「沖縄に移住してカフェを開業したい」
毎年多くの移住者が沖縄に来ますが、残念ながら半分ほどは3年以内に帰っていきます。
沖縄移住のハードルは高いです。特に自営業でカフェ経営となると成功するのはほんのひと握り。
移住前に成功パターンを知っておくことは、沖縄で移住生活を送る上で大いに参考になります。
私が住む沖縄の離島、宮古島の勝ち組カフェ3店舗を紹介します。3店舗の経営者に共通するのは「先見性」と「思いきりのよさ」です。
あおぞらパーラー
宮古島と橋でつながる来間島にあるカフェ「あおぞらパーラー」。移住者が経営しています。
来間島は半径1キロほどの小さな島。観光客は来間大橋を渡って島に入り、島の中心に向かって一本道を登っていきます。その道沿いに「あおぞらパーラー」があります。
きれいに刈られた芝生の上に、ユニットハウス(コンテナ)のカフェと雑貨屋があります。駐車場は広く、ヤギも飼われています。
カフェの看板メニューは10種類以上あるカラフルなスムージー。インスタ映えなデザインも相まって観光客に人気です。
来間島には橋から続く道路沿いにはカフェがいくつかありますが「あおぞらパーラー」の存在感は際立っています。
ドライブ中に気軽にテイクアウトできることもあり、冬でも客が途絶えることはありません。芝生のヤシの木とハンモッグが南国感をうまく演出していて、観光客が「常夏の島」を実感できる空間です。
私が初めて宮古島を訪れた2012年頃、この場所にはコンテナの小さな雑貨屋だけがありました。世界中を旅している夫婦が、来間島でお店を開いていると聞きました。
あおぞらパーラーは2013年に開業。雑貨屋と同じタイプのコンテナを一つ増やし、テイクアウト専門でスムージーを売り出しました。今では大型ユニットハウスを導入してオシャレに改装し、店内でも飲食できるようになっています。
あおぞらパーラーが開店した頃、来間島の観光客はそれほど多くありませんでした。来間島に来る観光客は、来間大橋をドライブするのが目的。来間島には1円も落とさないまま島に入り、すぐに出ていくという人が多かったです。
開店当初、来間島にはあおぞらパーラー以外にカフェはほとんどありませんでした。最近ではあおぞらパーラーの後を追うようにカフェが増え、周辺は宮古島の中でもハイレベルなオシャレエリアになっています。
2011年に年間30万人台だった宮古島の観光客は、2018年には100万人を突破。沖縄の中でも宮古島は特に観光客が急増しています。
観光客急増をチャンスと捉え、宮古島に移住して飲食店を経営する人は増えていますが、失敗する人の方が多いです。
移住勝ち組になりたければ、観光客が増えてから手を出していては遅いのかもしれません。
ダグズバーガー
宮古島の市街地エリアにある、カフェタイプのハンバーガーショップ「ダグズバーガー」。宮古島で最も行列ができる店です。
沖縄は戦後アメリカの統治下にあり、アメリカ食が浸透しています。沖縄本島にはステーキ屋やハンバーガーショップが山ほどあります。
宮古島では、ダグズバーガーがオシャレハンバーガーショップの先駆け的存在。圧倒的な人気を誇っています。
ダグズバーガーは2011年に開業。宮古牛や宮古島近海でとれたマグロのハンバーガーが大人気です。
大きめのハンバーガーはインスタ映えそのもの。開店当初は「行列ができる店」ではありませんでしたが、SNS時代の流れにうまくのり、宮古島を代表するお店に成長しました。
夏のトップシーズンは、お昼時には行列が絶えません。多い時には20人ぐらいの観光客が並んでいます。地元在住者が「炎天下によくこんなに並ぶな」と驚く大行列。そこまでしても食べたいと観光客に思わせる魅力がダグズバーガーにはあります。
飛ぶ鳥を落とす勢いのダグズバーガー。2017年に福岡店、広島店を開店。2018年には台湾にも店舗をオープン。2019年には石垣店も開店予定です。
