宮古島に木造アパートが急増している理由

宮古島移住者のshimagurashiです。

台風被害が大きい宮古島ではアパートも戸建住宅も鉄筋コンクリート造が定番です。

宮古島バブルと言われ、建設ラッシュで盛り上がった2018年~2020年、宮古島には木造アパートが急増しました。

宮古島に木造アパートが急増している理由、地元の反応をまとめました。

宮古島のアパート事情

宮古島ではアパートも住宅も鉄筋コンクリート造が定番です。

1950年代~60年代の台風で、宮古島の木造住宅の多くが壊滅的な被害を受けました。

これ以降、島の人たちに「木造は危ない」というイメージが広がり、戸建て住宅も鉄筋コンクリート造で作る流れが加速しました。

宮古島の観光開発が進むにつれ、アパート需要が高まり、1980年頃から盛んにアパート建築が行われるようになりました。

全国的に見てもアパートは鉄筋コンクリート造が主流。都会には一部木造アパートもありますが、宮古島では台風対策でほぼ全てのアパートが鉄筋コンクリートで作られました。

「宮古島はアパートも住宅も鉄筋コンクリート造」という流れが変わり始めたのが2018年頃。島が「宮古島バブル」と言われ始めた頃です。

宮古島はこれまでにない建設ラッシュ。自衛隊駐屯地、空港ターミナル、大型リゾートホテル、アパート建設が重なり、建設業界は人手不足に。

島外から入ってくる建設作業員やホテル従業員の急増で、宮古島は極端な賃貸物件不足に陥りました。

どの不動産屋もアパートの空き部屋はゼロ。建設業者や新規オープンのホテルは島外からの人材確保に苦慮し、従業員を住ませるためのアパートの確保に苦労しました。

この流れに乗って、宮古島にアパート建設のビッグウェーブが到来しました。

【宮古島市の住宅(アパート含む)着工数】
2016年度 404戸
2017年度 899戸
2018年度 1680戸
(国土交通省住宅着工統計より)

2018年頃から市街地エリアに次々とアパートが建設され、投資家に販売されています。

賃貸空き物件不足で家賃が高騰し、新築アパートはワンルーム10万円でもすぐ入居者が決まる異常事態に。

バブルの宮古島は建設費も高いので、高い家賃を取らなければ投資家は資金回収できません。

2019年末まではバブルの狂乱が続きましたが、宮古島の建設ラッシュは2019年夏をピークに落ち着きつつあります。

2020年に需要と供給が逆転。

2019年末には賃貸物件が一件もなく、家賃は高騰する一方でしたが、2020年末には新築未入居の物件情報が不動産屋のホームページに溢れています。

「バブルで儲けられる」と宮古島の物件に手を出した投資家は「天国」と「地獄」に二極化。

2018年頃完成したアパートのオーナーは、高い家賃での賃貸に成功しウハウハ。2020年に完成したアパートオーナーは、建築費高騰による高額投資を回収できるのか、不安で仕方ないはずです。

