アフターコロナ「移住したい」は危険?|震災後移住者の警鐘

沖縄の離島、宮古島に移住したshimagurashiです。

コロナ禍で生き方の価値観が見直され、地方移住への関心が高まっています。

移住は「一度きりの人生」を豊かにする一つの方法ですが、安易な決断は危険です。

東日本大震災後に宮古島に移住した私は、移住の理想と現実のギャップを埋められず、移住生活の大きな壁にぶつかりました。

コロナと不安

不安な気持ちは、人生を見つめ直すきっかけになります。

私が宮古島に移住したのは、東日本大震災後、日本全体が不安に包まれていた時期。

全てを奪ってしまう津波に、東京で暮らしていた私も大きなショックを受けました。

津波、原発事故、計画停電、帰宅難民。

東北の衝撃的な映像を見ていると、自分の日常生活もいつか突然奪われるかもしれないという不安に包まれました。

不安な気持ちは「人生このままでいいのか」という自問自答に変わりました。

コロナ禍の日本を覆う不安な気持ちは、東日本大震災の時と似ています。

コロナによる健康への不安

経済が回らないことへの不安

仕事がなくなるかもしれない不安

家計の不安

子供の教育環境の不安。

コツコツ積み上げて来たものを諦めなければならないことへの不安。

人は不安な気持ちになると、変化を求めます。

変化を求めることによって、心を安定させようとします。

東日本大震災後に移住した私は宮古島で5年以上生活しています。

宮古島の移住者の中には、震災後移住組が多くいます。

私の周りには、2012年~2014年ぐらいに移住してきた人が多いです。

震災で住む場所を奪われて移住した人は少数派で、震災をきっかけに人生を見つめ直し、被災地ではない場所から移住してきた人が多いです。

震災後移住組の多くは、震災による不安に背中を押されています。

不安な気持ちに支配されると、心が「変化」を求め始めます。

アフターコロナの移住を考えている人は、コロナへの不安に無意識のうちに決断を後押しされるかもしれません。

コロナ後の世界

移住したあなたが生きるのは、コロナ後の世界です。

コロナは遅かれ早かれ収束します。人生は何十年も続いていきます。

コロナ禍は長い人生の中の一つの通過点でしかありません。コロナ禍に終わりが来るのは目に見えています。

コロナの渦中にいると、いつまでもこの禍が続くような感覚になりますが、それは勘違いです。

今、地方移住をしようか考えているあなたが、移住後生きるのは、コロナ後の世界です。

移住する頃には、コロナのことなど忘れているかもしれません。実際に移住生活が始まると、コロナのことを考えている余裕はありません。

コロナは関係ない

移住を決断する上で、コロナは関係ありません。

「満員電車に乗りたくない」「テレワークができる仕事が良い」などの不満は、コロナによって表面化しただけで、あなたが潜在的に感じていたことです。

コロナをきっかけに人生を軌道修正する人を見て「うらやましい」と思うあなたの気持ちは潜在的なものです。

コロナは人生を見つめ直すきっかけになりますが、決断に影響を与えるものではありません。

移住のメリット・デメリットを考える時、コロナ以上に考えないといけないことはたくさんあります。

移住を決断する上で最も大切なのは「仕事とお金」

夢のない話ですが、移住生活がうまくいくかどうかは「仕事とお金」次第と言っても過言ではありません。

移住後1年ぐらいは、のんびり仕事を探しながら貯金で食いつなぐことができても、移住生活を長く続けるためには定職に就く必要があります。

移住前は「移住したい」という気持ちに頭が支配されますが、実際に移住生活が始まると、毎日を生きるので必死。

「毎日」の中で一番長時間関わるのが「仕事」です。

宮古島に移住した私。

毎日ビーチに行ける。車で5分で絶景の海。気軽にシュノーケリング。釣りし放題。水平線に沈む夕日に癒される・・・。

移住当初は移住前に描いていた理想を追い求めて楽しめていましたが、次第に現実が迫ってきました。

明日の仕事のこと。職場での人間関係。理解できない宮古島の人の行動。移住者の肩身の狭さ・・・。

移住1年後には、仕事や職場での他人の言動に悩まされる時間が長くなりました。

「お金」の理想と現実にも要注意です。

移住前には「いくら貯金があれば大丈夫か?」と考えがちです。必要最低限の金額を計算しがちですが、危険な考えです。

「お金」はあればあるほど良いです。

移住前の私は「必要最低限のお金があれば大丈夫。お金に縛られずに生きていきたい」と思っていました。

今考えればとんでもなく甘い考えです。

「お金に縛られずに生きる」など無理です。宮古島で私はその現実を突き付けられました。

移住前に稼いでいた金額を宮古島で稼ぐのは至難の業。

移住後の私の収入は、移住前に比べ大幅にダウンしました。

移住をきっかけに職種が変われば、一から仕事を学ぶ必要があります。現地のやり方で仕事を学びながら、見ず知らずの土地で暮らすのは簡単ではありません。新参者は雑用も多いです。

