地方での移住生活には都会では感じられないメリットがあります。自然が豊かで、人ゴミや渋滞はありません。都会での暮らしに比べるとストレスは圧倒的に少ないです。
地方での移住生活が長くなると、メリットだけでなくデメリットも見えてきます。給料が安い、物価が高い、仕事がきつい。地方移住の現実は移住前に想定していたほど甘くはありません。
沖縄の離島、宮古島に移住して5年。地方移住のメリットデメリット、移住に失敗しない人の特徴をまとめました。
メリット
地方移住のメリットを思いつくままに羅列してみました。
生活しやすい
都会に比べ地方はとにかく生活しやすいです。宮古島は人口5万5千人の小さな島。半径2キロほどのエリアに生活に必要なものは全て揃っています。
地方での暮らしは不便だと想像されがちですが、都会以上に便利だと感じることの方が多いです。
市役所、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど、生活に必要な場所には全て車で5分以内につきます。
職場も車で5分の距離。移住者の中には自転車や徒歩で通勤している人もいます。
移住生活が長くなるにつれ、職場もスーパーもコンビニも自宅の延長のような感覚になってきます。移動が楽な分、有効に使える時間は多いです。
都会では常に何かに追われるような感覚で生きていましたが、宮古島では島全体の空気感がゆっくりなので、無理せずマイペースで生活できます。
自然が豊か
地方での移住生活では常に自然の豊かさを感じながら生きることができます。宮古島の海の美しさは格別。移住5年の今でも全く見飽きることはありません。
コンクリートに囲まれた都会とは、普段の生活の中で見える景色が全く違います。
台風にも負けないサトウキビ。四方八方に根を張り、たくましく伸びるガジュマル。宮古島の植物は生命力に満ちています。
都会で暮らしていた頃は自然の美しさに目を向ける余裕はありませんでした。地方に移住したことで自然の偉大さ、豊かさに気づくことができました。
今年は桜の花が咲くのが早い。サトウキビの花が立派だから今年は豊作だ。移住前にはこんなことを感じる心の余裕はありませんでした。
宮古島には毎年猛烈な台風が接近します。台風接近時は家に缶詰めになり何もできません。台風が来るたびに人間なんて自然に比べればちっぽけな存在だと思い知らされます。
都会に暮らしていると人間の方が自然よりも偉いと勘違いしがちです。私は地方移住したことで自然の偉大さ、豊かさを普段から実感できるようになりました。
子育てしやすい
子育て世代にとっては、子育てのしやすさも地方移住の大きなメリット。
都会の殺伐とした空気の中で生活する必要がないので、おおらかな気持ちで子供と向き合うことができます。
自然が豊かな島で子供たちは素直に、たくましく育ちます。
宮古島の子供たちはとてもいい子。見知らぬ人にもきちんと挨拶をします。知らない大人が注意してもふてくされることなく、きちんと謝ります。
生活のしやすさは子育てのしやすさに直結します。小児科も耳鼻科も保育園も、家から車で5分の距離。職場から保育園までも車で5分。子供が熱を出せばすぐにかけつけられます。
都会に比べれば、子育てに対する理解がある職場が多いです。
私の職場は、子供の急な発熱で保育園に迎えに行かなくてはならない時、嫌な顔ひとつせずに「早く迎えに行ってあげて」と送り出してくれます。
小さい子供を連れて歩いていると声をかけてくれる人がとても多いです。「かわいいね」「何歳?」と自然に子供に語りかけてくれます。
渋滞がない
都会に比べ地方は渋滞が少なく、満員電車がありません。
移動は車が基本。渋滞がないので移動には全くストレスがかかりません。車が少なく、信号も少ないので移動に時間がかかりません。
都会だと20分ほどはかかる距離でも、渋滞のない地方なら5分で着きます。地方のスイスイ車が進む感覚は、都会の誰もいない早朝のドライブに似ています。
車に乗っている時間が少ないので車にはこだわらない人が多いです。宮古島では乗用車は少数派。8割は軽自動車です。
私も都会で暮らしていた頃は乗用車に乗っていましたが今は軽自動車を愛用しています。
