宮古島在住のshimagurashiです。
ついに恐れていたことが現実になってしまいました。
宮古島の家賃バブルが崩壊しました。
開発ラッシュがピークを越えたタイミングでコロナショックが宮古島を直撃。アパートの需給バランスが逆転し、空室が急増しました。
不動産屋の賃貸物件情報には、バブルの狂乱に取り残された物件が溢れています。
宮古島家賃バブルの背景
これまでにない好景気で「バブル」と表現されてきた宮古島経済。
下地島空港新ターミナル、宮古島市のドーム施設、陸上自衛隊基地、民間の複数の大規模リゾートホテル、アパート建設ラッシュ。
公共工事と民間の開発が重なり、2018年~2019年、宮古島の建築業界は異常な盛り上がりを見せました。
建築作業員が足りず、大量の労働者が海外・県外から宮古島に入ってきました。
県外からの労働者には、地元の職人よりも高い日当が支払われました。日当3万円の現場もありました。
出稼ぎ組の建設作業員の寮として、アパートの部屋が建設業者によって大量に抑えられました。
当時宮古島には単身用のアパートが少なく、ファミリータイプのアパートで複数の職人が暮らしたり、一軒家が寮として使われたりしていました。
アパート需要が急速に高まり、宮古島はアパート不足に陥りました。
アパート不足は2017年頃から始まり、2018年には不動産屋のホームページから賃貸物件が消えました。
空き物件ゼロが続き。「2年待ち」「70人待ち」の異常事態となりました。
アパート・コンテナハウス建築
アパート不足に対応するため、宮古島では新築アパート・コンテナハウスの建築が加速しました。
以前はほとんどなかった単身タイプのアパートが次々に完成。
宮古島では台風対策でアパートの大半は鉄筋コンクリート造でしたが、バブル期には木造アパートも増えました。
短時間で建築でき、コストがかからないコンテナハウスも急増しました。
「宮古島バブル」が投資家の間で注目され。アパート・コンテナハウスは増える一方。
バブルがピークを迎えた2019年夏まで、アパートの空室はすぐに埋まる状態。
新築アパートの家賃は1Kで10万円を超え、本来の家賃相場の2倍以上に高騰していましたが、完成前に全ての部屋が完売するほどの異常事態。
家賃が高くても入居率は100%。2019年夏までに完成したアパートのオーナーは宮古島バブルの「勝ち組」です。
家賃値上げ
アパート不足に便乗した家賃の値上げも問題になりました。
アパートの入居者に対し、大家と不動産会社が共謀して家賃の値上げを通知。
入居者は住んでいるアパートを追い出されると引っ越す場所がないので、値上げを受け入れるしかありませんでした。
「来月から3万円値上げ」など、悪質なケースも目立ちました。
一部の不動産屋は、アパートオーナーに対し、積極的に家賃値上げを働きかけていました。
家賃値上げのピークは2018年後半から2019年夏頃。
2020年に入ってから家賃が上がったという話は聞きませんが、2019年に上がった家賃は据え置きのまま。
住民は「給料は上がらないのに家賃は上がる」という事態に直面。
「1人暮らしができない」「結婚したのに親と同居」など、間接的に家賃高騰の影響を受けた人も少なくありません。
コロナショック以前
コロナショック前から、宮古島バブル崩壊を指摘する声はありました。
急速に膨れ上がったバブルは、急速にしぼむリスクを秘めています。
宮古島の建設ラッシュのピークは2019年。
下地島空港ターミナル建設、陸上自衛隊基地建設の2つの大型プロジェクトが2019年に終了。
施設の完成と共に、出稼ぎ組の職人たちが宮古島から帰っていきました。
アパート需要が落ち着き始めた一方で、アパート・コンテナハウスの建設ラッシュは続いています。
2020年に入っても、次々に新築アパートが完成。現在建設中のアパートも目立ちます。
