宮古島移住者のshimagurashiです。
宮古島には地元企業もあれば島外資本の企業もあります。
地元企業は宮古島の人が経営者で従業員も島の人が多いです。
島外企業は島外に本社があり、移住者の採用にも積極的です。
宮古島の地元企業と島外企業の特徴、移住者の失敗パターンをまとめました。
地元企業と島外企業
人口5万5千人の宮古島。
人口規模は小さいですが、観光産業が盛んなので企業数は多いです。
宮古島市の統計では、宮古島の事業所数は3000を超えています。
宮古島商工会議所には毎月約10社のペースで新しい会員企業が登録されています。
企業の事業は多岐にわたります。
地元企業が多い業種
【医療】
内科
耳鼻科
産婦人科
歯科
眼科
耳鼻科
整骨・接骨
マッサージ
薬局
動物病院
健康器具販売
介護用品販売
老人ホーム
介護施設
在宅介護サービス
【暮らし】
ガス販売・ガス器具
ガソリンスタンド
金物店
自動車販売
自動車板金
自動車部品・タイヤ
中古車販売・車買取
自動車解体
洗車場
バス・観光バス
タクシー
運転代行
クリーニング
コインランドリー
清掃業
ドラッグストア
コンビニエンスストア
新聞社
生花店
葬儀場
【住む】
設計業
建築業
増改築リフォーム業
鉄筋鉄鋼
不動産業
畳・ふすま
ガラス・アルミサッシ・シャッター
造園
建築材料
屋根工事
足場工事
電気工事・電話工事
白アリ・害虫駆除
【造る】
農機具販売
農機具修理
青果店
精肉店
鮮魚店
酒屋
食品卸業
弁当販売
島外企業が多い業種
スーパーマーケット
レンタカー
ホテル
民宿
ペンション
ダイビング業
全体的な傾向として暮らしと密接にかかわる業種は地元企業が多く、観光客がターゲットの業種は島外企業が多いです。
地元企業・島外企業が共存する業種
運送業
土産物店
食堂
カフェ
居酒屋
スーパーマーケットのうちサンエー・かねひでは沖縄本島に本社があり、沖縄で複数店舗を経営しています。ドンキホーテ・マックスバリュは全国チェーンです。
運送業はクロネコヤマト、日本郵便、佐川急便など大企業の営業所が宮古島にあります。貨物船の荷物を取り扱う海運会社(宮古港運・平良港運)は地元企業です。
食堂・カフェ・居酒屋は地元の人がターゲットの店は地元経営者が多いです。観光客がターゲットの店のオーナーは移住者と地元出身者が半々ぐらいです。
地元企業は狭き門
前提として地元企業はなかなか移住者を採用してくれません。
宮古島の地元企業のほとんどは、従業員50人以下の小規模です。社員の新規採用を何年もやっていない会社も多いです。
年間0人~2人ぐらいしか採用しないので、その採用枠に移住者が入るのは至難の業。
会社の規模が小さければ小さいほど従業員同士の結びつきが強く、クセのある人は採用したがりません。
社員1000人の会社なら、社員の1人が逮捕されても大きな影響はありませんが、従業員10人の会社で社員の1人が逮捕されたら大問題です。
従業員数が少ない企業ほど、採用試験では受験生の素性を気にします。
どこの出身か。親は誰か。親の仕事は。兄弟は何人いるか。兄弟の仕事は。独身か既婚か。子供はいるのか。
地元企業が地元出身者を採用する時でさえ素性を気にします。
平良第一小、平良中、宮古高校出身。高校時代は野球部。高校卒業後沖縄本島の大学に進学。沖縄本島の印刷会社で5年働く。長男なので30歳手前で宮古島に帰ることにした。父は宮古島市役所の公務員。母はサンエーのパート。弟が宮古島の運送会社で働いている。既婚。未就学児の子供が2人。
これぐらいの情報があれば、安心です。具体的に親の顔と名前が一致するとさらに加点されます。
当然ですがコネ採用もあります。「コネ採用」という言葉にはマイナスの響きがありますが、「素性が分かる」という点ではコネ採用に勝る安心感はありません。
宮古島に縁もゆかりもない移住者を採用するよりは、地元でコネ採用した方がよほど安心感があります。
特殊な技術を持っていて、誰が見ても職場に貢献してくれそうな人材なら移住者と地元企業が相思相愛になれますが、技術のない移住者は簡単には地元企業に就職できません。
移住者が地元企業で働くメリット
移住者が地元企業で働く一番のメリットは宮古島での人脈が広がること。
