沖縄の離島、宮古島に移住して5年のshimagurashiです。
移住希望者が陥りがちな落とし穴は「移住するかどうか」を悩みすぎること。
実際は「移住すること」よりも「移住先でハッピーに生活すること」の方が大変です。
「どうやって移住するか」よりも「移住先でどうやって生きて行くか」が大問題。
移住成功のキーワードは「移住して何年?」です。
移住先で現地の知らない人から「移住して何年?」と聞かれるようになると移住者は一人前。
何気ない質問ですが、簡単には聞いてもらえません。私は5年かかりました。
閉鎖的な島
私が移住した沖縄の離島、宮古島は人口5万5千人の小さな島。
東京から2千キロ、沖縄本島から3百キロ離れています。
最近では観光客が増え、リゾートアイランド、楽園、癒しの島との言葉が独り歩きしていますが、実情は閉鎖的な田舎の島です。
移住先として人気の土地はたいがい田舎なので、日本全国どこに移住しても同じだと思いますが、田舎は基本的に閉鎖的です。
表面上は外から来る人を受け入れますが、簡単に心は開きません。
宮古島に移住したての頃、島の人から「どこから来たの?」とよく聞かれました。
なぜそんなに気にするんだろう?と疑問に思っていましたが、だんだん質問の真意がわかってきました。
「どこから来たの?」には「島の人じゃないね」という意味が含まれています。
「どこから来たの?」は仲間に入れるための質問ではなく、怪しい者かどうか、害を与える存在かどうかを判断するための最初の質問です。
「沖縄です」と答えれば少しは親近感を持ってもらえます。「東京です」と答えれば「なんでわざわざこんな田舎に移住したか?」と聞かれます。
島の人たちは移住理由を聞くことで、よそ者への不安を解消しようとします。
「どこから来たの?」「なぜ移住したの?」はよそ者に対するジャブのようなもの。
就職試験の一次面接の最初の質問のようなものです。
自分たちに害を与える存在かどうかを判断するために当たりさわりない質問をぶつけているだけです。
島の人たちは、島の出身者か移住者かをひと目で判断します。
よそ者への警戒意識が強い島の人たちは、瞬時に島の人かどうかを判断する力を自然に身につけています。
移住1年目ぐらいの若者は、だいたい地に足がつかずフワフワしていて、妙に明るいです。島のことをよく知らないくせに「宮古島最高」と浮かれています。
移住に成功する人はいつまでも浮かれてはいません。
「宮古島」「移住」とツイッターやインスタグラムで検索すると、浮かれた若者の写真がたくさん出て来ます。
プチ移住目的なら浮かれていても問題ないですが、長期移住が目的だと心配になります。
浮かれたアカウントは3年以内に静かに消えていたりします。
移住者ばかりとつるんでいる若者はだいたい長続きしません。
20代、30代ぐらいだと、最初からプチ移住のつもりで島に来る若者も多いので、その軽い空気感に流され「島を離れる」ことに抵抗を感じなくなります。
島に住んでいながら、島のことを全く知らない。いつまでも自分が主人公で、島は自分の生活をハッピーにするためにあると思い込んでいる。
こういうタイプは危険です。
移住は長続きしないし、島の人たちからも好まれません。
主役はあなたではなく、移住先の土地です。
「私の人生」のための「宮古島」だと勘違いしている若者の移住生活は成功しません。
島を深く理解しようと努め、島で暮らす人たちをリスペクトし、島のルールを守ることです。
飛行機がなかった時代、台風で家が簡単に吹き飛ばされる時代から、この島に根をはって、苦しい自然環境の中でもこの島でしか生きるしかなかった人たちが、宮古島には暮らしています。
「移住ブーム」だかなんだか知りませんが、自分のことしか考えずによその土地に足を踏み入れようとしていないでしょうか。
身勝手な人は移住後必ず痛い目に遭います。
移住成功のキーワード