2020年は日本を新型コロナウイルスが直撃した年。

元々「宮古島バブルは長続きしない」という声が島内にはありましたが、コロナはバブル減速に拍車をかけました。

宮古島の投資家の中には「あと1年早く建てていれば」と悔しさをかみ殺している人がたくさんいるはず。

2020年末時点でも次々に新築アパートが完成していますが、すぐには入居者は決まりません。

木造アパートの投資話


宮古島で木造アパートが見られるようになったのは、2018年頃~。

宮古島バブルの成長が加速し始めたタイミングです。

首都圏を中心に不動産コンサルティングを手掛ける「三光ソフラン」が投資用物件として宮古島に木造アパートを作り始めました。

2018年に三光ソフランの衝撃的な計画が明らかになりました。

当時の計画は、賃貸アパート130棟、宿泊施設70棟、合計1500室分を建設するという大規模なもの。

宮古島最大手の不動産会社「住宅情報センター(アパマンショップ)」の仲介で宮古島の土地を大量購入し、木造アパートを建設し始めました。

当時の宮古島には勢いがありました。

ホテル作業員、建設作業員の急増で、家賃が高くてもアパートの空室がすぐに埋まっていた時代。

全国の投資家に宮古島の木造アパートの投資話がもちかけられました。

三光ソフランの当時の計画は年間40棟ずつ、5年間で200棟を建設するというもの。

当初の計画に比べて少し遅れている印象がありますが、2020年末時点で宮古島に100棟ぐらい木造アパートが建設されています。

宮古島に住んでいる私。木造アパートの急増に驚くばかりです。

「家の近くに木造アパートができた」と思っていたら「職場の近くにも木造アパートができてる」となり、気が付けば「ここもあそこも木造アパート」という状態に。

木造アパートが5〜10棟密集して建設されている場所もあります。

鉄筋コンクリート造に比べれば、まだまだ少ないですが、かなり増えている印象です。

宮古島の新築アパートは、サトウキビ畑だった場所に建てられることが多いです。「この畑も、この畑もアパートになってる!」と驚きの連続です。

木造アパートも2018年頃は完成すればすぐに入居者が埋まる状態でした。

需要と供給が逆転した2020年は、鉄筋コンクリートのアパート同様、すぐには入居者は決まりません。

地元の反応

最近では木造アパートや木造住宅が急増している宮古島ですが、島の人たちの「木造は危険」というイメージは簡単には払しょくされていません。

島の人たちの中には木造住宅や木造アパートに住み始めている人はいますが、抵抗がある人の方がまだ多いです。

宮古島バブルの時期、島の人たちは「一人暮らししたくてもアパートがない」「結婚しても住む家がない」という状況でした。

バブルが終わり、空き物件が増え始めましたが、地元の人は木造は敬遠しがちです。

「新築の木造アパート」よりは「築20年ぐらいの鉄筋コンクリートアパート」を選ぶ傾向にあります。

木造は鉄筋コンクリート造より建築費が安い分家賃は安く設定されています。

家賃は・・・新築鉄筋コンクリート>新築木造>築20年の鉄筋コンクリート

島外から宮古島に働きに来る人、宮古島に移住して来る人は、新築できれいな木造を選びますが、島の人たちは選びません。

本人はよくても、親やオジーオバーに「木造はやめとけ」と説得されるパターンもあります。

木造のメリット


木造住宅・アパートのメリットをオーナー・住人目線でまとめました。

建築費

木造は鉄筋コンクリート造に比べとにかく建築費が安いです。

宮古島で木造住宅を建てた知人によると、建設費は鉄筋コンクリート造の2分の1。

同じ金額で2倍の広さの家が建ったようです。

バブルの宮古島では鉄筋コンクリート造の建物を作るための資材費が高騰しました。

木造アパートを建てているのは県外業者。独自のルートで木造アパートを建てるための建設資材を島に持ち込んでいるので、バブルによる資材費高騰の影響は鉄筋コンクリート造に比べれば抑えられています。

施工期間

施工期間が短いのも木造の魅力です。

木造アパートは早ければ3ヶ月で完成します。

宮古島の木造アパートも、あっという間に次々に完成しています。

宮古島で作られている木造アパートの多くは、建物を支える柱と梁を木で作り、既に完成した状態の床や壁をはめこんでいく作り方。

木の骨組み完成後一週間ぐらいで壁や床があっという間に取り付けられています。

建築ラッシュの宮古島では、島の業者は複数の現場を掛け持ちしていてなかなか工事が進みませんが、木造を集中的に建てている県外の建築業者は一極集中なので工事もスムーズです。

