「離島に移住したい」と考えているあなた。都会に暮らしていると「離島」とひとくくりに考えがちですが、島によって特徴や住みやすさは全く異なります。
私は沖縄の離島、宮古島に移住し5年間暮らしていますが、沖縄本島とも石垣島とも文化や風習は全く違います。
「南国・海・サトウキビ畑」などの基本的なイメージは同じですが、住んでいる人の性質や生活のしやすさは島によって異なります。
「離島に縁もゆかりもない人が移住してうまくやっていけるか」をテーマに沖縄の5つの離島をおすすめ順に紹介します。
1位 石垣島
沖縄の離島に移住するなら、おすすめは石垣島。失敗のリスクが一番低い離島は石垣島です。これだけは間違いありません。
那覇から石垣島での距離は約400キロ。石垣島の人口は約4万7000人です。沖縄の離島の中でも石垣島は宮古島と並んで人口が多く、知名度も高い島です。
石垣島、宮古島はどちらも移住者に大人気ですが、両島の移住者の数を比較すると、実は石垣島の方が圧倒的に多いです。
石垣島は歴史的に多くの移住者を受け入れてきた島です。石垣島には戦後「開拓移住」で多くの人たちが移住してきました。
石垣市の人口は昭和25年に2万人以下でしたが、県外、沖縄本島、宮古島から多くの人が移住し、昭和30年には4万人を超えました。
沖縄本島や宮古島からの移り住んだ人も「移住者」とするならば、石垣島の人口の半分以上は移住者です。
戦後多くの移住者を受け入れてきた石垣島なので、移住者を受け入れる土壌があります。沖縄の他の離島に比べればかなり開けた島です。
他の離島では、生活していくために地元の人の力を借りるのは必須ですが、石垣島なら移住者のコミュニティの中だけでも生きていけます。
石垣島移住者の中には、移住生活に失敗して本土に帰ってくる人もいますが、地元の人とのトラブルや島が嫌いになって帰ってくるケースは他の離島に比べて少ないです。
石垣島では石垣港のある市街地エリアに人口の大半が暮らしていて、このエリアに住めば生活はとても便利。
市役所、郵便局、スーパー、ドラッグストア、コンビニ。生活に必要なものは全て車で5分圏内にあります。車さえあれば都会よりも移動は楽。ストレスの少ない生活を送れます。
観光客が多く、久米島や与那国島などの小さな離島に比べればごみごみした感じはありますが、都会に比べればとても静か。繁華街は那覇の国際通りのような賑わいの日もありますが、住宅地に一歩入ればとても静かです。
ホテル業、飲食業、マリンレジャー業、介護士、保育士、看護師など、他の離島に比べると仕事の選択の幅も広いです。
長く続けられる仕事を見つけ、生活基盤をしっかりと確立すれば、永住も夢ではありません。
2位 宮古島
沖縄の2大離島と言えば石垣島と宮古島。島の大きさも人口規模もほぼ同じです。
宮古島も石垣島と同様とても生活しやすい島です。
平良港の近くの市街地エリアに住宅が密集していて、このエリアに生活に必要なものは全て揃っています。
スーパーもコンビニもドラッグストアも車で5分。私は宮古島で子育て中ですが、職場も保育園も小児科も耳鼻科も車で5分なのでとても便利。生活のしやすさだけなら都会よりも便利です。
宮古島では建設業やホテル業、介護の仕事が慢性的に人手不足。石垣島同様仕事の選択肢は多いです。
石垣島と決定的に違う点は、移住者が少ないこと。宮古島の人口は5万4000人ですが、移住者は全人口の1割以下。移住者は圧倒的に少数派です。
宮古島は歴史的に移住者に寛容な島ではありません。石垣島の「開拓移住」のような歴史はなく、島に住んでいる人の大半は宮古島にルーツを持つ人たちです。
宮古島は石垣島に比べると閉鎖的な島です。島の人たちは自分たちと移住者を明確に区別します。移住者と積極的に関わろうとはしません。数年前までは「犯罪でもして逃げてきたのか?」という目で移住者を見る人もいました。
宮古島での移住生活成功の鍵は、地元の人たちといかにうまくやっていくか。多少理不尽なことがあっても宮古島のルールに従い、宮古島の人たちをリスペクトして暮らす。移住者が宮古島で生き残る道はこれしかありません。
