沖縄離島の移住者はどんな仕事をしているの?

宮古島に移住して5年になります。

沖縄の離島で暮らしている人は珍しいので、友人に島暮らしについて質問されることがよくあります。

中でも多いのは「移住者はどんな仕事をしているの?」という質問。

移住者の仕事について聞かれた時、私が答えている内容をまとめました。

(友人に答える気持ちで書いたので、丁寧語ではありません。ご了承ください)

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観光関係

観光関係の仕事をしている移住者が多い。ホテルのフロント、レンタカー業者、ダイビングのインストラクターなど。全体的に長続きしない印象がある。

リゾートバイトみたいな形で、来る前から期間限定の移住と決めている人も多いので、観光関係は従業員の入れ替わりが激しい。入れ替わりが激しいと、その雰囲気に流されて自分も帰ろうかなとか考え始める人もいる。

特にホテルで働いている移住者はとても多い。ホテルは慢性的な人手不足で求人情報は溢れている。新しいホテルもどんどん建設されている。もともと時間が不規則で体力的にきつい部分がある上に、人手不足で1人あたりの負担が増えているので、働く人は大変。労働環境はけっこう厳しい。

ホテルによってあたりはずれがある。規模の大きいホテルだからと言って職場環境がいいわけではない。小さいホテルでも環境がいいところはいいし、大きいホテルでもダメなところはダメ。

レンタカー業者は20代ぐらいの若い移住者が多い。ホテルに比べ規模が小さいので社員は少なくアルバイトが多い。

農業

脱サラして宮古島に移住して農業を始める人もいる。農業でうまくいくのはほんの一部。移住者の仕事として一番ハードルが高いのは農業かもしれない。

宮古島は気候や土の質が内地と違うから、一般的な農業のノウハウは通用しない。地元の人に教えてもらってやるしかないけど、これが大変。

地元の人は簡単にはノウハウを教えてくれない。成功しているのは、地元の農家に弟子入りして、数年間一生懸命働きながらノウハウを学び、独立するパターン。

地元の農家に弟子入りするためには人脈が必要。弟子入りして働くにも、労働環境は過酷。宮古島の夏の暑さ、日差しの強さはハンパないので、体力的に限界を感じて辞める移住者は多い。

サトウキビ農家のほとんどは兼業。サトウキビだけでは食べていけない。仕事をしながらサトウキビを育てていたり、仕事を引退した高齢者が育てていたり。

マンゴーは、ハウスが必須だが、一からハウスを建てるととても高い。中古のハウスを買うのがベストだが、移住者には譲ってくれないこともある。初めての収穫までには何年もかかる。

宮古島の農業といえば、サトウキビ、マンゴー、葉タバコが3本柱。

葉タバコは儲かるという噂もあるが、やろうとは思わない。タバコ臭くて体に害がありそう。台風が来る前に収穫なので、普通の年なら台風被害はないが、5月に台風が来たら、ジ・エンド。甚大な被害が出る。

宮古島で移住者が農業で成功するには、人脈作りは必須。かなり頑張らないとうまくいかない。

沖縄離島の暑さと台風を甘くみてはいけない。農業は本当に大変。脱サラして農業を始めたいなら、わざわざ過酷な環境の離島を選ぶことはないと思う。

資格を活かした仕事

医者、看護師、薬剤師、介護士、保育士など、資格のある人は歓迎されるし、長続きする傾向にある。

宮古島に移住して開業している医者はけっこういる。歯医者や形成外科、皮膚科など。宮古島は歯医者は多いが、眼科や形成外科、皮膚科などは限られているので、需要はある。

移住者の医者はいい家に住んでいる。うらやましい限り。

宮古島の二大病院、県立宮古病院と徳州会病院で看護師として働いている人もいる。看護師は慢性的な人手不足。宮古島だからといって仕事が楽なわけではなく、忙しそう。

介護士も、時間が不規則で大変そう。移住前に普通にサラリーマンをしていて、移住後、介護士として働いている人もいる。忍耐力のいる仕事。楽ではないが長く介護士を続けて頑張っている人もいる。

薬局で働く薬剤師もいる。宮古島の給料水準の低さを考えればかなりの高給取り。立ち仕事で大変そうではあるが、室内の仕事なので、宮古島の暑さは関係なく働ける。やっぱり有資格者は強い。

