賃貸空き物件がない異常事態〜宮古島で部屋を借りるためにすべきこと~

「異常事態」と書くと大げさに聞こえるかもしれませんが、大げさに言ってもいいぐらい、宮古島は今、アパートやマンションの賃貸空き物件がありません。

2016年頃からこの傾向は見られていましたが、状況は悪化する一方。2018年には賃貸空き物件がゼロになり。2019年には空き物件不足に便乗した家賃値上げが社会問題となっています。

憧れの南国宮古島への移住を決断しても、部屋を借りることができず、移住を断念せざるを得ない人も出てきています。

状況はかなり厳しいです。どうしても移住したいという人の中には、住む部屋が決まらないまま宮古島に来て、ゲストハウスや民宿に長期滞在しながら部屋探しをしている人もいます。

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5年前の家賃相場

現在の状況についてまとめる前に、私たちが移住した5年前を振り返ってみます。

私たちは5年前、ファミリータイプの賃貸空き物件を探していました。

インターネットで地元の不動産屋を探し「住宅情報センター(アパマンショップ)」と「ひろし不動産」で実際に物件を見せてもらい契約しました。

それぞれの不動産屋で紹介してもらったアパート・マンションの賃貸空き物件は3つずつ。特に空き物件が不足しているようには感じませんでした。

部屋探しのため宮古島を訪れたのは2月。引越したのは4月でした。

私たちとしては、4月からの契約で部屋を借りたかったのですが、どちらの不動産屋でも「今空いている物件を契約する場合、家賃は今月から発生する。4月まで待てない。それが無理なら他の人を優先する」と言われました。

空き物件が余っているような地域では、2月に契約をして家賃は4月から払うこともできます。私もそのような契約で部屋を借りたことしかありませんでした。

「宮古島のルールだから仕方ないか」とその時は受け入れましたが、今思うと5年前から空き物件は不足ぎみだったのかもしれません。

借りた部屋は3DKで家賃は約6万円。市街地の便利のいい場所にあり、駐車場も一台分込みの料金です。地元の人に聞くと相場通りの価格でした。

空き物件不足によって、今では家賃が上がっている物件もあるようですが、5年前はファミリータイプは5万円~6万円。単身タイプは3万円~4万円が相場でした。

バブルの宮古島

宮古島はバブルと言われています。観光客数はこの5年で3倍。有効求人倍率は右肩上がり。

アパートやマンションなどの賃貸空き物件不足も、この5年で急激に進んでいます。

1年前ぐらいまでは「紹介できる物件は1件しかない」というような感じでしたが、状況は悪化する一方。今ではどの不動産屋からも「紹介できる物件は1つもない」という答えが返ってきます。

空き物件は不足していますが、物件数自体はどんどん増えています。バブルの波に乗って宮古島は建設ラッシュ。

宮古島市役所や繁華街がある平良の市街地エリアとその周辺に、どんどん新しいアパートやマンションが建設されています。公共施設やホテルの建設も進んでいて、市街地エリアは工事現場が本当に多いです。

宮古島ではサトウキビ畑だったところを整地して建物を建てるというのがよくあるパターン。

特にイオンタウン宮古南や伊良部大橋に近い「久松」エリアでアパート・マンション建設が盛んに行われています。久松地区はこの30年ほどでサトウキビ畑が一気に建物に変わった代表的なエリアです。

賃貸空き物件がない理由

宮古島のアパート・マンションの賃貸空き物件がない一番の理由は、建設業者やホテル業者が従業員用の寮として部屋を押さえていることです。

空き物件を押さえる建設業者

沖縄離島と言う特殊な地理環境の宮古島。島外ではあまりなじみがありませんが、建設業者がファミリータイプのアパートやマンションの部屋を借り、寮として使うことは昔からよくあったようです。

大きな工事などで、島内の労働者が足りなくなった場合、建設業者は沖縄本島から労働者を受け入れることになります。離島でなければ寮がなくても労働者は確保できるかもしれませんが、宮古島では寮がなければ島外からの労働者は確保できません。

私の住んでいるアパートにも、以前建設業の寮として使われている部屋がありました。時期によって住んでいる人数は変化し、多い時には3,4人が生活していました。誰も住んでいない時期もあったようです。住んでいたのは40代ぐらいのおじさんが多かったです。

