沖縄の離島、宮古島に移住し子育て中のshimagurashiです。
宮古島はとにかく子供が多い島。1人っこはほとんどいません。3人兄弟は当たり前、6人兄弟、7人兄弟もいます。
宮古島には「子供は3人以上」「子供が多い方が子育ては楽」という考え方があります。
移住者の私にはなじみのない考えですが、宮古島で子育てをしてみるとその正しさを実感します。
子供が主役の島
沖縄は子供が多いです。1人の女性が一生の間に産む子供の数「合計特殊出生率」が全国で唯一2倍を超えているのが沖縄。
実際に暮らしてみると、子育てのしやすさを実感します。
子育てに必要な施設など、ハード面も充実していますが、ソフト面の充実が際立ちます。子育てへの周囲の理解があるのはとてもありがたいことです。
宮古島には島全体に「子供が主役」という空気感があります。島の人たちはとにかく子供にやさしいです。
見知らぬオジーオバーも子供にはニコニコと優しく微笑みかけてくれます。お菓子をくれたり飴をくれたり。お正月に外を出歩いていると、初対面の人がお年玉をくれたりします。
子育てのしやすさは兄弟の数に表れています。島の子供たちの大半は2人兄弟、3人兄弟、4人兄弟。一人っ子はほとんどいません。移住者の子供も2人兄弟や3人兄弟が多いです。
子育てで頼れる人
宮古島は人口5万4000人の小さな島。島に住んでいる人たちは全員が遠い親戚のような関係です。
子育てで頼れる人はとても多いです。都会の子育てだと、親以外が保育園の迎えに行くのは難しいですが、宮古島ではオジーオバー、おじさん、おばさんなど、親戚が普通に迎えに来ています。
保育園が休みの土日が仕事の場合、親戚に子供を預けて働いている親はとても多いです。
宮古島の中でも田舎の集落ではご近所さんが親戚のように助け合って子供を育ててきた歴史があります。
大人が働きに出ている間、小学生・中学生が小さい子の面倒をみることがよくあったようです。子守りをする子供は「守姉(もりねえ)」と呼ばれています。
親が畑に働きに出ている間、守姉が小さい子にミルクをあげたりオムツを替えたりして世話をします。血はつながっていませんが、家族同然の関係です。
面倒見のいい子
今では守姉は見かけなくなりましたが、宮古島では今でも上の子が下の子の面倒を見るという考え方が定着しています。
兄弟や従姉妹が多い島の子供たちは、小さな子の扱いがとても上手です。
幼少時代に自分も親戚や近所のお兄さん、お姉さんに優しく接してもらっているので、下の子が出来たとき、自然に手を貸してあげたり、順番を譲ってあげたりできます。
2歳差ぐらいだときついですが、5歳も年が離れていれば、女の子は小さなお母さん。下の子の世話を率先してやってくれます。
都会では「子供が多いほど大変」という考えが定着していますが、宮古島で暮らしていると「子供が多いほど楽」という考えも理解できます。
3人以上子供がいる家庭を見ていると、上の子はとても上手に下の子の面倒を見ています。4人、5人と増えれば、さらに楽になることも理解できます。
仕事より子育て
宮古島では仕事で成果を出すことよりも、子供を立派に育てることの方が重要視されているように感じます。
私が仕事を頑張っても誰も何も言ってくれませんが、我が家に子供が生まれると、どこから噂を聞いたのかそれほど親しくない人も、おめでとうと声をかけてくれます。
大げさに言えば「子供ができたら一人前」。
年配の人たちは「あんたは子供を3人産んで偉いね」と子だくさんの母親を褒めます。
地元企業だと職場の子育てへの理解もあるので、子供が発熱した時に仕事を抜けるハードルもとても低いです。
「忙しい時に抜けるのか?」と嫌味を言われることはありません。「お熱で大変だから早く行ってあげて」と心配してくれます。
仕事を抜けて子供の運動会やおゆうぎ会を見に来る親も多いです。
子供の成長を祝う
宮古島には子供の成長の祝い事がたくさんあります。
子供の命名祝い。小学校入学祝。高校合格祝い。成人式。宮古島で生まれた子供には成人するまでに4回のお祝いがあります。
家族や親戚だけでお祝いするわけではありません。お祝いには親の職場の同僚や、学生時代の同級生がたくさん訪れます。多い所だと子供の命名祝いに200人ぐらい人が来ます。
お祝いは自宅で行われます。自宅にかわるがわる人がやってきてはご祝儀を渡して座り、料理を食べ、お酒を飲みます。
お祝いのメリットは子供の顔と名前を覚えてもらえること。
お祝いに来ることで、職場の人たちも親戚の子のように子供に接してくれるようになります。
都会だと職場の同僚に何人子供がいるかは知っていても名前や顔は知らないという場合も多いもの。宮古島だと子供の数はもちろん、顔も名前も知ってもらえます。
お祝いの輪が広がると「地域全体で子供を育てる」という空気感が生まれます。
多くの人に子供の顔と名前を知ってもらうことは、島で子育てをする上での安心感にもつながります。
経済面の不安
子供がたくさん欲しくても諦める理由の1つにお金の不安があります。
「子供は3人以上が楽」という考えのある宮古島ですが、経済的な理由から3人目を諦める人も中にはいます。
ただ、島で暮らしていて感じるのは、子供が3人になったからといって3倍お金がかかるわけではないということ。2人目、3人目は1人目のお下がりを使えるし、食費が3倍になることもありません。
少子高齢化が進む日本では、保育園無償化など、子育て世代への支援が拡大しています。一昔前に比べれば子育てにかかるお金はかなり少なくなっています。
経済的なことを全く考えずに次々に子供を産むのは問題ですが、子供の多いこの島に暮らしていると、3人ぐらいならなんとかなりそうな気がしてきます。
まとめ
「子供は3人以上が楽」だなんて、移住前の私には信じられない考え方でした。
移住者の私たちは、島の人たちのように親戚に頼って子育てをすることはできません。それでも、子育て世帯をみんなで応援するというこの島の空気感は大きな追い風になっています。
「子供が主役」「島の子はみんなの子」「地域全体で子供を育てる」
宮古島の考え方から都会が学ぶべきことはたくさんあると感じます。