宮古島に縁もゆかりもない移住者でも地元企業で5年も働けばかなり人脈が広がります。
島の人たちとの人脈が広がることで島のことをより深く知れるようになります。
人脈が広がる一番のきっかけになるのは職場です。
職場の同僚とは毎日のように顔を合わせます。同僚が島の人なら、島の人の考え方、性格、島の人たちが大切にしているルールをより深く理解できます。
宮古島移住生活は甘くはありません。島になじめずに帰っていく人も多いです。
島に残るのは、島の文化・ルールを理解し、尊重し、島の人たちが大切にしている考え方を守れる人。「郷に入れば郷に従え」を実践できる人です。
「郷」を理解するには、地元企業で働くのが一番の近道です。
宮古島は人と人との距離感が近い島なので、地元企業で働くと、同僚の家に招かれたり、同僚の子供のお祝いの席に顔を出したり、家族ぐるみの付き合いが生まれたりします。
島で土地を買ったり、家を建てたり、車を買ったり、車を修理したりする時、地元の人にアドバイスをもらえれば心強いです。
地元企業では移住者は最初のうちは心を開いてもらえませんが、一生懸命働き、同僚の信頼を得れば、移住生活はより味わい深いものになります。
移住者が地元企業で働くデメリット
宮古島は薄給の島。
沖縄県の給料水準は全国平均の3分の2と言われています。宮古島はさらに低いです。
地元企業・島外企業とも給料は少ない。島外企業は稀に高給のところもありますが、地元企業はほぼ確実に薄給です。
初任給は16~18万円ぐらい。宮古島には中途採用という概念がありません。
30代の移住者でも最初の給料は額面で16万~18万円です。
私も宮古島に移住したことで給料が激減しました。手取りのあまりの少なさに給料明細を見るたびにテンションが下がります。
休みが少ないのもデメリットです。
宮古島の地元企業で週休2日が確保されている職場はほぼありません。
島の人たちは土曜日は基本的に働いています。
週休1日の職場や月休6日の職場が多いです。
「離島だから週休1日でも仕事がのんびりしているから大丈夫」と甘い考えを持っていると壁にぶつかります。
島での仕事は決して楽ではありません。島のルール、仕事のルールをいちから覚えなければなりません。夏の暑さはかなり体力を消耗します。
ボーナスがない会社、残業代が出ない会社も普通にあります。
地元企業だと飲み会の席での振る舞いで怒られたり嫌われることもあります。
島の人たちと働くことはメリットにもなる一方でデメリットにもなります。
人間関係に失敗したり、職場のルール、宮古島独特のルーズさを受け入れられないとストレスがたまります。
仕事をしない人、仕事をサボる人、サボる人をスル―する人・・・。
宮古島の地元企業には働き者もいれば、サボり癖が定着している人もいます。
島の人は島の人に優しいので、仕事ができない人を許し、無言でカバーしてあげます。
移住者もこのルールには従わなくてはなりません。「自分の仕事が忙しいのに、人の仕事までやってられるか」という発想だとストレスがたまり、職場で孤独になっていきます。
宮古島の地元企業は良くも悪くも従業員間の距離感が近いです。全員が親戚のような関係です。
互いに許し合う心がなければ地元企業ではやっていけません。
移住者は最初のうちはなかなか心を開いてもらえません。仕事で成果を出し、飲み会の席で積極的にコミュニケーションをとり、プライベートでの付き合いにまで広げられれば、島の人たちも少しずつ移住者を信頼して仲間にしてくれます。
移住失敗パターン(地元企業の場合)
宮古島の地元企業で働く移住者は、人間関係につまずいて失敗することが多いです。
宮古島の人たちはあたたかいですが、島の人たちと働くなら、あたたかさだけではない、島の人たちのルーズも受け入れる必要があります。
几帳面なタイプの人、自己中心的な人は、地元企業ではストレスがたまります。
「この人とは働きたくない」「ストレスたまる」「休み少ないのに給料少ない」とマイナス面を意識しだすと、不満が止まらなくなり、職場を嫌いになり、島を嫌いになり、島には住んでいられなくなります。
島外企業は移住者に寛容
島外資本の企業は移住者に寛容です。
本社が本土にある企業だと、経営陣は本土の人たち。従業員も移住者が多いです。