田舎ほど給料水準は低く、どんなに汗をかいても都会と同じ額は稼げません。

「お金に縛られずに生きたい」は、「お金に余裕がある人」の発想です。

都会でサラリーマンとしてそれなりの給料をもらっていた私は「お金に縛られずに生きたい」と甘く考えて移住しました。

今、私は宮古島でお金に縛られて生きています。この先の人生を生きて行くためのお金をどう稼ぐかを毎日考えています。

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移住3年の壁

宮古島移住者には3年の壁あると言われています。

移住後3年以内に約半数の移住者が帰っていきます。

移住生活がうまくいくかどうかは、移住の理想と現実のギャップを埋められるかどうかにかかっています。

「移住」は「結婚」に似ています。

結婚前は理想の結婚生活ばかりを考えがちです。

結婚相手の良い面だけを見て、盲目的になり、結婚を決断します。

新婚時代は幸せに過ごせますが、しばらくすると相手の嫌な所が気になり始めます。

どんなに気が合う相手でも、生活のルールや価値観の違いは必ずあります。結婚生活には「忍耐」が必要とよく言われます。「忍耐力」は理想と現実のギャップを埋める力です。

移住生活も結婚生活と同じです。

移住前は理想の移住生活ばかりを考えがちです。

移住先の土地の良い面だけを見て、盲目的になり、移住を決断します。

移住当初は幸せに過ごせますが、しばらくすると移住先の土地の嫌な所が気になり始めます。

どんなに好きな場所でも、長く暮らせば必ず不満が出てきます。結婚生活に「忍耐」が必要なように、「忍耐力」がなければ移住生活は長続きしません。

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移住に向いている人

宮古島移住5年の私なりに、移住生活に向いている人の特徴をまとめました。

欲がない人

移住には欲やこだわりがない人が向いています。欲やこだわりが強い人は移住に失敗します。

どんなに憧れて移住しても、移住先での生活に飽きるタイミングが必ず来ます。その時に「もっと良い暮らしがしたい」「こんなはずじゃなかった」と考え始めると、移住生活は失敗に向かいます。

移住生活を具体的に想像しすぎるのも危険です。「一軒家じゃないと嫌だ」などとこだわりが強い人は移住生活に失敗します。移住生活では移住前には想像もしなかったような困難に直面します。

困難に直面した時、柔軟に人生の価値観の軌道修正をできる人が移住には向いています。欲を捨て、こだわりを捨てられる柔軟性が必要です。

「名誉欲」「出世欲」「物欲」「金欲」。移住に失敗したくなければ、全ての欲を捨てることです。捨てるのが惜しいと少しでも思うなら、移住はしない方がいいです。

移住前の私は宮古島に移住することで、人生の勝ち組になれると思っていました。結果は真逆。宮古島に移住したことで、私は人生のレールを大きく踏み外し、人生の負け組への道を歩み始めました。

移住することは、全てを捨てること。移住前にそれをしっかり理解できていなかった私は、移住後しばらくしてから失ったものの大きさに気がつき「こんなはずじゃなかった」とショックを受けました。

私は宮古島での生活を5年続けていますが、移住が成功したとは思っていません。どちらかと言えば移住は失敗です。

コロナ禍で移住への関心が高まっていますが、移住後待っているのはコロナより恐い現実です。

移住先の土地をリスペクトできる人

「沖縄に移住した。今日からここは俺の島だ」という傲慢な人は、移住に失敗します。

移住者は「おじゃまさせてもらっている」という謙虚さが求められます。

現地の人の文句を行ったり、現地の伝統や風習に口出ししたりする人は、移住には向いていません。

効率が悪くても、常識に反していても、正しいのは現地の人です。移住者は所詮よそ者。現地の人をリスペクトし、現地の人たちのやり方を尊重できない人は、移住生活に行き詰ります。

見せかけのリスペクトはぼろが出ます。心の底からリスペクトすることです。

「地域の人たちのためにこれをやってあげた」「地域が良くなるために自分はこんなに頑張っている」というタイプの人もダメです。

「おじゃまする」立場なのだから、でしゃばらないことです。「自分が何かをやってあげた」
という感覚で生きている移住者は現地の人からするととんでもなく迷惑な勘違い野郎です。

移住に失敗したくなければ、地道にまじめに、奢ることなく毎日を生きることです。

まじめに暮らしているうちに、現地の人たちは少しずつ心を開いてくれます。

人脈を広げる一番のきっかけになるのは仕事です。仕事でコツコツ頑張って、信頼を得られるようになれば、自然と人脈が広がっていきます。

人は1人では生きていけません。田舎に移住したからと言って人と関わらずに生きて行くことなどできません。

現地の人や歴史、文化、風習を理解し、リスペクトする気持ちがなければ、移住生活はうまくいきません。

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さいごに

移住の決断は結婚の決断に似ています。

決断にはきっかけが必要です。

東日本大震災後に移住を決断した人が多いように、コロナは決断のきっかけになり得ます。

ただしコロナの不安な気持ちに支配されて移住を決断するのは危険です。

「宮古島移住だより」では移住生活の現実を様々な角度から発信しています。皆様の参考になれば幸いです。

アフターコロナのあなたが幸せな人生を歩めますように。

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