宮古島で働く保育士、増加中。宮古島でも待機児童問題が深刻で、市役所が保育士確保に躍起になっている。島外からも積極的に保育士を募集している。

保育士の半分以上が移住者という保育園もある。

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公務員

宮古島は田舎なので、地元出身者には公務員が大人気。宮古島の中ではかなり給料は良い。地元出身者なら一度は就職を目指すといっても過言ではない人気の職場。

毎年1回宮古島市役所の採用試験がある。採用されるのは毎年20人ほど。狭き門をくぐりぬけて役所職員として働く移住者もごく一部だがいる。さすがに役所で働く移住者は仕事ができる印象。

コネ採用があるという噂は絶えない。特に、臨時職員の場合「あの人の子供だから」という感じで、形だけの面接試験で合格させるケースもある。

田舎の市役所なので雰囲気はのんびりしてる。島ならではのルールがあって戸惑う部分もあるかも。

「出世したい」みたいな人は宮古島には少ないが、田舎の割に職員数が多い(700人ほど)ので人間関係は大変かもしれない。

選挙で市長の票集めに貢献したので出世するみたいなのは普通にある。大げさに言えば市長が変われば部長も変わる。

地元企業

地元企業には、運がよくないと採用されない。同じ能力の地元出身者と移住者が採用試験を受験すれば当然のように地元出身者を採用する。

コネ採用ももちろんあるし、最初から移住者の採用は想定していないところも多い。

移住者が働けるとしたら少なくとも従業員30人以上ぐらいの規模の会社。

地元企業で積極的に移住者を採用しているところといえば「パラダイスプラン」ぐらいか。観光客用の土産品「雪塩」の製造、販売を柱に、雪塩工場見学や、みやげ物店、おみずやさんなど、幅広く事業を展開している。

建設業、バス、タクシー会社、運送業などで規模の大きい地元企業はあるが、移住者はほとんどいない。

地元企業で働く場合、仕事の価値観を捨てないとうまくいかない。仕事よりもお酒の席での振る舞いが大事だと考えている人もいる。

宮古島の人たちは多くを語らないので、空気を読んで自分から仕事を学んだり作ったりしていかなくてはならない。

子育てに対する理解はすごくある。子供が熱を出したから抜けたいとか、子供の運動会だから休みますとかは、普通にできる。

給料は少ない

都会の感覚からすると給料はかなり少ない。私は30代だが基本給は10万円台。採用1年目の給料も少ないが、その後ほとんど昇給がないのが痛い。

地元企業だけでなく、ホテルなど島外資本の企業も給料は少ない。本社採用と宮古島採用で給料に差をつけているところもある。

都会ほど生活にお金はかからないが、物欲が激しかったり散財しがちな人は、離島暮らしは無理だと思う。

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移住前と同じ仕事がオススメ

移住生活がうまく行っている人は、移住前と同じ仕事をしている場合が多い。

「移住したい」って思いに頭が支配されると、今やってる仕事を否定しがちだが、職種が嫌なのか、職場が嫌なのか、冷静に判断すべき。

職種が嫌なら違う仕事をした方がいいが、職場が合わないだけなら、同じ職種の別の仕事を探した方がいい。

仕事の安定は、移住生活の安定につながる。住む場所の環境が変わるだけでも大変なのに、仕事も一から覚えるとなると、とても大変。

移住生活を長く続けたいなら、移住前と同じ仕事がオススメ。

移住を決断する前に

宮古島の場合、南国楽園パラダイスみたいなイメージが先行しすぎてるから、現実とのギャップに戸惑って帰る人も多い。

残る人はまじめな人が多い気がする。

移住前は「1日も早く離島に移住したい」って考えになりだが、なぜ離島なのかは考える余地があると思う。

「沖縄離島に移住したい」と「仕事を辞めたい」を天秤にかけて、「仕事を辞めたい」が勝っていたら、沖縄離島である必要はないかも。

環境を変えるなら「転職する」「地元に帰る」も選択肢。

一度きりの人生、思い切りも大事だが、冷静さも大事。

(友人の質問に答える感じで書いたので、読みにくい部分があったかと思います。ご了承ください)

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