長時間のドライブだと軽乗用車は不快に感じることもありますが、地方では軽自動車で十分。車にお金をかける必要はありません。
人ゴミがない
人ゴミがないのも地方移住の大きなメリット。
宮古島に移住して5年。人が多いと感じるのは宮古島夏まつりやオリオンビアフェスとなどのイベントの時ぐらい。普段の生活で人ゴミを感じることはありません。
イベントには多くの人が集まりますが、都会の花火大会に比べると人口密度はとても低いです。
「オリオンビール」が1年に1度、宮古島で開催する「オリオンビアフェスト」。沖縄のアーティストが宮古島に集結しステージでライブ演奏します。
島民は芝生にレジャーシートを敷いてビールを飲みながらライブを楽しみます。レジャーシートのひき方にはとてもゆとりがあります。
都会の花火大会ならお隣さんにぴったりくっつけてレジャーシートを敷きますが、宮古島だと2メートルぐらいは距離を置きます。
地方に5年住むと人ゴミへの免疫がなくなります。ぎゅうぎゅうに肩を寄せ合う都会の花火大会には行けなくなります。満員電車には乗れなくなります。
地方から都会に帰省するたびに、空港や駅の人ゴミで酔いそうになります。
都会で暮らしていた頃は時間に追われ、一本でも早い電車に乗ることばかり考えていました。今は満員の時間を避けたり、遠回りしてでもすいている電車を使ったりする心のゆとりがあります。
いつでも海に行ける
宮古島ならいつでも海に行けます。
家から最寄りのビーチまでは」車で5分。ビーチで海を眺めながらのんびりお昼ご飯を食べたり、読書をしたりできます。
夕日がきれいな日には、波の音をBGMに大海原に沈む太陽を眺めることもできます。
宮古島は周囲をサンゴ礁の海に囲まれていて、シュノーケリングスポットになっているビーチが多くあります。
移住者はいつでもシュノーケリングを楽しめます。私も移住したての頃は毎週のように海でシュノーケリングを楽しんでいました。
高い旅費を払って宮古島に来てシュノーケリングをしている観光客を横目に。「移住者だからいつでも来れる」という優越感を感じながら宮古島の海を楽しめます。
冬も暖かい
地方移住するなら寒いところよりは暖かいところがオススメ。冬も暖かいことは宮古島移住の大きなメリットです。
宮古島はどんなに寒くても気温が10度を下回ることはありません。冬でも寒さに凍えて生活する必要はありません。重ね着をする必要がないので外出はとても楽です。
宮古島移住5年の今は、冬に里帰りしようとは全く思わなくなりました。
移住当初は年末年始に地元に帰省していましたが、今では毎年宮古島で年越ししています。
暖かい宮古島で5年間暮らして実感するのは、寒さがが身体に大きな負担になっていたということ。冬でも身体が固まる感覚は全くありません。
花粉がない
沖縄には花粉がありません。花粉症の人も沖縄旅行の期間中は症状が出なくなることが多いです。
私は花粉症がひどかったですが、宮古島に移住した年から全く症状が出なくなりました。
花粉がないのは本当に快適。都会で暮らしていた頃は花粉症の時期はティッシュを常備し、ポケットの中は常に鼻を噛んだ後のティッシュでいっぱいでしたが、今ではティッシュを持ち歩かなくなりました。
移住5年の今では花粉の存在すら忘れています。花粉症の時期がいつなのかわからなくなりました。
日が長い
日本の西の端にある宮古島。日の出も日の入りもとても遅いです。
朝6時頃からようやく空が明るくなり始めます。夏は夜8時ぐらいまで明るいです。
日の長さは心のゆとりにつながります。
都会だと夜7時まで働けば外は真っ暗ですが、宮古島だと夏の夜7時はまだまだ明るいです。
仕事が終わって職場から一歩外に出た時、空が明るいだけでも気持ちが晴れやかになります。
仕事終わりにビーチまで車を走らせてのんびりと夕日を眺めることもできます。
背伸びする必要がない
都会には常に周囲の目を気にしながら生きなくてはならない緊張感があります。地方での生活では背伸びをする必要は全くありません。
高級ブランドを持っている人は、地方では浮きます。
宮古島に住んでいる人はみんな身の丈に合ったものを着ています。男性はTシャツ、短パン、サンダルが定番。過度なオシャレはしません。