住む人の入れ替わりも多く、短期間しか見かけない人もいました。夜は酒盛りが行われていたこともあったようですが、特に生活する上で迷惑に感じたことはありませんでした。(上半身裸で廊下に出たりはしていましたが、宮古島ではよくあることです。)

このような形で建設業者がアパート・マンションの賃貸物件を借りることは昔からよくあったようです。

ここ数年のバブルで宮古島の建設業は絶好調。

島内だけで労働者を確保することはできず、沖縄本島から多くの労働者が来ています。それに伴って、建設業者がアパート・マンションの部屋を寮として大量に押さえているのが現状です。

賃貸物件が不足していることがわかっているので、建設業者は簡単に部屋を手放しません。賃貸物件に余裕があれば、1つの工期が終わると部屋を手放し、次の工期が始まる時に部屋を契約することになりますが、空き物件がない状況なので、住む必要はない時期も部屋を借り続けるケースもあるようです。

空き物件がない状況は、移住者だけでなく建設業者も同じです。新たに部屋を借りることができないため、民宿やゲストハウスを一時的に社員寮として借りている業者もあります。ホテルのスイートルームを借りている業者もあるという噂です。

空き物件を押さえるホテル業者

ホテル業者がアパート・マンションの賃貸物件を寮として押さえているケースも増えてきています。

観光客の急増に伴って、ホテル建設も急ピッチで行われています。島内ではリゾートホテル計画がいくつも進んでいます。

来間島では一棟貸しタイプの宿泊施設100棟を建設する巨大プロジェクトが進んでいます。

宮古島の南海岸では、ユニマットプレシャスが展開するゴルフ場や宿泊施設、結婚式場などのリゾートエリアがさらに拡大され、新しい宿泊施設が次々に建設されています。

伊良部島の南海岸でもリゾート開発が盛んに行われています。

従業員確保はホテル業者にとっては深刻な課題です。ホテル業界は特に人手不足が激しく、島内だけで労働力をまかなえるわけがないという状況です。島外から従業員を受け入れるにしても、寮があるとないとでは条件が大きく変わってくるので、ホテル業者も我先にとアパート・マンションの賃貸空き物件を押さえている状況です。

リゾートバイトの寮に使われる賃貸物件

最近よく耳にするようになったリゾートバイト(略してリゾバとも言われます)にも寮は必須です。

リゾート地で寮に暮らしながら働く「リゾートバイト」。宮古島にも居酒屋や夜の仕事のリゾートバイトでやってくる女性は多いです。私が住んでいるアパートにも夜の仕事の寮として使われている部屋があり、2~3人の女性が生活しています。

宮古島でもリゾートバイトで働く人は増えてきていて、アパートやマンションの賃貸物件がリゾートバイトの寮として使われるケースも多いです。

自衛隊が空き物件を押さえている?

宮古島では陸上自衛隊の基地建設が進んでいて、今後3年以内に、隊員の家族を含め1000人が宮古島にやってくることになっています。

単身の隊員は基地内の寮に住むことになりますが、家族がいる隊員は希望すれば基地外のアパートやマンションに住むことができます。本当か定かではありませんが、自衛隊が隊員と家族のためにアパート・マンションの部屋を押さえているという噂もあります。

自衛隊が押さえていることが理由かはわかりませんが、入居者募集を始めていないのに住む人が決まっているアパートやマンションもあります。

業者は空き物件確保に必死

建設業者、ホテル業者、リゾートバイト。宮古島の賃貸空き物件を狙っているのは、移住者だけではありません。

業者は、部屋が確保できなければ労働力を確保できず、事業が失敗するリスクもあるため、空き物件の確保に必死です。

空き物件が少なくなる 
    ↓
部屋を用意しないと島外からの人手を確保できない
    ↓
業者が寮として部屋を借りる
    ↓
空き物件がさらに少なくなる
   
この繰り返しで、宮古島ではどの不動産屋にもアパート・マンションの賃貸空き物件が全くないという異常事態になったのです。

物件を探している知人の現状

宮古島にはアパート・マンションの賃貸空き物件が全くありません。空き物件が出てもすぐに誰かが契約してしまいます。空き物件を探している2人の現状を紹介します。

家族で移住したAさん

・宮古島への移住を決意し、数ヶ月前から賃貸物件を探している
・どの不動産屋も空き物件は全くない
・1ヶ月前に家族で移住しゲストハウスに長期滞在中、賃貸物件はまだ見つからない

