伊良部島のリゾート開発と地元住民への弊害

宮古島に移住して5年のshimagurashiです。

宮古島と橋でつながる伊良部島では、宮古島以上にリゾート開発が目立ちます。

伊良部島では海岸線沿いの土地の価格が高騰し、本土企業が次々にリゾートホテルを建設しています。

伊良部島で加速するリゾート開発と地元住民への弊害についてまとめました。

伊良部島のリゾート開発

伊良部島は人口約5000人の小さな島。2015年に宮古島と伊良部島をつなぐ伊良部大橋が開通したことで観光客が急増。海岸線沿いではリゾート開発が加速しています。

南海岸

伊良部島で最も開発が盛んなのは、伊良部大橋の付け根から渡口の浜までの伊良部島南海岸エリア。

伊良部大橋開通前はサトウキビ畑しかなかった島の一周道路沿いの土地が本土企業によって高値で買い取られ、リゾートホテルが次々に開業しています。

2018年には渡口の浜近くに伊良部島最大のホテル「イラフSUIラグジュアリーコレクションホテル」が開業しました。全58室オーシャンビュー。リッツカールトンに並ぶ世界的なホテルブランド「マリオット」のホテルです。

南海岸エリアには一棟貸しタイプの宿泊施設も目立ちます。「ヴィラブリゾート」「紺碧」「瑞兆」など、プライベートプール付きの高級ホテルがずらりと並びます。

開発の勢いはすさまじく、リゾートホテル以外にも別荘やカフェが乱立。建設中の工事現場も多く、全体像はまだ見えません。

下地島空港

伊良部島の隣、下地島にある下地島空港に2019年、国際線旅客ターミナルが開業しました。

下地島空港は1979年に開港した空港。パイロットの訓練飛行場として整備されましたが、ANAとJALが訓練から撤退した後はほとんど使われていませんでした。

下地島空港を管理する沖縄県が利活用案を募集し、国内不動産大手、三菱地所の計画が採用されました。

三菱地所は下地島空港に国際線旅客ターミナルを整備。ターミナルは2019年3月に開業。アジアからの国際線や宮古島では初めてとなる成田、関西からのLCC便が飛んでいます。

