伊良部島北海岸の穴場絶景スポット「イグアナ岩」が立ち入り禁止になりました。
断崖絶壁の崖上にあり以前から危険性が指摘されていた「イグアナ岩」
SNSで情報が拡散され多くの観光客に存在が知られたことが閉鎖につながりました。
イグアナ岩とは
「イグアナ岩」は伊良部島の北海岸の絶景スポット。
断崖絶壁の崖上にあり、目の前にはイラブブルーの海が広がる絶景スポットです。
観光地として開発された場所ではなくガイドブックには載っていません。
伊良部島北海岸の一周道路から崖上を海側に少し歩いた場所にある開けた場所が「イグアナ岩」
崖の先端の岩が「イグアナ」の形に似ていることから、誰かがSNSで「イグアナ岩」として発信し「イグアナ岩」の名称が定着しました。
海の美しさは格別ですが、かなり危険な場所です。
断崖絶壁の崖上に突き出した岩が「イグアナ岩」。一歩足を踏み外せば70メートル崖下に転落します。
転落事故の報告はありませんが、インスタ映えを狙ったイグアナ岩での危険行為も散見さていました。
実際に行ってみると、写真で見る以上に身の危険を感じます。
「スリル満点」なんてポップな表現ではたりません。普通に命の危険を感じます。
岩の先端まで行って写真を撮る若者もいるようですが、私は恐くて岩に一歩踏み出しただけで足が震えました。
風が強い日、足元がぬかるんでいる日はかなり危険です。
立ち入り禁止の経緯
「イグアナ岩」は有名になりすぎてしまいました。
元々は知る人ぞ知る超穴場スポットでしたが、SNSで写真が拡散され、場所を解説するウェブページが登場し、誰でも簡単に行ける場所になってしまいました。
立ち入り禁止が決まったのは2020年11月頃。
沖縄県・宮古島市・宮古島観光協会など、行政機関を中心に構成される「宮古島観光推進会議」で「安全性が確保できていない」ことを理由に立ち入り禁止が決まりました。
宮古島の行政は動きがのんびりしています。
よほどのことがない限り、手つかずの野放しの場所を閉鎖にするような措置はとりません。
「ここは県の管轄だ」「市の管轄だ」などと責任を押し付け合って、管理を放棄している場所も多々あります。
「イグアナ岩」は柵を作るなど安全性を確保し、観光スポットとして整備する案もあったようですが、立ち入り禁止となりました。
2021年2月時点に立ち入り禁止の看板が設置されました。
「イグアナ岩」の入り口は一周道路沿いの茂みの隙間の1ヶ所なので、この場所を封鎖すれば中には入れません。
とはいえ、看板が置かれただけなので、立ち入り禁止後も観光客は普通に中に入っています。
イグアナ岩の入り口付近には毎日レンタカーが止まっています。
地元の反応
宮古島に移住し5年以上暮らしている私。
観光客と地元民の考え方のギャップを毎日感じながら生きています。
「イグアナ岩」立ち入り禁止は多くの観光客・宮古島ファンにとってショックな出来事。
「イグアナ岩」知っている島外の人のほとんどは残念に思ったことでしょう。
地元の反応は全く違います。
そもそも、地元の人は「イグアナ岩」を知りません。
「イグアナ岩が立ち入り禁止になった」と言われても、島の人たちは「どこ?」と聞き返して来るはずです。
「伊良部島の北海岸の断崖絶壁の展望スポットで安全性が確保されないから立ち入り禁止」と説明すれば「よかったさ。危ない場所は観光客入れない方がいいさ~ね」と答えるでしょう。
観光客が事故に遭うことほど迷惑な話はありません。
宮古島では毎年水難事故で観光客が亡くなります。レンタカーがらみの交通事故も多いです。
島の人たちにとっては自分たちの静かな暮らしが大事。
水難事故で人が亡くなれば、何よりも先に観光客か地元の人かを気にします。観光客なら「よくある事故」ですが、地元の人となれば大変です。
観光客によって島が豊かになることは歓迎すべきことですが、名もなき危険な場所の情報がネットで拡散され、勝手に「イグアナ岩」と名前を付けられているだけでも、腹が立ちます。