女性も自分を魅力的に見せようと背伸びするような人はいません。島のオバーは基本的にノーメーク。若い人も厚化粧はしません。
へこんだ車やサビた自転車に乗っている人も多いです。
背伸びする必要がないので無駄なストレスを感じずに生活できます。
「地方はダサい」と一蹴することもできますが、ダサさにどっぷりつかれば、生活はとても楽になります。
野菜がもらえる
地方移住のメリットとしてよく挙げられるのが近所の人から野菜がもらえること。
宮古島には農業をしている人が多いです。サトウキビを育てる兼業農家、ピーマンやゴーヤ、インゲン、とうがんなどを育てている専業農家がいます。
農家は出荷できないB級品は自分で食べたり親戚に配ったりします。移住者も地元の人たちと仲良くなれば余った野菜をもらえます。
スーパーで野菜を買わなくてもいいほど野菜をもらえることはありえませんが、島の人たちときちんと人間関係を築けば地元で採れたての野菜をもらえます。
人としての幅が広がる
都会で一つの会社で定年退職まで働く。これはこれですばらしい人生です。会社の中で昇進し、部下ができ、周囲の信頼を得て、企業人として生きる。日本人らしいすばらしい生き方だと思います。
ただ、一つの会社で働いていて人としての幅が広がるかと言われれば疑問が残ります。
一つの会社に長く務め定年退職した60歳と、都会の会社を飛び出して地方移住し地方でたくましく生き抜く60歳。どちらかに話を聞けるとして、どちらの人の話が魅力的でしょうか。
地方移住にはうまくいかないこともあります。移住前には想定していなかった困難に直面することもあります。でも、そのすべてが人生の糧となります。
移住前とは全く違う価値観、風習、文化。地方で暮らした経験は人としての幅を広げてくれます。
デメリット
地方移住のデメリットを思いつくままに羅列してみました。
給料が安い
地方は都会に比べ給料が少ないです。実際に移住すると給料の少なさに驚きます。
私は30代。毎月の基本給は19万円台。手取り額は16万円前後です。
一人暮らしならこの給料でも何とかやって行けますが、家族を持つと生活は苦しいです。
私の給料だけでは子供を育てられないので、妻も働いています。妻の給料は私より少ないです。
給料が少ないと生活が苦しくなり、精神的にも負担がかかります。
給与明細を見るたびに虚しくなります。地方が都会より給料が少ないことはわかっていたつもりでしたが、その少なさは想像以上でした。
自分はこの程度の給料しかもらえないレベルの人間なのかと落ち込むこともあります。移住せずに元の会社に残っていれば生活は楽だっただろうと考えることもあります。
「お金に縛られる価値観から脱却したい」と思って地方に移住した私ですが、移住したことでお金の大切さを痛感させられました。
特殊な資格があれば地方移住でも高給をキープできますが、手に職のない人は地方移住で確実に給料が少なくなります。
給料の少なさを理由に地方から都会や地元に帰っていく人もいます。
仕事がきつい
地方だからといって仕事は決して楽ではありません。都会でバリバリ働いている人に比べれば労働時間は少ないですが、楽ではありません。
宮古島では週休2日の職場はほとんどありません。多くは週休1日。祝日も働いている人も多いです。サービス残業もあります。
都会に比べれば地方での暮らしはストレスが少ないですが、職場のストレスは存在します。
会社に出社すれば毎日同じ人たちと顔を合わせて働くことになります。職場の人との相性が悪いと最悪。少人数の会社だといつまでもその人と一緒に働くことになります。
移住をきっかけに新しい仕事を始めると、仕事を覚えるのが大変です。私も移住をきっかけに仕事を変えたのではじめのうちは仕事がなかなか覚えられず、移住生活を楽しむ心の余裕がありませんでした。
仕事がきつくても給料が良ければ救いになりますが、私の場合仕事はきついのに手取りは16万円。
仕事がきついからといって仕事をサボれば職場の人たちとの人間関係がぎくしゃくし、移住生活は破たんへ向かいます。移住者は歯を食いしばって一生懸命働くしかありません。
物価が高い
地方は物価が安いイメージがありますが、宮古島の物価は決して安くありません。