下地島空港は「空港からリゾートはじまる」がコンセプトで、空港そのものが観光スポットになっています。

チェックイン棟もロビーも木目調のリゾートホテルのような作りで観光客に人気。飛行機を利用しない人も訪れます。

下地島空港の国際線旅客ターミナル開業で、伊良部島のリゾート開発はさらに勢いづいています。

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点在するホテル

開発が集中している南海岸エリア以外でも、伊良部島では盛んに開発が行われています。

下地島空港に近い伊良部島佐和田の浜近くの海岸には2018年に「フェリスヴィラスイート佐和田」がオープンしました。

一棟貸しタイプの高級ホテルで全室にプライベートプール、ジャグジーがあります。

周囲に民家や宿泊施設がなく、海沿いにポツンとあるホテルなので、プライベート感を楽しめるホテルとして人気。夕日や星空もきれいに見えます。

伊良部島と下地島の間の入江にも複数の一棟貸しタイプのリゾートホテルが開業しています。1日1組限定の「ラグーンヴィラ龍星」は高級別荘のような雰囲気で人気です。

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橋詰広場

伊良部大橋を渡って伊良部島に到着すると、突き当りに広大な工事現場があります。

建設されているのは沖縄県が整備する観光施設「橋詰広場」です。広場には展望台や土産物店、レストランが作られます。

当初は2015年の伊良部大橋開通に合わせて開業する予定でしたが、土地の取得が難航し、開業が4年以上遅れています。

伊良部島には観光地が限られていますが、伊良部島の玄関口にあたる場所に広場が完成すれば、多くの観光客で賑わうことは間違いありません。

広場には観光バスが駐車できる大きな駐車場も整備されます。

土地の高騰

伊良部島・宮古島では土地の価格が高騰しています。

「宮古島バブル」を特集する記事で琉球新報が伊良部島の土地価格が「500倍」と報じ話題になりました。

土地価格が500倍になったのは、伊良部島、渡口の浜近くの海岸沿いの土地です。

伊良部島の南海岸では、潮風による塩害でサトウキビすらまともに育たなかった土地が信じられないような高値で取引されています。

地元の人には手が出ない価格で本土企業が土地を買い、次々にリゾートホテルを建設しています。

海沿いのリゾート用地に引っ張られるように、住宅地の価格も高騰しています。

交通量の急増

2015年の伊良部大橋の開通以降、伊良部島の交通量が急増しています。

橋がかかるまで、伊良部島には宮古島から船でしか行けませんでした。今では車で気軽に島に入れますし、下地島空港から伊良部島に入ることもできます。

特に増えているのが観光バスとレンタカー。

橋の開通後、大型観光バスが伊良部島を走行するようになりました。特に目立つのはクルーズ船で宮古島に来る中国人観光客のバスツアー。

クルーズ船が入港する日は、観光バス30台が中国人観光客を乗せて島を巡ります。渡口の浜など伊良部島の観光スポットも中国人観光客で埋め尽くされる時間帯があります。

観光バスが停車できる伊良部島の飲食店は中国人で貸切状態になることもあります。

レンタカーが絡む交通事故も増えています。宮古島・伊良部島で発生する交通事故の半数はレンタカー絡みです。

伊良部大橋でも交通事故が発生するようになりました。2019年には伊良部大橋で車が正面衝突する事故があり、複数の人が救急車で搬送されました。橋は交通規制され大渋滞となりました。

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新たな観光スポット

伊良部大橋の開通によって、新たな観光スポットも開発されました。

橋の開通前は知る人ぞ知る穴場スポットがSNSで拡散され、今では人であふれています。

代表的なのは下地島空港の滑走路外周道路、通称「17エンド」。遠浅の海がどこまでも続き、何色にも輝く絶景の海を見れる観光スポットです。

橋の開通後、17エンドには観光客が急増。外周道路はレンタカーで埋め尽くされ、観光バスまで乗り入れるようになりました。あまりに交通量が増えたため、17エンドは2019年3月に車両通行止めとなりました。

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高さ70メートルの断崖絶壁から海を見下ろす「三角点」には他にはないスリルがあります。橋の開通前は地元のタクシー運転手しか知らない超穴場観光スポットでしたが、SNSで写真が拡散されて人気スポットになりました。

三角点は転落の危険がつきまとうリスキーな観光スポット。島内には、事故が起こる前に立ち入り禁止にすべきだと指摘している人もいます。

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地元住民への弊害

伊良部島のリゾート開発にはプラス・マイナスの両面があります。

バブルの勢いに乗って島を開発し利益を得ている本土企業がいる一方で、地元住民はバブルに翻弄され、困っています。

家賃高騰

伊良部島にはリゾート開発のため多くの建設業者が入っています。

島内の建設作業員だけでは足りないので、島外、県外からも建設作業員が出稼ぎに来ています。

建設業者は出稼ぎの建設作業員のため、アパートの部屋を寮として大量に抑えています。

この流れにより、宮古島・伊良部島では2017年頃から賃貸物件が足りなくなり、2018年には賃貸空き物件が全くない異常事態となりました。

2019年には、賃貸空き物件不足に便乗した大家の家賃値上げが目立つようになりました。

「来月から突然家賃を1万円上げると言われた」「家賃4万円が8万円になった」地元住民からは悲鳴が聞こえます。私が住むアパートの家賃も2019年に値上げされました。

不動産屋のホームページには相場を大きく上回る家賃の賃貸物件しか残っていません。

宮古島・伊良部島の本来の家賃相場は1DKで3~4万円台、3DKで5~6万円台ですが、その2倍の家賃の物件が目立つようになりました。

1DKで家賃10万円。1Kのコンテナハウスで家賃9万円という、目を疑うようなぼったくり物件もあります。

家賃が高騰しても借りる人はいます。家賃10万円の新築アパートは完成前に全部屋が埋まっています。

リゾート開発で本土企業は儲かっていますが、地元住民の給料は全く上がっていません。地元住民は給料が上がらないのに、家賃が値上げされて困っています。

リゾート開発が進めば進むほど、住みにくい島になっているように感じます。

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治安の不安

伊良部島は、離島ゆえに島民の絆が深く、島の人たちみんなが親戚のような関係です。

伊良部島の民家では、家に鍵をかけている家の方が少ないです。鍵はあけっ放しで、いつだれが訪ねてきても「ようこそ」と温かく迎えてくれ温かさがあります。

伊良部大橋の開通で、伊良部島には観光客が急増。

マナーのいい観光客もいますが、声の大きい外国人観光客や、裏社会にいそうな雰囲気の日本人観光客も増えています。

リゾート開発の加速で伊良部島では治安の不安が増しています。

まとめ

伊良部島ではリゾート開発が加速しています。

南海岸の一周道路沿いは開発の勢いがすさまじく、高値で取引された土地に次々にリゾートホテルが開業しています。

開発の加速に伴って、土地価格の高騰、交通量の増加、観光客の急増など、様々な変化が起こっています。

リゾート開発で利益を得ている人もいますが、大半の住民は家賃値上げや住環境の変化に戸惑っています。

バブルが早く過ぎ去ってほしいと感じている地元住民は多いです。

伊良部島の開発の勢いは加速する一方。未だに開発の全体像はつかめません。リゾート開発の先に明るい未来は待っているのでしょうか?

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