居住性

私は宮古島で5年以上鉄筋コンクリート造のアパートに住んでいます。

建物の強度があるのは安心材料ですが、風通しが悪く、室内に熱がこもり、夏はとにかく暑いです。

室内にいる方が外の日陰よりも暑い日もあります。

コンクリートに囲まれて暮らす圧迫感を無意識のうちに感じることもあります。

木造は木が湿度の調整をしてくれるので、室内空間は鉄筋コンクリートよりも快適。

宮古島は湿度が高く、鉄筋コンクリート造の建物はカビの被害も多いですが、木造だとカビ被害のリスクも低いです。

木造のデメリット


宮古島で木造が敬遠されてきた大きな理由は「台風」と「白アリ」です。

台風

1950年代~60年代、宮古島の木造家屋は台風で壊滅的な被害を受けました。

当時からは50年以上たち、耐震基準が見直され、建築技術が向上しているため、木造住宅やアパートも台風が来ても簡単には壊れません。

瓦屋根はすぐに飛ばされるので、宮古島の木造アパートに瓦はありません。鉄筋コンクリートと同じように陸屋根と呼ばれる平らな屋根です。瓦のない三角屋根の木造アパートもあります。

宮古島の木造住宅建設業者は「沖縄本島で当社の家は風速60メートルに耐えました」などと宣伝して販売されています。

風速60メートルは猛烈な風です。一部の車やコンテナが横転し、街路樹や電柱が倒れる、おそろしい風です。

風速60メートルに耐える木造住宅はかなり強いです。

でも・・・

もし想定を上回る台風が来たら・・・。

その時木造住宅・アパートが風に耐えられるかは正直わかりません。

1966年に宮古島を襲った「第2宮古島台風」は日本の観測史上1位、瞬間最大風速85.3メートルを記録しています。

島の人たちの記憶に強く残っているは2003年の台風14号。最大瞬間風速74.1メートルを記録。電柱がバタバタ倒れ、大型トラックが横転し、島は一週間停電しました。

台風14号に襲われた当時、木造住宅・アパートは宮古島にほとんどありませんでした。

毎年の台風に耐えられたとしても、50年に1度、100年の1度の台風に耐えられるかは未知数です。

台風の風そのものには耐えられるかもしれません。風そのものよりも、風で家に向かって吹き飛ばされてくる物が恐いです。

もし台風で電柱が倒れて来たら、もし台風で吹き飛ばされた車が家の壁を直撃したら。

想定外まで考えると、全く被害の心配がないなんてことはあり得ません。

もちろん木造に限らず、鉄筋コンクリート造の住宅・アパートも電柱や車が直撃すれば被害が出ますが、被害の規模は違うはずです。

木造アパートに住むだけなら、50年に1度レベルの台風襲来時には避難所で耐えしのぐ手もあります。

木造アパートのオーナーは台風の損害を補てんしなければなりません。

「木造が危ない」というイメージが払しょくされていない宮古島で木造アパート投資に手を出すには相当勇気がいります。

白アリ

高温多湿の宮古島では白アリの被害が激しいです。

木造は特に危険。木造住宅・アパートは白アリ対策は必須です。

鉄筋コンクリート造りの住宅でさえ、早ければ20年ぐらいで白アリの被害が出ます。

建築時の白アリ対策に加え、定期的なメンテナンスが必要です。

白アリは地中からやってきます。

宮古島では白アリ対策で鉄筋コンクリート造の家も地面と床の間に空間を作り、風を通して湿度を下げ、白アリが嫌う環境を床下に作り出します。

宮古島の木造アパートに投資するなら、台風対策のメンテナンス、白アリ対策のメンテナンス等、メンテナンス費もある程度覚悟が必要です。

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まとめ

宮古島バブルの波に乗って島には木造アパートが急増しています。

木造アパートは建築費が安く、施工期間が短く、家賃を安く設定できます。

居住性は鉄筋コンクリートより良く快適に暮らせますが、台風や白アリ被害への不安から地元の人からは敬遠されがちです。

今後宮古島に木造アパートが定着するか注目です。

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