島の人たちから見れば移住者は「よそ者」。「ここは俺の島だ」というタイプの移住者は嫌われ、誰からも相手にされません。移住者同士のつながりだけで生きていけるのほど宮古島での移住生活は甘くありません。
移住成功のハードルは石垣島に比べるとかなり高いです。
3位 久米島
石垣島、宮古島以外の離島では移住成功の道はさらに厳しくなります。
沖縄の離島で3番目に人口が多い久米島。那覇からの距離は100キロ。飛行機、フェリーで沖縄本島と行き来できます。久米島の人口は約9千人。石垣島、宮古島の5分の1程度です。
人口が少なければ少ないほど、島は閉じられていて、移住者には厳しい未来が待っています。
仕事の選択肢も少なくなります。ホテル業や飲食業の仕事は久米島にもありますが、石垣島、宮古島に比べると仕事はかなり少ないです。
久米島で長く続けられる仕事を見つけて地元の人たちと折り合いをつけてうまくやっていくのは至難の業。
4位 与那国島
日本最西端の与那国島。沖縄本島からは500キロの距離です。
空港はありますが、那覇から1日1便、石垣から1日3便の飛行機が飛んでいるだけでアクセスは非常に悪いです。
人口は約1700人。このぐらい小さな離島になると島民全員が親戚のような関係です。
移住してから仕事を見つけるのは至難の業。何度も旅行で島を訪れ、島の人たちと仲良くなり、仕事に目途をつけて移住するというパターンならなんとかなる可能性もありますが、かなり厳しいです。
島に仕事がなく、島のもっぱらの課題は過疎化と人口減少。島で育った子どもたちは中学卒業後島を出て島外の高校に進学。島に仕事がないので、なかなか島に戻れません。
地元出身者ですら仕事に就けないのに、移住者が仕事を見つけるのは至難の業です。
与那国島には陸上自衛隊の基地があり、人口約1700人のうち約300人は自衛隊員とその家族。与那国島の島民は地元出身者が8割。残りの2割は自衛隊関係者です。
5位 多良間島
宮古島と石垣島の間に浮かぶ多良間島。宮古島から毎日飛行機が2便、船が1便来ます。人口約1200人。与那国島同様、人口減少と過疎化、高齢化が急速に進んでいます。
観光客がいないわけではありませんが、一度に島に入れる人数が限られているので、島はとても静かです。
移住者はほとんどいません。地元出身者が戻ってきたり、本土から島に嫁いでくる女性はいますが、縁もゆかりもない人が移住するケースはほとんど聞きません。
過疎化が進む地域では国の予算を使って「地域おこし協力隊」として移住者を受け入れている自治体があります。多良間島も「地域おこし協力隊」を受け入れています。地域おこし協力隊員は役所に勤務し、給料をもらいながら働くことができます。
地域おこし協力隊なら移住のチャンスはありますが、任期が定められているので、任期中に次の仕事を見つけられれば島には残れません。
まとめ
「離島に縁もゆかりもない人間が移住してうまくやっていけるか」をテーマに沖縄の5つの離島をランキング化してみました。
1位は文句なしで石垣島。2位は仕事の数や人口規模を考えれば宮古島です。
石垣島、宮古島は東京や大阪からの直行便も充実していて、交通アクセスも良いです。
移住当初は重視していませんでしたが、里帰りが楽かどうかは移住先を選ぶ上で重要な要素だと感じます。家族に急な不幸があってもすぐに帰れます。友人が訪ねて来てくれることも多いです。
3位は人口規模と那覇へのアクセスのしやすさを考慮して久米島。
4位以降はどこも大差ありません。今回紹介したい与那国島、多良間島以外の伊江島、久高島、座間味島、波照間島、小浜島、古宇利島なども移住はオススメできません。
過疎化が進む島では地域おこし協力隊を募集しているところも多いので、チェックしてみる価値はあります。
石垣島に近い竹富島や西表島も閉じられた離島。竹富島や西表島への移住を考えるなら、まずは石垣島に住んでみることをオススメします。
宮古島と橋でつながる池間島、来間島、伊良部島は宮古島同様、移住者に寛容な島とは言えません。勇気を出して飛び込む移住者もいますが、失敗する人も多いです。
離島には沖縄本島になり魅力があります。移住に成功すればオンリーワンのステキな人生を歩めますが、ハードルは決して低くはありません。