2020年夏の段階で、4階建て以上のアパート建築現場が少なくとも10ヵ所。2階建ての木造アパート建築現場が10ヵ所ほどあります。
コロナショック
バブル崩壊の予兆を見せていた宮古島をコロナショックが直撃。
退去者が増えたことでアパートの需給が逆転。家賃バブルは崩壊しました。
2002年4月頃から空室が増えはじめ、2020年6月現在、不動産屋ホームページの賃貸物件欄には空室情報が溢れています。
当初は家賃相場を大きく上回る新築アパートの空室が目立ちましたが、家賃相場並の物件も出始めています。
宮古島の本来の家賃相場は、1Kで3万~4万円台。3DKで5~6万円台。
私が住むアパートは築20年以上、3DKで家賃6万円。バブル期は満室が続いていましたが、今は空室もあります。
今までは空室が出ればすぐに次の人が入ってきていましたが、1ヶ月以上空室が続いている部屋もあります。
新聞広告には、新築アパート入居者募集のチラシが入るようになりました。
オーナーの悲劇
今後状況はさらに悲惨になります。
コロナが落ち着けば宮古島に観光客は戻ってきますが、開発ラッシュは戻ってきません。
コロナに関係なく、今後宮古島のアパート需要が増える見込みはありません。
宮古島では単身タイプの新築アパートが次々に完成していますが、住む人がいません。
完成して未入居のまま放置されているコンテナハウスもあります。
アパートの建築現場を見るたびに「こんなに建てて住む人はいるのか」と不安になります。
現在建設中のアパートはバブル期に工事が行われているので、建築費が高騰しています。
高い家賃で貸し出せれば建築費も早めに回収できますが、入居者がいるかどうか。
家賃を下げるも地獄。家賃を下げずに空室を出すも地獄。
アパ―トオーナーは難しい判断を迫られています。
新築アパートそのものを売りに出すオーナーも出始めています。
移住チャンス到来
家賃バブル崩壊はアパートオーナーにとっては悲惨ですが、借り手にとっては悪い話ではありません。
高すぎる家賃を理由に宮古島移住を先延ばしした人もいます。
宮古島に移住するなら、家賃が落ち着いて来た今は狙い時とも言えます。
私が今賃貸アパートを借りるなら、新築物件は避けます。
バブル期に建った新築アパートは建築費が高い分家賃が高騰しています。相場を大きく上回る家賃を支払ってまで、新築物件に住みたいとは思えません。
物件の新しさにこだわらなければ、今なら必ず家賃相場通りのアパートが見つかるはずです。
移住希望のあなたへ
宮古島に移住するならアパート暮らしから始めるのがオススメです。
実際に生活しなければ宮古島の全体像はつかめません。
一軒家に住みたくても、アパート暮らしを3年ほど続け、宮古島のエリアごとの地域性や移動の便利さを理解してから住む場所を決めるのがベターです。
宮古島移住者の半数は3年以内に宮古島から帰っていきます。いきなり家を建てるのはリスクが高いです。
「海が見える新築アパートに暮らしたい」というミーハーな移住者ほど、移住生活は長続きしません。
「古くても汚くても、住めればいい」というタイプの人の方が、宮古島移住には向いています。
宮古島に長く住みたいなら、島の人のように、欲をなくし、生活の中の小さな幸せに喜びを感じ、島に感謝して生きることです。
「新築アパートでの快適な暮らし」や「オーシャンビューの優越感」のような目先の喜びを優先させる人は、宮古島移住には向いていません。
どこかのタイミングで宮古島に飽きるか、宮古島が嫌いになって帰っていきます。
まとめ
宮古島の家賃バブルは崩壊しました。
コロナショックでアパートの需給バランスが逆転し、空室が急増。
アパートオーナーは家賃を下げざるを得ない状況です。
今後も次々に完成予定の宮古島のアパート。宮古島の未来はどうなってしまうのか。不安が募るばかりです。