宮古島の人たちは最初のうちは移住者を警戒しますが、島を理解し、島の人たちをリスペクトし、島に貢献しながら島の人と同じような価値観で島を楽しもうとしている人には次第に心を開きます。
移住成功のキーワードは「移住して何年?」です。
島の人の「移住して何年?」「宮古島に来て何年?」という質問は、移住者として少しは
認められたことの裏返しです。
移住3年ぐらいまでは「移住して何年?」と聞かれることはまずありません。「どこから来たの?」と聞かれます。
移住者か観光客が区別がつかない浮かれた人は「どこから来たの?」と聞かれます。
地に足を付いた暮らしを続けていると、見た目も雰囲気も考え方も言葉づかいも島の人に似て来ます。島に染まってきた移住者には島の人は「どこから来たの?」とは聞かなくなります。
「移住して何年?」には「島に染まってきてるみたいだけど、どれぐらい島にいるの?」という意味が含まれています。
「どこから来たの?」と聞かれているうちは「どうせすぐ帰る」と思われていますが
「移住して何年?」と聞かれるようになると「この先も長くいてもいいよ」と少しは思ってもらえている証拠です。
移住成功のキーワードは「移住して何年?」
私は移住5年を過ぎた頃からやっと「宮古島に来て何年?」と聞いてもらえるようになりました。
移住3年目までは「島から帰りたい」と毎日のように思っていました。「こんな島に来なければよかった」と思っていました。
こだわりとプライドを捨て、自分が特別な人間だと思わなくなってから、少しずつ島にとけ込めるようになりました。
誰でも最初のうちは浮かれた移住者です。
浮かれたままの移住生活は長続きしません。どこかで諦めたり、挫折したり。「こんなはずじゃなかった」を乗り越えるのが移住生活への近道です。
皮肉ですが、移住前に思い描いた移住生活の夢・希望を捨てることが移住成功の近道です。
当ブログの過去記事を読んで頂ければ、移住生活の厳しさ、リアルが伝わると思います。
移住者は外国人
島の人たちと移住者の関係は、日本人と日本で暮らす外国人の関係に似ています。
あなたは、日本で暮らす外国人にどのように接していますか?
積極的に関わろうとはしないはずです。無意識に心の壁を作り、声をかけようとはしないと思います。
何か声をかけるとすれば「Where are you hrom?」=「どこから来たの?」です
よほど心の距離が近くならなければ「日本に何年住んでるの?」とは聞きません。
日本人の多くは海外旅行でしか海外に行ったことがなく、残念ながら外国人と積極的に仲良くなろうとは思いません。
「私は日本が大好きです。だから日本に移住しました」と話す外国人を見てどう思いますか?
好感を持ったとしても「仲良くなりたい」とは思わないはずです。私も「仲良くなりたい」とは思いません。「ご自由にどうぞ」「日本が好きなら静かに暮らしてね」と思います。
宮古島の人たちも同じです。
「宮古島が大好きです。だから移住しました」と言われても「仲良くなりたい」とは思いません。「ご自由にどうぞ」「宮古島が好きなら静かに暮らしてね」と思います。
ビーチでジェットスキーを乗り回したり、海岸の公園で大声でバーベキューをしたり、水着で町中を歩いたり、移住者同士で集まって公共の場所でレゲエの音楽に合わせて謎のダンスをしたり、そういう迷惑な行為はしないでねと思います。
「郷に入れば郷に従え」はリスペクトと理解がなければ成り立ちません。
日本人以上に日本文化に詳しい外国人。日本の研究をしている外国人。剣道や柔道を真剣に習っている外国人は好感が持てます。移住者も同じです。
島の歴史・文化・風習・言葉づかい・価値観を学ぼうともせずに、移住成功なんてあり得ません。
まとめ
若者の移住成功のキーワードは「移住して何年?」です。
私はこの言葉を島の人から頂くまでに5年はかかりました。
「どこから来たの?」と言われているうちはまだまだ。
簡単には成功しないと覚悟を持って移住しなければ必ず痛い目に遭います。