特に家賃が高いです。我が家は3DKで家賃6万円。家賃相場は地方都市の福岡と同じぐらいです。
食料品も高いです。牛肉、豚肉、鶏肉、葉野菜、乳製品は島内では生産されていません。スーパーに並ぶ商品には島外からの輸送費がプラスされるので高いです。牛乳は税込みで1本260円ぐらい。牛乳があまりに高いので我が家では豆乳を飲むようになりました。
ガソリン代もとても高いです。1リットル160円台は当たり前。軽自動車にガソリンを4000円分入れても満タンにはなりません。
「給料が少ない」「物価が高い」のダブルパンチで生活は苦しくなります。
帰省に費用がかかる
沖縄の離島、宮古島での移住生活。大型出費は帰省のときの飛行機代です。
帰省のたびに10万円は出費しています。今は夫婦2人の航空運賃ですが、子供が3歳になれば子供の分も加算されます。
普段の帰省では、LCCを利用するなどして出費を最小限に抑えていますが、葬式で突然帰省する時はかなり出費がかさみます。数年前、祖父が亡くなって急いで帰省しました。旅費は夫婦2人で20万円でした。
旅行に行けない
地方に移住したら旅行なんてしなくてもいいと思われがちですが、そんなことはありません。
宮古島に移住したての頃は宮古島に移住したという事実だけで大満足。島から出たいとは全く思いませんでした。移住3年を過ぎた頃から旅行がしたいと思うようになりました。
移住生活が始まると、非現実だった地方での暮らしが現実になります。現実の暮らしが長くなると非現実を求めて旅をしたくなります。
私にとって宮古島は生活する場所。5年も暮らしていると宮古島での生活はすっかり日常になります。旅先で感じるような開放感を感じることはありません。
宮古島では地元出身者はもちろん、移住者も「旅行したい」「ハワイに行きたい」と思っています。
給料が少なく生活に余裕がないので旅行には行けません。宮古島に移住してからの5年間で私が旅行したのは一回だけ。行き先は宮古島から飛行機で30分の石垣島でした。
娯楽が限られる
地方は娯楽が限られます。
移住当初は何もない地方での暮らしが贅沢に感じられますが、徐々に欲が出てきます。
遊園地、水族館、動物園、野球場、サッカー場、競馬場は地方にはありません。外食チェーンや衣料品店も限られます。ユニクロ、無印良品などのファストファッションの店もありません。
私も移住前は美しい海があればレジャー施設なんてなくても大丈夫と思っていましたが移住生活が長くなると「あの施設がほしい」と思うこともあります。
地方に移住するなら娯楽が制限されることは覚悟しておく必要があります。
学力が低い
子連れの移住で気になるのは子供の学力。
子供が小さいうちは自然豊かで子育てには良い環境ですが、子供が中学生、高校生になると学力の低さが気になる親も出てきます。
宮古島の中学生、高校生は都会に比べるととてものんびりしています。高校受験はありますが名前を書けば誰でも合格できるレベル。受験戦争を経験することなく、ぬるま湯のまま子供たちは高校生になります。
島には大学や専門学校がないので、子供の大半は高校卒業後島を出ます。高校受験がぬるま湯なので、大学受験で苦労する生徒が多いです。
大学受験は移動だけでも大変。長時間の飛行機移動。慣れない電車での試験会場への移動。宮古島の受験生は普段と違う環境に戸惑い力を発揮しきれないことがあります。
受験シーズンは冬。宮古島は冬でも暖かいですが、都会の冬はとても寒いです。都会の寒さを知らない宮古島の受験生には大きなハンデになります。
子供の学力が気になる親にとっては、地方移住はメリットよりデメリットの方が大きいです。
虫が多い
都会暮らしが長い人にとっては、地方の虫の多さ、虫の大きさは耐えられないレベル。虫が嫌で移住生活をあきらめる人もいます。
宮古島は自然が豊かな分、身近な場所に虫がいっぱいいます。移住者が特に苦手なのはゴキブリとクモ。
ゴキブリのサイズは本土とは比べ物にならないほど大きいです。動きが素早く、飛ぶこともあります。車の中に住みついていることもあります。
クモもとても大きいです。島の山林エリアには体長20センチほどのジョロウグモがたくさんいます。