そこで危険行為をしている人の写真を見れば「バカじゃないの」と怒り心頭です。
個人的に思うこと
宮古島移住者の私は、観光客と地元の人の気持ち、どちらもわかります。
移住年数が長くなるほど、地元の人の感覚に近づいて行きます。
宮古島移住歴が長い人は、島の人たちのような価値観で暮らしています。
観光客感覚で生活をしている人の移住生活は長続きしません。
「イグアナ岩立ち入り禁止」の一報を聞いて「よかった」「どうでもいい」と思える移住者は、島になじんで暮らしています。この島で生きていける素質があります。
「イグアナ岩立ち入り禁止」の一報を聞いて「最悪」「閉鎖される前に早く行かなきゃ」と思った移住者は、この島に全く染まれていません。
染まらずに生きていけるほど離島での移住生活は甘くありません。
島に染まれない人は、いつしか孤独を感じるようになります。
いつまでも「自分」が主語だと移住生活は破たんします。
「自分が美しい海を見たい」
「自分の一度きりの人生だから」
「自分がイグアナ岩で写真を撮りたい」
宮古島移住1年目は、自分の心を満たせば満足できます。移住生活が長くなると自分と向き合っていてばかりでは苦しくなります。
島には美しい海はありますが、できないことも多いです。いつまでも自分が大事な人は、島で浮き、不満を抱え、島を出て行きます。
島の一員として、島の歯車の一部として、島のルールを尊重し、島の人たちと関わりながら生きられないなら、移住しても長続きはしません。
消えゆく絶景スポット
観光客が急増している宮古島。特に伊良部大橋開通後、観光客が激増している伊良部島では絶景スポットが次々に立ち入り禁止になっています。
伊良部島と小さな橋でつながる下地島の絶景スポット17endは2019年に車両立ち入り禁止になりました。
17endは下地島空港北西側の滑走路の外周道路。
イグアナ岩と同様SNSで情報が拡散され、超穴場スポットから定番スポットになってしまい、外周道路は車で溢れるようになりました。
大型観光バスまで乗り入れるようになったことから、下地島空港の定期便が復活した2019年3月に車両立ち入り禁止となりました。
現在でも車両立ち入り禁止は続いていますが、歩いてなら入れます。
2020年には外周道路の入り口付近に宮古島市が車10台分の駐車スペースを設置。車を止めて歩いて散策するのが観光客の定番コースになっています。

イグアナ岩から100メートルほどはなれた場所にある「三角点」も立ち入り禁止が決まりました。
イグアナ岩と同じく伊良部島北海岸の断崖絶壁の展望スポット「三角点」
イグアナ岩と同時期にSNSで情報が拡散され、多くの人に知られるようになり、危険行為も散見されていました。
2019年頃、宮古島市が「崖の先端での危険行為はしないで」と看板を設置。看板設置後も立ち入り禁止措置は取られていませんでしたが、イグアナ岩と同じタイミングで立ち入り禁止が決まりました。
イグアナ岩同様かなり危険な観光スポットです。

絶景を見るなら
イグアナ岩や三角点に行かなくても伊良部島北海岸の美しい海を眺められる場所はあります。
最も有名なのは「サバウツガー」
「ガー」は宮古島の方言で「井戸」の意味です。
伊良部島の佐良浜集落の外れにあるサバウツガー周辺からは安全に伊良部島の北海岸の海が見えます。
近くに広場や東屋があり、海沿いには柵も設置されている安全な場所です。
サバウツガーは集落の人たちの命の源となっていた井戸。
美しい海が見えるだけでなく、伊良部島の歴史ロマンも感じられる場所。
井戸へ降りる階段が設置されていて、自由に出入りできます。
まとめ
宮古島・伊良部島の絶景スポット「イグアナ岩」が立ち入り禁止になりました。
断崖絶壁の崖上にあり以前から危険性が指摘されていましたが、ついに立ち入り禁止となります。
あまりに有名になりすぎた「イグアナ岩」
SNS時代の宮古島では今後も「絶景スポットが発掘されては閉鎖される」という悲劇が繰り返されそうです。