島外出身者が採用時に不利を被ることはありません。
地元企業は同じスペックの地元出身者と移住者がいれば間違いなく地元出身者を採用します。
島外企業が出身地で差をつけることはありません。
移住者が島外企業で働くメリット
移住者が最初に働く職場としては島外企業の方が地元企業よりハードルが低いです。
職場の先輩・同僚が同じ境遇の移住者なので、簡単に打ち解けられます。
移住者用の寮を確保している島外企業も少なくありません。
宮古島最大のリゾート企業「南西楽園リゾート」は東京に本社がある「ユニマットプレシャス」の子会社。毎年100人単位のスタッフを採用しています。寮生活のスタッフが多いです。
「南西楽園リゾート」は宮古島で30年以上リゾート業を運営している大企業。
宮古島バブルの波に乗って2020年前後には次々に新しいホテルを開業し、従業員用の寮もバンバン建っています。
寮付きの職場だと、宮古島での仕事と住居が一度に手に入るので、地元企業で働くよりは身軽に宮古島に移住できます。
移住者が島外企業で働くデメリット
島外企業だからといって給料が高いわけではありません。初任給は16万~18万円ぐらい。
本社と宮古島の給与体系そのものが違う企業もあります。
本社の社員の給与水準が宮古島の現地採用よりも3割ほど高いリゾートホテルもあります。
ホテル・レンタカー・居酒屋など、島外企業は観光客を相手に商売しているので、時間が不規則になりがち。
給料が少ない上に夜勤で体力を消耗すれば精神的にもきつくなってきます。
島外企業は地元企業に比べると従業員の入れ替わりが激しいです。
本社から派遣されるスタッフも入れ替わりますし、地元採用の若いスタッフが定着せず離職するケースもあります。
ホテルだとリゾートバイトで期間限定で働きに来ている人たちもいます。
従業員の入れ替わりが激しいと、業務の引き継ぎが煩雑で忙しくなりがち。
「業務を引き継いだ後輩がいなくなって、別の後輩に引き継ぐ」「いなくなった後輩の仕事を引き受ける」みたいなこともあります。
人の入れ替わりが激しいということは、島を離れる人の送別会も多いということ。
移住生活が順風満帆なら問題ありませんが、移住生活に不満がたまってくると、島を離れる同僚を見送る度に「自分も帰ろうかな」という発想が頭によぎります。
宮古島の島外企業の中には「ブラック企業」と噂されている職場もあります。
観光関連業は時間が不規則で残業も増えがち。
宮古島に移住したのに死んだ魚のような目をして日々の業務に追われ、家と会社の往復だけで毎日が過ぎて行ってしまっている移住者もいます。
移住失敗パターン(島外企業の場合)
島外企業で働く移住者は宮古島に片足を突っ込んだ状態。
宮古島にどっぷりつかるには自らの意志で人脈を広げる努力が必要です。
宮古島にどっぷりつかれる人は島に残ります。宮古島に片足を突っ込んだままの人はいつか島を離れて行きます。
三線教室に通ったり、トライスアスロンを始めたり、地域のボランティアや青年会活動に参加したり。
職場以外での人脈を広げることができれば、島をより深く理解できます。
宮古島には独特の文化・風習があります。
島外企業では宮古島ルールに関係なく働けますが、長く宮古島で暮らすなら「島のルール」を理解し、尊重することは避けては通れない道です。
旅行者気分で宮古島を楽しめるのは最初の1年だけ。
2年目からは現実がのしかかってきます。
少ない休日、薄給、仕事のストレス、、、
マイナス面を上回るぐらいの「島の魅力」見つけなければ、島暮らしは長続きしません。
「海がきれい」だけでは1年しか持ちません。
SNSで「海が超きれい」「人生は自由だ」「移住しました」などと自慢している人ほど、宮古島での生活は長続きしません。
まとめ
宮古島で移住者が働くなら地元企業と島外企業どっちがいいかをまとめました。
地元企業は狭き門。給料が少なく、休日も少なく、島の独特のルールを守ることが求められます。
島外企業は移住者に寛容。従業員の入れ替わりが激しく、仕事の不満が募ると「島を離れる」選択肢が現実味を帯びます。
地元企業で働くにしても、島外企業で働くにしても「郷に入れば郷に従う」覚悟がなければ移住生活は失敗します。