り扱う中古物件は争奪戦状態。不動産屋のホームページに新しい中古住宅が掲載されたと思ったら、1ヶ月後には消えていたなんてこともざらです。
私たちはこれまでに中古物件を2軒内覧しましたが、私たちが内覧してから1週間以内には不動産屋のホームページから物件情報が消えていました。
家を購入するのは人生に一度の一大決心。簡単に決断することはできませんが、迷っている間に良質な物件はすぐになくなります。
中古物件もなければ、賃貸空き物件もありません。移住者の私たちは、今住んでいるアパートを追い出されたら、宮古島で住む場所はありません。今のアパートにしがみつくしかありません。
※バブルは2020年以降縮小していますが、家賃は高止まりしています。
まとめ
宮古島では新築住宅の坪単価が急上昇しています。坪単価は100万円を突破し110万円とも言われています。
今後、坪単価が下がる見込みは全くありません。島内では大型公共工事や大型リゾートホテル、アパート建設が相次いでいます。少なくともあと3年はこの好景気が続くという見方が大半で、建築価格が下がることは期待できません。
せっかく南国宮古島に移住したのだから、一軒家で庭にハイビスカスの花でも植えてのんびり暮らしたいと思っていましたが、そんな生活は夢のまた夢です。