地元宮古島に単身で帰ってきたBさん

・東京での仕事を切り上げ、出身地の宮古島に十数年ぶりに帰ってきた
・数ヶ月前から宮古島の知人に空き物件がないか聞くが全くない
・どの不動産屋にも空き物件は全くない
・1ヶ月前に宮古島に帰り、実家で暮らしている
・1人暮らしがしたいので部屋を探し続けているが見つからない。

移住者が部屋を借りるためにすべきこと

状況がかなり深刻なので、どうしても賃貸物件を見つけたいという移住希望者は本気で部屋探しをする必要があります。

インターネットで探すのは不可能です。空き物件はすぐに埋まるので、不動産屋のホームページの賃貸物件情報が更新されることは少なくとも今後数カ月はなさそうです(極端に家賃の高い物件や立地条件が悪い物件を除く)。

先ほどのAさん、Bさんから聞いた話から、私なりに移住者が部屋を借りるための方法をまとめてみました。

ゲストハウスや民宿に長期滞在しながら部屋を探す

物件の契約は宮古島の不動産屋でしかできません。宮古島に数日滞在しただけでは、いくつ不動産屋を回っても、よほど運が良くなければ空き物件をみつけることはできないでしょう。どうしても移住したいのであれば、Aさんのようにゲストハウスや民宿に長期滞在しながら物件を探すのが現実的です。

不動産屋に毎日電話する

どの不動産屋も「空き物件が出たら必ず契約するので連絡してほしい」というような予約はできないようです。

心が折れそうですが「空き物件はでましたか?」と毎日不動産屋に電話するしかありません。タイミングよく空き物件が出た直後に電話できれば契約につながります。タイミングを逃せば、その日のうちには他の誰かが契約してしまうでしょう。

空いている部屋を探す

賃貸物件を建設業者やホテル業者が押さえている場合、契約はしているものの、人は住んでいないというケースも多くあります。こういう部屋を見つけ、不動産屋に連絡して大家さんに確認してもらう方法です。

不動産屋も大家さんも、契約後、実際に人が入居しているかを確認していない場合もあります。

大家さんが、人が住んでいないことによる部屋の劣化を嫌う人であれば、うまく話を進めてくれる可能性があります。

宮古島に知人がいる方は、空いている物件はないか?と片っ端から聞いて回るのも一つの方法です。

不動産屋を通さずに借りる

実は、宮古島には賃貸空き物件はほとんどありませんが、空き家はたくさんあります。空き家の持ち主を探し、直接家賃交渉をして部屋を借りる方法です。

「そんなことできないよ」と言われそうですが、私の知り合いに空き家を借りて住んでいる移住者は2人います。

1人は知り合いの知り合いに空き家の所有者がいて貸してくれたケース。もう1人は宮古島の旅行で仲良くなった地元の人が、空き家だからと部屋を貸してくれたケースです。

2つのケースとも、家は古く、市街地からは遠く不便です。

寮で働きながら部屋を探す

寮が完備された環境で働きながら、部屋を探すのも一つの方法です。寮で働くことで引越しも楽になり、移住のハードルは低くなります。

リゾートバイトで寮に住み、働きながら定職を探すのも一つの方法です。

宮古島のリゾートバイトの情報は
リゾバ.com
リゾートバイトならアルファリゾート!
の2つのサイトに集中しています。

リゾートバイトの場合、寮は必ずありますし、宮古島への飛行機代を出してくれるところも多いです。正社員求人情報もあるので、移住希望者の方はサイトに登録しておくことをオススメします。