市街地エリアでもアパートの窓に蛾やヤモリがはりついていることがよくあります。特に1階の部屋は虫が多いです。室内に小さなクモやヤモリが普通に入ってきます。ネズミやアリが住みついている家もあります。
虫が苦手な人には地方の虫が多い環境は大きなデメリットです。
停電が多い
宮古島は台風が来るたびに停電します。停電しにくい市街地エリアでも年に3回は停電します。
停電すると電気がつきません。テレビも冷蔵庫も洗濯機も炊飯器も使えません。電気とガスが連動している場合はガスも使えません。夜は真っ暗、暴風雨の中ひたすら耐えしのぐしかありません。
停電は数時間続き、長い時は丸1日以上停電します。
停電するとインターネットも使えません。停電が復旧してもインターネットの復旧までにはさらに時間がかかります。
移住者の中にはインターネットを使ってフリーランスで働いている人もいます。台風でインターネットが使えなくなると、仕事ができずかなり困っています。
出会いがない
地方は若者が少なく、男女の出会いがありません。
宮古島には大学や専門学校がなく子供たちは18歳で島を出ます。宮古島には20代の若者が極端に少ないです。
宮古島出身者が島に帰ってくるのは30代前後。結婚して妻子を連れて帰ってくる男性が多いです。
島にいる20代の男性の大半は島外から派遣されている陸上自衛隊や海上保安部の隊員。20代の女性の大半は島外からリゾートバイトで働きに来ている短期移住組。
自衛隊員の男性とリゾートバイトの女性が島で出会ってカップルになったと言う話は聞いたことがありません。
地方は出会いを求めて移住する場所ではありません。都会にいた方が出会いのチャンスは多いです。
親との距離が離れる
地方移住をすると、必然的に親との距離が離れます。
移住を考えている時には「ここに住みたい」「この環境を抜け出したい」と自分を中心に考えがちですが、いざ移住すると親のことが気になり始めます。
夫婦での移住、子連れでの移住、単身での移住。様々なケースがありますが、移住生活が長い人たちはそれぞれに親のことを考えています。
移住した数年後に親も宮古島に引っ越してきた人もいれば、親の介護を理由に島を離れる人もいます。
移住前にはそこまで考える余裕はありませんが、移住によって親との距離が離れることは、地方移住のデメリットです。
都会暮らしに戻れない
地方での生活のペースに慣れると、都会にいた頃の働き方には戻れなくなります。
宮古島移住5年の私。渋滞も満員電車もなく、職場までは車で5分。この生活にどっぷりつかっています。もし今、何かの事情で都会に帰ることになったら、移住前のように都会でバリバリ働ける自信はありません。
満員電車にも渋滞にも全く免疫がなくなってしまいました。都会の職場の緊張感、ギスギスした空気感に耐えられるとは思えません。
地方に移住することは、敷かれたレールを外れることです。地方に移住した瞬間、移住前に積み上げてきたキャリアはすべてリセットされます。
宮古島では職歴も、学歴も関係ありません。移住前にどんな立派な企業に勤めていようが移住生活では何の足しにもなりません。一流企業に勤めていたというプライドは移住生活を苦しくするだけです。
移住生活を豊かにするためには、移住前のプライドを捨て、島にどっぷりつかること。ただし、どっぷりつかればつかるほど、都会には戻りにくくなります。
忍耐力が必要
地方移住者は忍耐力がないと生きていけません。
宮古島に移住して5年。理不尽なことは数えきれませんが、全て受け流してきました。
宮古島の人はコミュニケーションが苦手。特に年配の男性はお酒を入れないとうまくコミュニケーションが出来ない人が多いです。島の人たちの酒の飲み方や酒の席でのふるまいに嫌な思いをしたこともありました。
宮古島では移住者は歓迎されません。観光客はお客さんですが、移住者はよそ者。島の人たちは移住者には関心を示しません。移住者にはわからないように方言で悪口を言う人もいます。
島の人たちは数年で帰っていく移住者を何人も目にしています。移住者は「どうせまた数年で帰る」という見方をされます。島での暮らしが嫌なら帰れというスタンスです。
移住生活が長い人は、忍耐力がある人たちです。島の人たちに時には叱られ、時には無視されながら、それをうまく受け流して生きています。
失敗しないのはどんな人?
