宮古島のリゾート開発が止まりません。宮古島、伊良部島、来間島の海沿いは、県外企業によって次々に開発されています。
私が移住した5年前に比べると、島の風景もかなり変わってきました。島は工事現場で溢れ、大型トラックや工事車両の往来もかなり増えています。
人口5万4000人の小さな島で加速する開発。
宮古島で進むリゾート開発と、住民生活への弊害、地元住民の反応をまとめました。
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宮古島でホテル開発ラッシュ|宿泊業戦国時代に突入
リゾート開発一覧
宮古島で進むリゾート開発をまとめました。
海沿いのサトウキビ畑や原野など、未開の場所をリゾート地にする計画が多いです。特に大規模に開発されているのは来間島の北側、宮古島東側のクマザ海岸、宮古島南側のシギラリゾートエリア、伊良部島の伊良部大橋橋詰~渡口の浜エリアです。
リゾート開発の事業主はほぼ100%県外企業です。
来間島リゾートプロジェクト
来間島の北側で進む大型リゾートプロジェクト。原野だった場所を切り開き、1棟貸しタイプの宿泊施設100棟を建設する計画。事業主は不動産会社の飯田産業(本社東京)。
宮古島と来間大橋でつながる来間島。工事が始まってからは来間大橋の交通量が激増。大型トラックなどの工事車両が頻繁に往来している。
ペンションや民宿はあるが、ホテルはない来間島。島の人口は165人(2017年・宮古島市役所の資料より)。完成すれば、島の人口より多くの観光客が島内に宿泊することになる。
台風で暴風警報が出れば来間大橋は閉鎖される。陸の孤島に、地元住民以上の観光客が宿泊することに少し違和感がある。
ホテルは2020年2月に開業した。
クマザ海岸の開発
宮古島の東側、クマザ海岸の海沿いで進むリゾートプロジェクト。一棟貸しタイプの宿泊施設を中心に平屋24棟を建設。客室は41室。レストランやカフェも併設。
数年前から開発の話があり、工事が行われていたが、事業主の業績が悪くなり、一旦放置されていた。沖縄UDSが買い取って事業を引き継いだ。
沖縄UDSは宮古島でのプロジェクトに合わせて設立されたUDS株式会社(本社東京)の子会社。沖縄UDSは2018年に宮古島の市街地エリアにホテルLOCUSを開業している。
海は美しいが、地元の人も移住者も観光客も行かない場所。市街地エリアからは遠く、シュノーケリングができるわけでもない。冬は北風が強く、海岸漂着ゴミが多いエリア。
完成して灯りが灯ればプライベート感のあるリゾートエリアになりそうだが、工事が放置されていた時期は、建設中の建物群が廃墟のようで少し怖かった。
ホテルは2019年に開業した。
シギラリゾートの開発
宮古島の南海岸に広がる島内最大のリゾートエリア。株式会社ユニマットプレシャスが30年以上前からホテルやゴルフ場、温泉施設、別荘地などを次々に建設。ここ数年で開発がさらに加速している。
ホテル、商業施設、結婚式場などを新たに建設中。リゾートエリアから少し離れた場所に従業員用の寮も複数建設中。
開発の勢いがすさまじく、このエリアを通るたびに工事現場が増えていて、少し怖くなる。
伊良部大橋橋詰~渡口の浜
2015年の伊良部大橋開通で激変している伊良部島。特に伊良部大橋橋詰から渡口の浜に向かう海岸道路沿いの開発が目立つ。
橋の開通前、サトウキビ畑しかなかった約4キロの道路沿いに、ホテル、カフェ、別荘などが乱立。複数の事業主が、畑の地主から土地を買い、開発している。
特に規模が大きいのは森トラスト(本社東京)のホテル開発。渡口の浜近くに「イラフSUIラグジュアリーコレクションホテル」を建設。2019年に開業した。
このエリアの宿泊施設や別荘の多くは2階建て以下だが、森トラストのホテルは4階建て。客室数は58室。
伊良部島には、伊良部大橋開通によって土地の価格が高騰している場所がある。渡口の浜近くにあった食堂の土地建物は1億円で売却されたと地元住民の間で噂になっている。
伊良部大橋の橋詰では観光展望施設が建設されている。施設は「いらぶ大橋海の駅」として2020年開業。
砂山ビーチリゾート開発
国内屈指のビーチ、宮古島の砂山ビーチ周辺に、三菱地所が一棟貸しタイプのリゾートホテル群を建設する。
砂山ビーチは実は私有地。