宮古島で一番社員寮が充実しているユニマットプレシャスについてはこちらをご覧ください

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空き物件不足はいつ解消するか

賃貸空き物件不足はかなり深刻です。新たなアパート・マンションの建設も進んでいますが、状況が短期間でよくなることは考えられません。

島内の大型事業のピークは2019年。

2019年3月に下地島空港新旅客ターミナル、自衛隊新基地が完成。7月には宮古島市の図書館と公民館の複合施設「未来創造センター」が完成。

民間のホテル建設やアパート建設はまだまだ続いていますが、建設作業員は減り始めています。

建設作業員と入れ替わるように宮古島ではホテルの従業員が増えています。

東京オリンピックが開催される2020年8月までは宮古島も好景気が続きそうなので、少なくとも2020年までは空き物件不足が続きそうです。

住んでいる感覚からすると「アパート建て過ぎ」です。人口のキャパの割に新築アパートが多すぎます。

2019年夏までは家賃が極端に高い新築アパートもすぐ埋まりましたが、秋以降は入居者が決まらない新築アパートも目立ち始めました。

宮古島バブルの今後の見通しについては「宮古島の家賃高騰はいつまで続く?島バブルの真相」に詳しくまとめました。

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移住したいあなたへ

アパート・マンションの賃貸空き物件不足がどれほど深刻かご理解いただけたと思います。あまりの空き物件の少なさに移住を断念してしまう人もいるかもしれませんが、もしもあなたにとって「宮古島に移住すること」が何よりも優先すべきものであれば、方法はないわけではありません。

・ゲストハウスや民宿に長期滞在しながら部屋を探す
・寮で働きながら部屋を探す
・不動産屋に毎日電話する
・空いている部屋を探す
・不動産屋を通さずに部屋を借りる

物件が少ないからといって、見つけた空き物件に飛びつくのも危険です。

・1階の部屋は虫が多いです。ヤモリやゴキブリも出ます
・最上階の部屋は屋根が熱されるため、エアコンが効かないほど暑いことがあります。
・宮古島の古い賃貸物件には、浴槽(バスタブ)がありません。
・古い家は台風のとき大変です
・台風の時は田舎ほどすぐに停電します。
・相場よりかなり高い家賃を設定するケースも増えてきました

憧れの宮古島での南国生活。移住者にとって住む場所はとても重要です。

空き物件がない異常事態の宮古島。移住のハードルは高くなっていますが、思いが強ければ宮古島移住の夢は実現するはずです。宮古島移住を目指す皆様が、すてきな物件にめぐりあい、すばらしい移住生活を送ることを願っています。

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さいごに・・・

さいごに宮古島の不動産屋さんの評判についてまとめておきます。

宮古島には10件ほどの不動産屋があります。多くの不動産屋は「地元の人・移住者」を分けることなく賃貸業をしていますが、一部の不動産屋はターゲットを「移住者」に絞っています。

ターゲットを「移住者」に絞っている不動産屋は、扱う物件のほとんどが「リゾート物件」です。リゾート開発に適した海沿いの土地や、海を眺めることのできるマンションなど。移住者の希望に近い物件を多く取り扱っていますが、土地代や家賃は全体的に高いです。

「あそこの不動産屋はブラックだからやめておけ」というような話は聞きません。インターネットで検索して上位に出てくる不動産屋は信頼できると考えていいです。

移住後、一軒家の物件を探していた時期があり、何ヵ所かの不動産屋のお世話になったので、それぞれの不動産屋の印象をまとめてみます。

住宅情報センター(アパマンショップ)

宮古島で最も大きい不動産屋です。取扱物件も多く従業員数も多いです。アパマンネットワークに入っていて、宮古島にいながら全国のアパマン物件の契約ができるので、地元の高校生が島を出るときによく使います。

従業員には移住者も多いです。接客は丁寧な印象です。

ひろし不動産

平成20年設立の比較的新しい不動産屋。丁寧に接客してくれましたし、物件の内覧も車で案内してくれました。町の不動産屋という雰囲気です。

コクアシティ

平成23年設立の不動産屋。新しい不動産屋ですが取扱物件数は多く、ホームページも充実しています。物件の内覧でも悪い印象はありませんでした。

比嘉不動産

宮古島の中では老舗の不動産屋です。創業者と息子さんで経営しています。息子さんに接客してもらいましたが好印象で説明も丁寧でした。

トータル企画

夫婦で経営している小さな不動産屋。取扱物件は多くなく、ホームページの更新頻度も低いです。地元密着という感じなので、掘り出し物の物件がありそうな雰囲気です。

沖縄本島の不動産屋

好景気の波に乗って、ここ2年ぐらいで沖縄本島の不動産屋が宮古島に進出しています。沖縄でホテル業、不動産業などを経営する「Mr.KINJO不動産」。代表者が宮古島出身の「たけちゃんほーむ」が立て続けに宮古島にも店舗をオープンさせました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!宮古島への移住を目指すあなたの参考になれば幸いです。

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