地方移住はゴールではありません、スタートです。地方移住に失敗しないために、地方移住に向いているのはどんな人かまとめました。
前向きな人
地方移住にはメリットもあればデメリットもあります。地方移住の負の部分が見えてきた時、くよくよしているようでは、移住生活はうまくいきません。
地方移住にはポジティブな人、物事を前向きに捉えられる人が向いています。移住先で想像もしなかったような困難に直面した時、なんとか乗り越えようという前向きな気持ちが、移住生活の大きな助けとなります。
仕事がきつい。給料が安い。意外とストレスを感じる。移住生活は決して楽ではありません。「こんなはずじゃなかった」と後ろ向きに生きていては、移住生活は失敗へ向かいます。
「地方移住したい」と思った時の新鮮な気持ちを忘れることなく、困難に打ち勝つ強い心、前向きな気持ちを持ち続けることが大切です。
欲がない人
地方移住には欲がない人が向いています。宮古島移住者の先輩は欲が少ない人たちばかり。欲が強い人の移住生活は長続きしません。
移住生活を成功させたいなら全ての欲を捨てることです。
地方では物欲は満たせません。ショッピングが好きな人やブランド品を集める趣味がある人は、地方での生活は満足できなくなります。こだわりがなく、最低限身につけるものが買えればいいというタイプの人が地方移住には向いています。
出世欲も移住生活の邪魔になります。地方では出世することよりも家族を持つこと、子供を立派に育てることに重点が置かれがちです。地方の企業はコネ採用も多く、出世レースでは移住者は出遅れます。出世したい、権力を得たい、認められたいという欲が少しでもあるなら地方移住はオススメできません。
お金持ちになりたいという欲も移住前に捨てるべきです。地方移住者の中には移住先でビジネスをおこして儲けようというタイプの人もいますが、うまくいくのは一握り。移住者の大半は少ない給料をやりくりして、毎日節約しながら暮らしています。
移住前に全ての欲を捨てて来たつもりでも、移住生活が長くなるとどうしても欲が出てきます。そんな時は欲の方向性を地元の人たちと合わせることです。
家族を養う。子供を立派に育てる。生活を豊かにする。田舎に行けばいくほど欲の質は原始的になっていきます。地方移住に向いているのは、原始的な欲で心を満たせる人です。
謙虚な人
移住成功の一番の鍵は、地元の人たちといかにうまくやっていくか。移住生活を長く続けている人たちは、地元の人たちと時間をかけて信頼関係を築いています。
移住者は最初はよそ者扱いされます。「どうせまたすぐ帰る」という目で見られます。地元の人たちの信頼を得るためには、一生懸命働き、その地域に貢献することです。
自分がお金を稼ぐため、自分の欲を満たすために働くのではありません。仕事を通してその地域に貢献することが大切です。
移住成功者の中には、看護師や介護士、保育士など、地元の人たちの役に立つ仕事をしている人が多くいます。仕事はきついですが、仕事を通して自然と地元の人たちとのつながりが生まれます。
きちんと信頼関係を築けば、地元の人たちは本当に困った時に手を貸してくれます。
「ここは俺の島だ」と偉そうにしている移住者は誰にも相手にされません。移住先の風習をバカにし、地元の人たちの文句を言い始めると、移住失敗のカウントダウンがはじまります。
地方では、効率的でなくても、論理的におかしくても、地元の人のやり方が100%正しいです。移住者がやり方を変えるのはご法度。移住者は地方に「おじゃましている」という謙虚な姿勢が求められます。
移住先の地域を理解し、一生懸命働き、地域に貢献する。これが全てと言っても過言ではありません。
見せかけの謙虚さはバレます。謙虚なふりをしていては、自分の心の中でバランスが取れなくなってきます。
悔しくても理不尽でも、移住者はどこまでも謙虚である必要があります。
まとめ
地方移住のメリット、デメリット。移住失敗しないのはどんな人かまとめました。
地方移住は人生の一大イベント。大きな決断をして移住したからと言って全てがうまくいくわけではありません。
移住先での暮らしは決して楽ではありません。虚しくなることも、帰りたくなることもあります。
それでも、生活費をやりくりしながら慌ただしく生きる生活には、都会暮らしでは感じられなかった人間らしさがあります。
会社と家の往復だけで毎日が過ぎていた頃に比べれば、地方でもがきながら生きている今の方が人生は充実しているように感じます。
地方移住を考えている皆様の参考になれば幸いです。