ダグズバーガーの経営者は「移住者」というくくりにするのは申し訳ないほど経営スキルが高いです。観光客が少なかった時代に店をオープンし、宮古島で最も行列ができる店に成長させ、県外にも店舗を拡大中。その経営手腕は、簡単にまねできるものではありません。
宮古島の情報誌には必ずダグズバーガーの大きな広告が載っています。広告を見るだけでも、センスを感じます。店を成長させるため、年間1000万円は広告に使っているという噂も聞きました。
ダグズバーガー恐るべし。宮古島どころか、沖縄全体を見ても、ここまでの勝ち組移住者は少ないのではないでしょうか。
ソラニワ
沖縄の離島の中でも、注目度急上昇中なのが、伊良部島。宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が2015年に開通してから、伊良部島に観光客が急増しています。
観光客急増で、最近は「宮古島バブル」「伊良部島バブル」という言葉が定着しつつあります。
伊良部大橋から下地島空港へ向かう島の一周道路沿いは、ものすごい勢いで開発されています。サトウキビ畑しかなかった海沿いの土地は、本土企業に高値で買い取られ、次々にカフェやホテルに生まれ変わっています。
ソラニワはこの一周道路沿いにあるカフェ&ホテル。伊良部大橋開通の数年前に開業しました。
伊良部大橋開通前の観光客が少なかった時代、ソラニワは島の一周道路沿いにポツンとあるカフェでした。私も橋がかかる以前にソラニワを利用しましたが、店内はガラガラ。こんなところに店を作って大丈夫かなとこちらが不安になるほどでした。
伊良部大橋開店で状況は一変。伊良部島には大量の観光客が入るようになりました。伊良部島にカフェや宿泊施設が少なかったこともあり、ソラニワはカフェもホテルも大繁盛。夏場のピーク時、カフェの駐車場は常に車でいっぱい。宿泊施設もいつも満室です。
伊良部島の観光客急増にあわせて、宿泊料金も変更したようです。友人が夏のトップシーズンに予約しようとしたところ、1人1泊4万円だったそうです。それでも満室になるのだから驚くばかり。宮古島ナンバーワンのリゾートホテル宮古島東急ホテルでも、ここまで高くはありません。
沖縄移住者の勝ち組になれなかった私から見ると、がっつり稼いでいてうらやましい限りです。
まとめ
沖縄に移住しカフェ経営で成功している3店舗を紹介しました。
沖縄に移住して、カフェや飲食店の経営を始める人は多いですが、成功するのはごく一部。失敗して軌道修正を余儀なくされる人の方が多いです。
縁もゆかりもない沖縄でのカフェ経営。基本的に助けてくれる人はいません。自営業だと人脈を広げるのも難しいです。経営の難しさに直面しながら、孤独に耐える精神的な強さも求められます。
勝ち組移住者になれなかった私から見れば、今回紹介した3店舗の経営者はうらやましいばかり。「社員旅行がハワイ」や「冬は1ヶ月休み」のところもあると聞きます。
お店が軌道に乗れば、調理や接客は従業員に任せて、自分たちは悠々自適に島暮らしを満喫するなんてこともできちゃいます。
自営業で成功している移住者の共通点は「先見性」と「思いきりのよさ」があること。
今回紹介した勝ち組移住者は、東日本大震災で全国的に自粛ムードが漂っていた2011年前後に宮古島に移住し、店を開業しています。
ほとんどカフェがなかった来間島や伊良部島にカフェを開業する度胸も、簡単にはまねできません。
観光客が急増し、宮古島はバブルと言われる好景気。市街地エリアや観光スポット近くにはカフェや飲食店が次々に開店していますが、1年以内に閉店する店も多いです。
沖縄に移住して自営業で勝ち組になりたければ、バブルの波に乗るのではなく、バブルの予兆をキャッチする「先見性」とそれにかける「思いきりのよさ」が必要です。