東京に本社がある「宮古島砂山リゾート」が砂山ビーチ周辺の53ヘクタールの土地を所有し開発許可を得ている。
開発行為の第一弾として53ヘクタール中10ヘクタールの原野を切り開きリゾート施設を建設する計画が示された。
ホテルの建設、運営は三菱地所が行う。工事は2019年着工。2023年完成予定。
将来的には砂山ビーチはホテル宿泊者以外立ち入り禁止になるかもしれない。
具体的な開発計画はこちらの記事へ。
リゾート開発の弊害
工事現場で溢れる宮古島。上記のリゾート開発に加え、下地島空港ターミナル施設の建設、クルーズ船専用岸壁の整備、陸上自衛隊基地建設などの大型工事が同時並行で進んでいます。
市街地エリアにも、ホテルやアパートの建設現場が増えています。
リゾート開発の加速で、地元住民の生活に弊害が出始めています。
賃貸空き物件がない
宮古島には賃貸空き物件が全くありません。リゾート開発のため、建設業者がアパートの部屋を抑えていることが主な理由です。
アパートを借りようと不動産屋に行った私の知人は「70人まち」と言われました。
宮古島では、実家暮らしの人が一人暮らしを始めようとしても、住む場所がありません。結婚して2人でアパートに引っ越そうとしても、物件がありません。
建設費が高くて家が建てられない
人手不足、資材不足によって、建物の建設費用は高くなる一方です。宮古島では台風対策でほとんどの家が鉄筋コンクリート造り。木造に比べ鉄筋コンクリート造りはお金がかかります。プチバブルの影響で建設費用はさらに高騰しています。
どうしても建てたい人は、家を新築していますが、人手不足なので完成までの期間も普段よりかなり長いです。
私の知人は子供が小学校に入学する時期に合わせて建てたいという理由で最近、新築に踏み切りました。平屋の2LDKで、お値段なんと3千万円です。
どこの企業も人手不足
宮古島はどこの企業も人手不足。リゾート開発の加速で、建設業、ホテル業は特に人手不足が顕著。
人手不足で1人あたりの仕事量は多くなるのに、給料は低いまま。「労働環境がよくない→仕事をやめる人がいる→さらに労働環境が悪くなる」という悪循環に陥っているところもあります。
居酒屋や飲食店も人手不足が深刻です。「従業員が確保できないので休業します」という店も出始めています。
タクシーに乗れない
行政や観光協会は積極的に海外からも観光客を受け入れています。ここ数年、宮古島では中国人観光客が急増しました。
中国人観光客は大型クルーズ船で宮古島にやってきます。夏場のピーク時にはほぼ毎日クルーズ船が入港。多い時には乗員乗客合わせて6000人が島に入ります。
クルーズ船が入る日は、タクシーがクルーズ船客の送迎に集中するため、町中からタクシーが消えます。宮古空港のタクシー乗り場にもタクシーは1台も止まっていません。
宮古島には、病院に行くためにタクシーを利用している高齢者が多くいます。タクシーには中国人観光客が乗っていて、島のオジーオバーが呼んでも来てくれない。なんとも悲しい現実です。
地元住民は歓迎している?
宮古島の人たちは加速するるゾート開発を歓迎しているのでしょうか?
宮古島は決して豊かな島ではありません。
宮古島には大学や専門学校がないので、宮古島の子供たちは高校卒業後島を出ます。島に帰ってこようと思っても、仕事がない。仕事があっても給料が少ない。高校卒業後島を出て、そのまま県外で暮らし続ける宮古島出身者はとても多いです。
観光客から見れば、宮古島はリゾートアイランドですが、地元住民から見た宮古島は、わずか人口5万4000人の辺境地の離島。
島の人たちの多くは、開発が豊かさにつながると考えています。田舎特有の、建設業者が潤えば、島が潤うという考えです。選挙では、建設業者がバックについた候補が強いです。
島の発展につながりそうなものなら何でも受け入れます。来るもの拒まず、去る者追わず。この繰り返しで島は少しずつ発展してきました。
開発で島の自然が破壊されると声を上げる地元の人はほとんどいません(移住者には一部います)。
まとめ
宮古島で進むリゾート開発と、住民生活への弊害、地元住民の反応をまとめました。
宮古島のリゾート開発は今後さらに加速します。
10年後、20年後の宮古島は、島に住んでいる私たちでさえ想像できない姿になっているかもしれません。